<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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今回の旅のハイライトの1つは富士山。
私の娘はまだ生の富士山を見たことがなかった。
昨年の夏に東京へ二人で出かけた時はLCCを利用したために富士山を見ることができなかったのだ。
まさかLCCの関空発成田行があんな沖合の太平洋上空を遠回りして千葉まで飛んで行くとは予想しなかった。
窓から見る景色はまるで国際線の無味乾燥な風景だったのでがっかりしたものだ。
そういうことなので今回が富士山初体験となる。

元々東京へは午前8時過ぎに到着するつもりだったので夜明けの富士山を見ることができるかどうか微妙なのであった。
しかし途中休憩を多く取ったために夜明けの富士山に向かって突っ走ることとなった。
天気は快晴。
朝の空には雲はない。
これは素晴らしい富士山を眺めることができると期待に胸膨らませて新東名高速を一路東へ。
制限速度は110km/hの区間に入っていたが、あまり飛ばすと叱られるので100km/h弱でマイカーを飛ばしたのだった。

ところである。
新東名高速道路は山の中を走っているため富士山がなかなか見えないのだ。
トンネルの中では当然見えず、トンネルを抜けても両側と正面には山が壁のように迫っており富士山は見えない。
大井川を渡る時にでも見えるだろう、と思っていたのだが、この予想もハズレ。
橋梁の両側は山になっていてその間に川を渡る橋梁がかかっているという構造になっている。
「箱根八里は避けて通るが富士山見えない新東名」
という一句が浮かんだ。
静岡を越えても富士山が見えないので、
「もしかすると新東名高速道路からは富士山は見えないのかもしれない」
と思った。
これだけ山また山。
トンネルばかりの高速道路である。
富士山は見えても一瞬か、それとも東名高速と合流する御殿場のあたりまで我慢しなければならないのか。
またもや娘に富士山を見せることができないかも。

そんなことを考えていると、やがてトンネルの出口が見えてきた。
そしてトンネルを抜けると、そこは雪国ではなく山の向こうに雪を被り朝日を受けて輝くデッカイ富士山の頂きが見えた。
「起きろ!富士山やで!」
カミさんと娘は何事かとビックリして跳ね起きた。
普通であれば「お父さん、びっくりするやん!」と叱られることもあるのだが、このタイミングは違ったのだ。

「富士山や!」

娘とカミさんはほぼ同時に声を挙げた。
なぜなら雪を被り斜め右から朝日を受けたその姿はあまりに美しかったからなのだ。
娘にとっては初富士山。
カミさんにとっても久しぶりの生富士山なのであった。
で、慌ててiPhoneのカメラを構えた瞬間、またトンネル。
しかし今度はトンネルを抜けるとちぇんと富士山が見えた。
「きれいやな〜〜〜」
と娘。
「さすが日本の富士山や」
このトンネル、富士山を何度か繰り返していくとやがて新東名は広い富士川を渡る橋にさしかかった。
ここで富士山の全景が広がった。

「すっごい景色。絶景やな。ここのサービスエリアがあったらな〜」
と私が言うと、
「ちゃんと前見て運転してね。でも、ここにサービスエリアができたらみんなここで満足して観光客が減るかもね」
と珍しくカミさんが現実的な話をしたのでビックリした。

それにしてもこの日の朝の富士山は美しい。
空には雲がほとんど無く、富士山の東側上空に富士山でできた気流が作り出す雲が見られるだけであった。
後でカミさんが調べたところ、この雲のことを「つるし雲」といって、この雲が出ると天候は崩れるのだという。
たしかにこの日の天気予報は晴れのち雨。
実際に夜には雨が降ってくるのであった。

この絶景のあと、SA駿河湾沼津で最後の休憩を取ることにした。
もしかするとそこから富士山が見えるのではないかと期待もしていた。

ところで、あとでよくよく考えてみると娘が生の富士山を見るのはこれが初めではなかった。
5年ほど前。
まだ中学生だった時に、正月に伊勢神宮に家族で初詣に出かけたことがあった。
この時、宿泊したホテルの窓から伊勢湾を挟んで遥か向こうに小さな富士山が見えたのであった。

「お、富士山が見える」
「ほんまや!」

というやり取りをしたのだが、その富士山はゴマ粒ほどの大きさでしかなく、しかも200km以上向こうなのでかなり霞んでもいた。
今回、拝んだ富士山の姿とは全く異なるものであった。

つづく





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