この夏の開催について、日本国内では賛否が2分していた東京オリンピックが19日間の激闘を終えて8月8日に閉幕した。閉会式中継を録画しておいて翌日にゆっくりと全編を観た。各国の国旗が全て入場し、その後に各国の選手たちが国立競技場に一斉に入場した。肩を組み、健闘をたたえ合う各国の選手たち。思い思いにスマホを構え、会場のそこかしこで記念撮影が続いた。
国内外で活躍するバンド「東京スカパラダイスオーケストラ」の軽快な演奏が始まる。「上を向いて歩こう」「愛の賛歌」「歓喜の歌」などの名曲が夜空に響く中、会場はリラックスムード。体を揺らす選手や、芝生に寝転ぶ姿も見られた。
ほんの数秒だったが、180度の開脚をしている映像が流れた。あとで調べてみると、ウクライナの新体操のフリスティナ・ポプラニチナという選手だった。男子選手の肩に両足を乗せて見事な開脚姿を見せていた。(上記4枚の写真)閉会式ならではの光景だった。
閉会式の中で、コロナパンデミックの鎮魂のダンスとその周囲を行く鎮魂の灯籠がとても印象的だった。東京音頭に合わせて、各国選手も踊っている姿も心に残った。また、ボランティアを代表している人たちが壇上に数名並び、ヒマワリのブーケを渡される場面には、私も「ごくろうさまでした。ありがとう」と少し胸が熱くなった。
この閉会式で圧巻だったのは「光のショー」だった。選手たちの入場が終ると会場は暗転。選手たちが立つフィールドに色とりどりの光の粒が滝のように流れ込み、滝つぼに水が落ちるように広がり、そして舞い上がり五輪の巨大な輪が作られ始めた。どうしてあのようなものが創作できたのか不思議でもあった。そして国立競技場の電光掲示板に「ARIGATOU」の文字が映し出された。その文字を背景に記念撮影をする選手たちの姿が印象的だった。
そして花火とともに東京オリンピックは閉幕の時を迎えた。国立競技場の周囲にはたくさんの人がつめかけ、この瞬間をスマホに撮影もしていた。
この閉会式のテレビでの視聴率はかなり高いものだったようだ。前半(19:58~21:00)の視聴率は、個人31.5%・世帯46.7%。後半(21:00~22:00)の視聴率は、個人27.1%・世帯39.8%と翌日に報道されていた。日本のネット上では「やはりつまらん!」との酷評も多かったが、なぜこのように国民的に視聴率が高くなったのか不思議でもあったが‥。
閉会翌日9日の朝日新聞には、「五倫 異例づくめ閉会—無観客開催 メダル最多」「幕は下りた 光を残して」などの見出し記事。「パンデミック終われば日本に―海外選手の帰国ラッシュ始まる」の見出し記事も。
同じ9日付朝日新聞には、「菅内閣支持最低28%—支持しない53%」の見出し記事。この記事にはこの東京五輪開催についての世論調査も掲載されていた。それによると、①「開催されてよかった」56%、②「開催はよくなかった」は32パーセント、③「無回答」12%だった。同日の読売新聞には、1「東京五輪が開催されてよかった思うか」は、「よかったと思う」64%、「よかったと思わない」28%、「無回答」8%。2「どのように開催するのがよかったか」は、「無観客」61%、「もっと観客を」12%、「中止」25%、「無回答」2%。3「今後も日本で開催してほしいと思うか」は、「思う」57%、「思わない」38%、「無回答」5%だった。また、「菅内閣について」は、「支持する」35%、「支持しない」54%、「無回答11%」だった。
朝日新聞と読売新聞の「東京五輪開催」の是非については数値に違いはあるが、ほぼ60%の人が「開催されてよかった」との世論調査の結果だった。また、「開催はよくなかった」はほぼ30%という結果だった。おそらく「どちらとも言えない」が10%前後。
この閉会後も「開催すべきではなかった」という30%の人々は、新型コロナウイルス感染拡大を危惧してのことがその背景にあるが、政党的には日本共産党や立憲民主党は開催に反対し続けてきているので、それらの政党支持者には「開催反対」の思いを持つ人が多かったと推測もされる。また、菅内閣の支持率が五輪開催によって上昇せず、逆により低下したことは、五輪開催を一定評価しつつも、コロナ感染者のインド株による爆発的増加に対する対策のなさを厳しく批判する人々の思いがあるのかと思われる。