平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

かける数とかけられる数

2016-05-30 12:41:34 | 数学


掛け算に順序があって逆にすると×になる、という暴力的な算数教育が行われていることを知ったのは、
妻がテストの丸つけをしているときです。

(妻)「あっ、この子間違えとる。あれほど言ってるのに」
(私)「ん?これ合ってるじゃない。どこが間違いなの?」
(妻)「順序を間違えとる。かけられる数が前」
(私)「そんなのどっちでもよい」
(妻)「よくないの!そういうことになっとる」
(私)「どっちでも良いんだよ、なぜなら九九マトリクスの対称性…」
(妻)「教科書がそうなっとる」
(私)「教科書に頼らず自分で教材を作ればいいじゃないか」
(妻)「テストも全部そうなっとるので仕方ないの!仕事の邪魔をしないで!」
(私)「…」

妻の言い分もわかるのです。
「教材を自分で作れ」は、言うは簡単ですが中々大変です。
また、テストがやっかいです。
出版社が教科書に沿ったテストを作っており、テストを無視することはできません。
教科書やテストを無視した教育を行えば大変なことになります。
仮に信念にもとづいて「かける数とかけられる数」を全否定する教育を行ったとしましょう。
その結果どうなるか。
まず保護者から苦情が寄せられるでしょう。
つぎに、校長の指導が入りそれを無視すると、能力不足教員の烙印を押され分限免職の処分を受けるでしょう。
教師は、おかしいと思いながらも(おかしいと思わない教師も多い)、間違った教育を行うしかないのです。

数学に「かける数とかけられる数」のような区別はそもそも存在しません。
たとえば、理想気体の状態方程式



の左辺は、
どちらが「かける数」で、どちらが「かけられる数」なのでしょうか?
右辺には記号が3つありますが、このような場合はどうなるのでしょうか?
教科書会社も監修者として名を連ねているぼんくら大学の教授も答えられないはずです。
「かける数とかけられる数」をまじめに学習すればするほど将来苦しむのです。
理想気体の状態方程式のような式はそれこそ無数にあるので混乱して訳がわからなくなるでしょう。
このような教育は脳破壊であり暴力そのものです。
今すぐ止めさせなければなりません。
とは言うものの洪水のような破壊力をもった流れを一人の力で食い止めることはできません。
そこで、ここでは次のやり方を提案します。
掛け算に単位をつけるのです。
添付画像の設問では次のようにします。



単位をつけると児童は掛け算の意味をはっきり理解できるはずです。



順序を変えても式の意味は変わりません。
このようにすれば「かける数とかけられる数」の呪縛から開放され自由な算数を取り戻すことができるでしょう。

それでも「かける数とかけられる数」にこだわる岩石頭の持ち主は、
算数教育に携わる資質が基本的に欠落しているのでさっさと辞めて他の仕事を探せ
と強く言いたい。