<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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先日、福島県を訪れたときに放射線被害について放射線分野の専門家と話す機会があった。
私にもそんな機会が回ってくる大変な時代になったものだ。

その時、先生はいたくお嘆きの様相なのであった。

「マスコミや政府の顧問をやっている科学者の人たちというのは、どうして提案型の解決策を撃ち出していくことができないんでしょうかね」

と嘆いていたのだ。
さらに、

「どうして原発事故に社会活動家や一携帯電話会社の社長なんかが出てくるんでしょうかね。スリーマイルでもチェルノブイリでも前線に出ていたのが物理学者ですよ」

とも嘆いていたのだ。

先生の話によると、マスコミに出てくる専門家は「わーわー巷を騒がせて、市井の不安を煽っているだけ」、政府の顧問という専門家は「お金を貰っているからかどうかは、科学的知識よりも感情論が先にたって、事態回復がちっとも進まない」というのが、物理学の専門家が見ていて感じることなんだそうなのだ。
ましてや電話屋の親父が登場してやれ代替エネルギーどうのこうの、など私見を述べて偉そうにすることなんか、海外ではないそうで、

「ほんと。どうして日本は論理より感情が先に出てくるんでしょうね。復興を阻害しているのは一部のひとがワイワイ騒いでる感情論ですよ」

聞いてみれば、なるほど、感情論。
論理的で効率的な解決策が政府、地域の自治体からまったく提示されないのはこのためだそうである。

まず、福島県の未来としては、
「ある一定の放射線とは付き合って生きていかなかればならなくなった」こと。
これが重要で、そのためには周囲やマスコミに惑わされることのない正しい科学知識が必要だ。

また「福島県の空気中の放射線量は自然放射線レベルに落ちついている」ことや「放射線を発する物質は地表に堆積しているので、その処理を考え、注意する」ことなどを念頭に対策を立てる。
例えば「グランドの土を掘り返したらなんとかなる」という噂のような情報をもとにした考えだけではもちろんダメ。
雨樋、溝、屋根などの除染も必要。
そして除染して出てきた土や泥などは、例えば原発近くに大きな穴を堀、埋める、とか低放射線レベルの土はコンクリートで固めて堤防などに使用すると害もないし廃棄物の場所にも困らない。

などなどの対策が有効なのだという。

それもこれも正しい知識で対応したら、どれもこれも解決する道は開けるそうで、危険なのは感情に走って何もできなくなることなのだそうだ。
感情に走らず冷静な情報を提供するのも政府や関係機関の任務に違いなく、実際に福島へ行って福島の人と話したら「何を信じていいのか分からない」というようなところが、最大の不安要素なのかもわからない、と思ったのであった。

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