彦四郎の中国生活

中国滞在記

東京オリンピックが閉幕して❶国内世論は、開催して「よかった」6割、「よくなかった」3割

2021-08-13 11:14:40 | 滞在記

 この夏の開催について、日本国内では賛否が2分していた東京オリンピックが19日間の激闘を終えて8月8日に閉幕した。閉会式中継を録画しておいて翌日にゆっくりと全編を観た。各国の国旗が全て入場し、その後に各国の選手たちが国立競技場に一斉に入場した。肩を組み、健闘をたたえ合う各国の選手たち。思い思いにスマホを構え、会場のそこかしこで記念撮影が続いた。

 国内外で活躍するバンド「東京スカパラダイスオーケストラ」の軽快な演奏が始まる。「上を向いて歩こう」「愛の賛歌」「歓喜の歌」などの名曲が夜空に響く中、会場はリラックスムード。体を揺らす選手や、芝生に寝転ぶ姿も見られた。

 ほんの数秒だったが、180度の開脚をしている映像が流れた。あとで調べてみると、ウクライナの新体操のフリスティナ・ポプラニチナという選手だった。男子選手の肩に両足を乗せて見事な開脚姿を見せていた。(上記4枚の写真)閉会式ならではの光景だった。

 閉会式の中で、コロナパンデミックの鎮魂のダンスとその周囲を行く鎮魂の灯籠がとても印象的だった。東京音頭に合わせて、各国選手も踊っている姿も心に残った。また、ボランティアを代表している人たちが壇上に数名並び、ヒマワリのブーケを渡される場面には、私も「ごくろうさまでした。ありがとう」と少し胸が熱くなった。

 この閉会式で圧巻だったのは「光のショー」だった。選手たちの入場が終ると会場は暗転。選手たちが立つフィールドに色とりどりの光の粒が滝のように流れ込み、滝つぼに水が落ちるように広がり、そして舞い上がり五輪の巨大な輪が作られ始めた。どうしてあのようなものが創作できたのか不思議でもあった。そして国立競技場の電光掲示板に「ARIGATOU」の文字が映し出された。その文字を背景に記念撮影をする選手たちの姿が印象的だった。

 そして花火とともに東京オリンピックは閉幕の時を迎えた。国立競技場の周囲にはたくさんの人がつめかけ、この瞬間をスマホに撮影もしていた。

 この閉会式のテレビでの視聴率はかなり高いものだったようだ。前半(19:58~21:00)の視聴率は、個人31.5%・世帯46.7%。後半(21:00~22:00)の視聴率は、個人27.1%・世帯39.8%と翌日に報道されていた。日本のネット上では「やはりつまらん!」との酷評も多かったが、なぜこのように国民的に視聴率が高くなったのか不思議でもあったが‥。

 閉会翌日9日の朝日新聞には、「五倫 異例づくめ閉会—無観客開催 メダル最多」「幕は下りた 光を残して」などの見出し記事。「パンデミック終われば日本に―海外選手の帰国ラッシュ始まる」の見出し記事も。

 同じ9日付朝日新聞には、「菅内閣支持最低28%—支持しない53%」の見出し記事。この記事にはこの東京五輪開催についての世論調査も掲載されていた。それによると、①「開催されてよかった」56%、②「開催はよくなかった」は32パーセント、③「無回答」12%だった。同日の読売新聞には、1「東京五輪が開催されてよかった思うか」は、「よかったと思う」64%、「よかったと思わない」28%、「無回答」8%。2「どのように開催するのがよかったか」は、「無観客」61%、「もっと観客を」12%、「中止」25%、「無回答」2%。3「今後も日本で開催してほしいと思うか」は、「思う」57%、「思わない」38%、「無回答」5%だった。また、「菅内閣について」は、「支持する」35%、「支持しない」54%、「無回答11%」だった。

 朝日新聞と読売新聞の「東京五輪開催」の是非については数値に違いはあるが、ほぼ60%の人が「開催されてよかった」との世論調査の結果だった。また、「開催はよくなかった」はほぼ30%という結果だった。おそらく「どちらとも言えない」が10%前後。

 この閉会後も「開催すべきではなかった」という30%の人々は、新型コロナウイルス感染拡大を危惧してのことがその背景にあるが、政党的には日本共産党や立憲民主党は開催に反対し続けてきているので、それらの政党支持者には「開催反対」の思いを持つ人が多かったと推測もされる。また、菅内閣の支持率が五輪開催によって上昇せず、逆により低下したことは、五輪開催を一定評価しつつも、コロナ感染者のインド株による爆発的増加に対する対策のなさを厳しく批判する人々の思いがあるのかと思われる。

 

 

 

 

 


東京オリンピック、アスリートたちの数々の激闘を観た19日間—幕は下りた、光を残して

2021-08-13 06:06:04 | 滞在記

 7月21日(水)から19日間にわたって繰り広げられた東京オリンピックの激闘は、8月8日(日)に幕が下りた。光を残して。

 昨日8月12日(木)にスポーツ雑誌の『Number』が発売された。「完全保存版東京五輪激闘録」特集号だ。この雑誌『Number』は1984年に創刊されて以来、隔週号を発刊し続けて、今回の号で1034号となる。夏のオリンピックや冬季オリンピックが閉幕した直後には、その特集記事を掲載し続けている。

