全英連参加者のブログ

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埼玉高速鉄道延伸と県立大医学部構想について。

2012-03-17 07:33:18 | 気になる 地方自治・行政

 3月13日 埼玉新聞
 地下7延伸、事業化は困難 検討委が報告書
 埼玉高速鉄道(SR)浦和美園駅以北の延伸策について議論する「地下鉄7号線延伸検討委員会」(高松良晴委員長)は12日、さいたま市内で開いた最終会合で報告書を取りまとめ、県とさいたま市に提出した。延伸の実現について「
現時点での事業化は難しい」と結論。一方で、沿線地域の活性化や開発を進めることで実現できる可能性もあるとした。

 3月13日 読売新聞
 検討委が報告書
 埼玉高速鉄道の岩槻延伸の可能性を話し合う「地下鉄7号線延伸検討委員会」の最終会合が12日、開かれた。報告書では「
地域開発を進めれば、事業評価は高まる」と結論づけた。延伸は今後、上田知事と清水勇人・さいたま市長の政治判断に委ねられる。

 記事を読んだところ、岩槻延伸のための、約770億円の建設費の償還を終えるのに44年が必要。採算性の基準となる30年を大幅に上回る見通しだという。
 2紙の書き方を見ると、どちらとも取れる。政治家の決断にゆだねられたことになる。

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 3月14日埼玉新聞
 医学部設置の計画追加
 2012年度から5年間の県政基本方針を示す5か年計画案を審議する県議会特別委員会(小谷野五雄委員長=自民)は13日、最大会派の自民から提出された同修正案を賛成多数で可決した。
 ~中略~
 執行部が踏み込んでいない「
県立大学(越谷市)医学部設置に向けた計画の策定」や「小中学校各学年での全県一斉テストの実施」などが盛り込まれた。(沢田稔之記者記名記事)

 委員会原案
 「医学部の調査・検討」
 可決された修正案
 「県立大学医学部設置認可のための体制の確立と医学部設置に向けた計画の策定」を加えたことになる。

 知事答弁(上記)のように、設置だけでも700億円。年間維持費が最大で65億円である。

***** *****

 埼玉県議会ウェブサイト(http://www.pref.saitama.lg.jp/s-gikai/)を以下の順で進む。

 定例会概要
  ↓
 平成23年6月定例会
  ↓
 一般質問  質疑質問・答弁全文
  ↓
 質疑質問者一覧
  ↓
 6月28日(火曜日)
  ↓
 藤林富美雄(公) 藤林県議の質問6.(1)

 ここに、県立大学医学部新設に関する県議の質問と、知事答弁が掲出されている。(平成24年3月17日付現在読むことができます。新しいウインドを開きます。)
 『埼玉県立大学への医学部の設置について』という質問に対する、上田清司知事の答弁概要は以下の通り。

  1. 福島県立医科大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学を調査している。
  2. 医学部新設に当たっては附属病院が必要。医師300名をはじめとする1,300名程度の医療スタッフを確保しなければならない。
  3. 建設費として700億円程度の初期投資、運営費として最大で年間65億円程度の補填が必要。

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 二つの話題。公務員としてどう考えるか自分に尋ねてみた。

 埼玉高速鉄道の岩槻駅までの延伸工事
 実際の工事が始まってから開通まで、10年は見なくてはならないだろう。工期10年として年間77億円の支出である。2012年度にもしも延伸工事開始を政治が決断した場合、基本計画策定、環境アセスメント、工事申請、土地の買収やることはそれこそ山ほどある。開通は2020年代になるだろう。
 今年2月1日現在、埼玉県の推計人口は、7,204,761人である。770億円をこの人数で割ると、一人10,687円である。それを10年分割にすると、1年で1,068円。12(ヶ月)で割ると89円である。

 う~ん...

