<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地





私の生まれ育った街、大阪府堺市。
堺市は先年やっとこさ政令指定都市になったばかりの街なのだが、大阪府下第二の都市。
面積もそこそこ広くて人口も多く、なんといっても「中世自由都市」の冠で全国的に有名だ。

産業も幅広く、例えば伝統産業のお線香やプロ用包丁、茶菓子をはじめ、自転車、塩ビパイプ、液晶テレビ、太陽電池、発酵食品などなど幅広い。
「ものの始まりなんでも堺」
という訳の分からないキャッチフレーズも持っていたりする街だが、あながちウソでもなく、茶道、鉄砲鍛冶、刀工から銀座、国産写真フィルムなどが有名だ。

もともと堺県だったものが解体させられ大阪府に編入したという残念な歴史も持っており、小学生の時に学ぶ「自分の街の歴史」では、なにかと覚えなければならないことが多い土地柄でもある。
もちろん京都、奈良には太刀打ちできませんけど。

そんなこなんなで、歴史的遺構は数多く、例えば堺区にある住吉大社は大阪市にある住吉大社の分社で、奈良の都を出発した遣唐使は竹内街道を西進して、このお宮さんい至り、そんでもって北上して住吉大社に参詣してから危険な航海に旅だった場所。
この住吉大社からほど近い場所に千利休の屋敷跡や与謝野晶子や沢口靖子が卒業した府立の高校や、幕末のフランス人殺害裁判で有名になった堺事件ゆかりの地、妙国寺もあったりする。
市内を流れるドブ川の土居川は、環濠都市堺の環濠の名残をとどめていて、ザビエル公園はもともと南蛮船が到着していた船着場のあったところだというから、そのあたりを想像巡らせて歩きまわると、無理やり魅力がると思えないこともない。

この堺市で最も有名な歴史的建造物が仁徳天皇陵。
墓陵としては世界最大の規模を持ち、素直に白状すると堺市民の誇りでもある。

ところがこの天皇陵。
大きな欠点があるのだ。

昨日の読売新聞ネット版によると、
「世界遺産候補にもなっている仁徳天皇陵は大きすぎて近くから見ると、単なる森にしか見えない。そこで堺市は上空へ登って『鍵型になっている』仁徳天皇陵を見てもらう観光事業を計画中」
と、いうことだ。

前方後円墳の美しい姿を空から眺めようという計画なのだそうだが、気持ちはわからないでもないが、無理が有るような気がする。
確かに横から見ると単なる森。
大きな堀で何重にもは囲まれているので入ることは容易ではないし、第一、宮内庁の管轄で中に入るには天皇さんの許可が要る。
だいたい許可などでるわけはなく、私の知りうる限り、子供の頃にお堀で泳いで警察にしかられたという先年亡くなった叔父以外に柵を超えて中に入ったことがあるという人に、出会ったことがない。

ここはかなり神聖な場所で、皇室に慶事があれば、大阪府南部の人たちはここの宮内庁事務所に記帳にでかけたりすような場所なのだ。

さらに、仁徳天皇陵の北方2kmほどのところには大阪拘置所がある。
皇室ゆかりの神聖な場所の近くに刑務所、というのもいささか不謹慎ではないかと思うのだが、それもまた事実。
その大阪拘置所は重罪犯を収容する刑務所として全国に知られているような国の重要な施設。
仁徳天皇陵を上空から見上げるために気球に乗ったりすると、仁徳天皇陵と一緒にその刑務所の中まで覗けてしまい、かなり問題だ。

ということで、どうしても上空から見たい人は、関西空港から羽田空港行のヒコーキに乗る。
これがベスト。
座席は向かって左側、EとかFとかの座席で、翼が邪魔しないところ予約して、快晴の午前中に搭乗して、運良くヒコーキが上昇時に関空上空で旋回して東に向きを変えたら眼下に仁徳天皇陵をはじめたくさんの古墳の「鍵型」を見ることができるかも知れない。

なお、写真を取りたいときは「ここから電波を発信しない電子機器のご使用は可能です。安全ベルトのサインが......」のアナウンスがあってからにしよう。

(写真は、関空発羽田行のANAから私が撮影した仁徳天皇陵です)

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )