長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

時を刻む時計

2009-09-26 06:09:29 | Weblog
昨日の朝、白井晟一さんのアトリエで、彼が生前から
愛用していたクラシックな時計のぜんまいをまいて、
振り子をふってみた。
「チクタク、チクタク・・・」と動くけど、2分くらいすると
止まる。時計がまっすぐ安定していない場所だったので、
何箇所か掛けなおして、やってみたら、ぴたっとくる場所
があった。そこに備え付けて、再度振り子をふってみると、
動いた。
「古時計」の歌は、おじいさんが生まれた日にやってきたけど、
ここの古時計は、元気が旅立ったときに、いただいた。
鳥が玉子から孵化するとき、卵のなかからつつく(そつ)。すると親鳥
は、ここ、というタイミングで外からつつく(たく)、その微妙な
タイミングが同時に行われて、新しい命が誕生する。
その「そつ」と「たく」のタイミングを見て、「悟りの瞬間」
みたいなその時を禅では「そったく」という。
そんなことを考えていたら、この時計の「チクタク・・・」
というのが「ソッタク・・・」に聴こえてきた。

夕方は、富川勝智さんの「19世紀ギターの夕べ ぱーと3」だ。
いつものように1830年にフランスで生まれたギターを
かかえて、富川さんが颯爽とあらわれた。
そのギターをつくった職人、そしてそれを最初に弾いたギタリスト
も、その演奏を聴いた人たちも、もうこの世にはいない。
でも、ギターは縁ある人たちに受け継がれていき、いつしか
海を渡って日本にやってきて、生きている。作曲家も逝って
しまったが、「曲」は時代を超えて、生きている。
調弦も大変な古いギターだけど、現代のものとは次元の違う
「音」で、昨日もクラシカルでクリスタルな気分になった。

最後にターレガが作曲したラブリマを弾いてくれた。
「元気君にささげる曲です」とのこと。
ラブリマ、「涙」という悲しい曲だ。でも人は、
悲しいこと、寂しいことを音楽にしてきたけど、
涙を流すことで、浄化してきたし、涙で目を洗って
きた。だからたくさん泣いてきた人の眼は美しい。

今日は「花」のお稽古。月に一度山口から原田先生
がやってくる日。今日はピアニストの赤松林太郎君も
参加する。日本一の花の先生のもとに、多士済々な
人たちが集まってくる。
音楽や花や書など、芸術はとても素敵だけど、
人間が出会ったり、分かれたり、悲しんだり笑ったり
して生きていくものがたりそのものが、アートでは
あるまいか、と、つくづく思う。

夜は「スケッチの会」。
今日は芸術のダブルヘッター。



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