||||| |||||

 埼玉県立大学に医学部(医学科)設置
 何年かかるのだろう。過去10年以上大学の設置認可のことは、進路指導の仕事の一環として調べてきた。以前とは異なり、施設設備審査、教育課程審査などで、認可まで1年間で通るようになっているらしい。でも、ここ数年申請はしたものの、認可されないものや、申請取り下げなどが非常に目立つ。思いついてすぐに申請できるものではないことは、誰が考えてもわかることだ。認可されるように申請しなければならない。それが簡単なことではないから、上記修正案のようになったのだから。医学部となると、文部科学省の設置認可申請だけではすまない。
 大学の設置認可申請。どんなにがんばっても、設置認可申請準備と付属病院建設計画で、4、5年はかかると思う。それから申請である。
 大学にそれなりの教学スタッフを集める。申請前に、現在どこかの大学で教鞭をとっている方に、勤務校を円満に退職し、新大学に異動する約束をとりつけなければならない。病院の建物、医療器機はあたりまえだが、人はもっと必要(重要)なのだ。知事答弁でも、1,300人(!!!)ものスタッフが必要とある。ハンパではない。

 大学開学後、無事入学式を行い、学校が動きはじめる。でも、医学部は最低6年間は卒業までかかる。医師国家試験に合格し、臨床医になるにはさらに2年の臨床経験が求められる。ドクター一人作る(失礼)には、認可申請から、おそらく最低でも10年近い年月が必要なのだ。県大卒ドクター第1号が、病院の現場に現れるのは、2025年頃である。大学に設置だけでも700億円。年間維持費が病院運営費を含めて、最大65億円。これならば何か他の方法を模索した方がいいようにも思える。
 鉄道と同じように計算する。700億円を同じように、埼玉県の推計人口で割ると、一人9,715円。971円、80円。10年計算でこうなる。これに、年間維持費が最大で65億円。半分としても30億円。この額が大学(の医学部)があるかぎり、ずっと続くのである。

 知事が調査対象として名前をあげた3大学を見てみた。(  )は新制大学としての開学年度である。
 福島県立医大(1950年)
  前身は福島女子医専
 奈良県立医大(1952年)
  前身は軍医養成のための奈良県立医専
 和歌山県立医大(1952年)
  前身は1948年旧制和歌山県立医大

 いずれも開学から60年もたっている大学である。三つとも旧制大学、医専の流れをくむ大学である。調査対象として、どうなのかなとも思う。なお、三大学には、大学院医学研究科がある。埼玉県立大学にはすでに、保健医療福祉学研究科(修士課程)がある。医学部があるけど、大学院がないということは、ありえない。そうなれば、知事答弁にある1,300人というスタッフに加えて、開学から数年度、さらに教学担当者をはじめ、事務スタッフの追加が必要になる。

 う~ん...

**** ******

 770億円も、700億円&最大65億円。どれもこれも、気が遠くなるような金額である。

 僕は埼玉県の職員である。行政側の人間である。行政を束ねる政治がどのような判断をしても、それは公務員として是認しなければならないと思う。鉄道延伸も医学部開設も、普通の行政マターではない。明らかに、未来を考え、決めるのは、選挙で選ばれた人(首長・議員)の仕事の範疇である。選んだ側は、最終的には、選ばれた人の決断(お金の使い方)に縛られることになる。

 鉄道が延伸し、医学部ができて、病院が開院する。なかなかいい感じである。お金も何とかと思う。でも、くり返しになるが、大学医学部を作り、お医者さんを作るのも、鉄道の延伸も、どんなにがんばっても十数年後なのである。
 鉄道の延伸にかかる建設費は償還までに40年以上である。延伸を決めた場合、決断する首長も議員も、その頃にはほとんど生きてはいないだろう。大学医学部への運営費補填はずっと続くのである。平成24年現在、埼玉県・さいたま市にで働いている一番若い職員を除けば、ほぼ全員定年退職になっているはずだ。それほどの未来のことである。鉄道ができれば便利になる。医学部ができ、病院ができれば、地域医療の中核病院になる。いずれも、それもずいぶん先のことである。

 う~ん...

 自分の考えがなかなかまとまらない。

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