 今回の東京オリンピック特集号には付録のファイルがついていた。そのファイルには1984年のロサンゼルス五輪から2016年のリオネジャネイロ五輪までの夏のオリンピック特集号の雑誌の表紙が全て掲載されていた。(上記写真の左端①) その表紙に日本人アスリートの写真が使われているものが何号かあった。1992年バルセロナ五輪での水泳・岩崎恭子、2000年シドニー五輪でのマラソン・高橋尚子、2004年アテネ五輪でのマラソン・野口みずき、2008年北京五輪での水泳・北島康介、2012年ロンドン五輪での体操・内村航平、2016年リオネジャネイロ五輪での陸上4×100m(400mリレー)アンカーとして走るケンブリッジ飛鳥と米国のウサイン・ボルトの姿。

 そして、今回の2020+1年東京五輪では、卓球混合ダブルスの水谷・伊藤ペアがその表紙を飾った。今回の特集号では金メダルや銀メダル、銅メダルを獲得した選手たちなどの中で、卓球男女、体操の橋本大輝、体操男子団体チーム、水泳女子400mと200mメドレー2冠の大橋悠依が特集掲載されていた。

 また、体操女子の村上茉愛、男子サッカー、女子バスケットボール、野球も特集記事が掲載されていた。

 他には柔道の大野将平や阿部一二三・詩の兄妹、レスリングの川井梨紗子・友香子姉妹、空手の清水希容、ソフトボールの上野由岐子、そして水泳の池江璃花子などの特集記事も掲載されていた。

 最近の東京五輪関連の一連のブログで書いてきたが、私がこの東京五輪で大きな関心をもって試合を観戦していた競技としては①サッカー、②ソフトボール、③卓球、④バレーボールの4競技。それらの競技以外でも、五輪の試合中継を観ている中で、空手の型、女子バスケットボール、体操などの試合には惹きつけられた。橋本大輝の鉄棒の演技などには心が震えた。五輪最終日のマラソンコースで映し出された札幌の町並みや北海道大学構内は懐かしかった。

 男子サッカーは、決勝トーナメントの準決勝まで進みスペインと対戦、3位決定戦ではメキシコに敗れた。健闘はしたが、強豪国との力の差がまだあることを実感させらもした。男子バレーボールは決勝トーナメントでの準々決勝までの進出とまりだったが、まあ、それなりの実力と戦勝を積み重ねてはいた。

 女子サッカーは、残念ながら決勝トーナメントに進む力をチームとして精神的にも体力・技術的にももっていなかった感がある。これまでの高倉監督のチーム作り手腕には大きな疑問がもたれた。女子バレーボールは、残念ながら決勝トーナメントにのこれなかった。女子バレーボールは、中国が予選リーグ敗退という大波乱があった東京五輪。中田監督のチームのいままでのチームづくりの問題点も指摘されているが‥。韓国戦をなどを観て思ったが、日本には韓国のキム・ヨンギョンのような絶対的エースが不在なのが痛かった。

 陸上短距離走は国民的にも大きな期待がかけられていた。100m走全員が予選落ちで決勝に進めず、400mリレーでまさかのバトンミスでの棄権となった。とても残念だった。また、バトミントンの桃田選手の1次リーグでの敗戦は予想もしなかった。選手たちの再起を期待したい。

 上記写真左から①③ロシアのマリア・ラシツケネ、②ウクライナのヤロスラク・マフチフ

 他の競技では、女子走り高跳び競技に惹きつけられた。ロシアのマリア・ラシツケネ選手(28)は、最近の世界選手権で3連覇してきているが、ロシアのドーピング問題でまだオリンピックでの競技参加はなかった。今回の東京五輪が初めてのオリンピック。若手、ウクライナのヤロスラク・マフチフ(19)との金メダル争いが注目されたが、マリア・ラシツケネが勝った。五輪金メダルおめでとう。

 新体操競技は大会の最終盤に登場した。見ていて楽しく美しい。そして観ている方も緊張感がみなぎる演技の数々。五輪大会の華の一つだと思った。団体ではブルガリアが金メダルを獲得した。ハンガリーのファンニ・ピクニッキ選手の個人種目での演技衣装には驚かされた。衣装には日本の富士山・桜・金閣寺・紅葉・中央アルプスの山々・波が描かれ、さらに「強武士」と書かれた文字までが刺繍されていた。また、ウズベキスタンの団体演技では美少女戦士セーラームーンをあしらった衣装だった。

 猛暑というか酷暑の中の、東京五輪の真夏が幕を閉じた。インターネット記事のコメント欄の中には、「コロナ患者数の報を耳にする日常から、選手の活躍が沈んだ気持ちを和らげてくれる。」と。私もこの19日間そうだった。東京五輪の幕は下りたが、暗闇の幕の中の心の中に光は残っている。