長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

炭をいれるのに、涼しく感じるもの?

2017-01-10 08:28:20 | Weblog

天真庵では冬は炭をつかって暖をとる。春さき、少し温かくなるころも、炭を

入れるとホッとする、というか、涼やかな風を感じるような気がする。日本人の

暮らしにながく君臨してきた「もの」の美しさ。

5日の日に仕込みをしていたら、なじみの骨董屋から電話があった。

「煎茶のセンセがなくなって、シュンポウのリョウロが手に入った」

とのこと。すぐに、仕込みの段取りを残して、骨董屋にいく。

シュンポウとは、煎茶道具を代々つくってきた京都の陶芸家で、井上春峰。

リョウロとは、涼炉。煎茶席で湯を沸かすコンロやね。煎茶の席では、一番背が高い

道具やし、その上に、ボーフラという素焼きの急須がのるので、「見どころ」なのである。

炭で湯を沸かす道具なのに、涼炉。というのがおもしろい、煎茶席の軸などに「清風」

という字が好まれるのも、日本人の風雅な趣味が感じられていい。

お店の玄関とこのショールームに、白い涼炉が飾ってある。それも、井上春峰。なんこかもって

いるけど、ついついいいもんを見ると「包んで!」といってしまう。パブロフの犬以下だ。

京都でもひとり代々涼炉をつくっている作家がいる。京都らしい雅な名前で、雲林院寶山(うんりんいんほうざん)。

20代寶山さんとは、京都時代に岡崎かどっかの飲み屋で出会って知り合いになり、彼の作品は煎茶のお稽古

や茶会でよく使わせてもらっている。もうそこそこお年なので、お互いが生きている間にもう一度あって酒を酌み交わし

たいものだ。

ついでながらいうと、涼炉の下におく台のことを「炉台」という。天真庵には、久保忠廣さんの黄瀬戸の炉台が光って鎮座している。

炭をあおぐものを「炉扇」という。道具というのは「道に具わったもの」という。道が途絶えると、いい道具がなくなってくる。

今日は「満つまめの会」。夜は寺子屋のことはじめ。「英語で蕎麦会」だ。

昨日能登に移り住んだお弟子様から、イカがおくってきた。もしも外人さんのポンぴきに成功したら、イカ三昧の蕎麦会になる。

能登の名酒「竹葉」もイカの足がからむような形でいっしょにやってきた。

♪お酒はぬるめの燗でいい つまみはあぶったイカがいい     炭とすみいかと酒、ほかになにがいるのだろうか。感謝。