太平洋上にあるトレイシー・アイランドに招待されたエージェントのレディ・ペネロープは、サンダーバード1号から5号を目にし、国際救助隊の立ち上げに参加する(『サンダーバード登場』)。
ウラン工場の爆破事件が起きた同じころ、エベレストで雪男が出現する事件が発生。しかしそれは、国際救助隊の宿敵フッドが仕組んだわなだった(『雪男の恐怖』)。
イギリスで豪邸を狙う連続強盗事件が発生。ペネロープは自分の屋敷に犯人たちをおびき寄せる作戦を決行する(『大豪邸、襲撃』)。
3本立。ただし、55年前の作品の再編集・公開ではない。「新作」だ。5年前に企画が立ち上がり、放送当時のCVで録音されていた音声ドラマレコード(の音源)を用いて、新たに映像を作り、映画化されたものが本作。
劇中にでてくるパペット、救助隊のメカ、セットは新作。スコットたちも新規に作られたものである。予告編にもTB1からTB4の出動シーンがある。ここはバンクフィルム(のリマスター?)である。
本作は三部構成
第一話、ペネロープは『サンダーバード登場』で、国際救助隊のメカであるTB1からTB4を見ることになる。
第二話、第三話とも、正直「ちがう」感じ。これでは看板に偽りありになる。国際救助隊(のスーパーメカ)が活躍した感じが全くしない。タイトルは、”The Adventures of Lady Penelope Creighton-Ward with Parker”だろう。
いにしえの雰囲気を再現する
そのことに縛られすぎた本作は、正直劇場公開のレベルではきびしい感じだ。方向性を間違えちゃったような気がする。作るのならば「再現ドキュメンタリー」が、劇場公開に適している形態と思えた。
満島ひかり(ペネロープ)は、がんばりました。
はいパパ
国際救助隊のメンバーが、父親で救助隊創設者のジェフからの指示に対して返事をするときにいう。
1966年の放送時、第1回のエピソードでのこと。出動する隊員(息子たち)はジェフからの指示にこう答えている。
スコット 「わかりました」(Right, Father.)
アラン 「はい、パパ」(Okay, Father.)
バージル 「がんばりましょう」(Sure thing, Dad.)
ゴードン 「やってやるぞ」(Yeah, Father.)
日本語版はアランが「はい、パパ」だが、カッコ内の原音を見ると、一人も「はい、パパ」とそのまま日本語にできる単語は使っていない。
ものがたり世界の年齢順では、スコット・ジョン・バージル・ゴ-ドン・アランの順なので、アランが「パパ」になったのかな。でも、他のシーンではアラン以外も、ジェフに「パパ」と呼びかけている。半世紀前、自分の父親を「パパ」と呼ぶ割合は、現在と比較して圧倒的に少数派のはず。この翻訳がサンダーバードのものがたり世界を、どれだけ日本人の子供にカッコよく見せたか。
本作でもそこここで、「はいパパ」がでてきた。
THUNDERBIRDS ARE GO.
テレビシリーズのop.で流れていた記憶がある。中学校で英語の勉強が始まり、原題がThunderbirdsで複数形であることをはじめて認識した。何でare goingじゃないのかも疑問に感じた。曖昧な記憶だが、『goは(形容詞で)「準備よろし」の意味で使う。』と英語の先生が教えてくれたと思う。
この ”go” 最近の日本語としては、ほぼ死語の「ゴーサイン」の「ゴー」である。「行け」(〇〇〇をすすめろ、実行しろ)という意味で使われるようだが、英語では形容詞として以下の意味になる。
functioning properly(故障なく作動中、正常に作動中)
being in good and ready condition(準備万端)
本作のサンダーバード、”go” だろうか。
My Thunderbirds are gone.
(サンダーバードは去りぬ)
そんな感じがした。
TBはThunderbirdの略号。
Sure thingは「わかった」等の意味。