長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

ぼーずがこわれた

2015-05-27 09:28:47 | Weblog

正確にいうとBOSEが壊れた。

1996年にギャラリーを池袋で始めた。その時に買ったオーディオ。

カタログも製品名もなく、世界限定5000台、25万円、1円もまけません、

というものだった。IT業界の先輩が、業務用にオーディオルームを2000万くらい

かけて作った時に遊びにいって、ホイットニーヒューストンを聴きながらワインを

飲んだ。「いいネ」ボリボリではない、感動をどう伝えていいいかわからないほど臨場感の

ある音だった。だがその先輩は浮かぬ顔をして、「これ聴いてくれる」といって、彼の社長室に

いって、ホイットニーを聴いた。「どう?」というので、「かわりませんね」と答えた。

25万のBOSE。お店で売ってはいなかった。縁とは不思議なものでそれから何日かして

営業マンがやってきた。寒山拾得の絵しか飾っていない、線香くさいギャラリーにぼーずが鳴る。

昨日はクラシックのコンサート。やまね組の天真庵ライブも22回目を数える。人生にこんなに幸せ

な日は、3日もあればいい、というような日を20回以上もいただく。ありがたい、とはこんなことだろう。

素敵なコンサートをやった次の日は、お店の空気が浄化されている。今朝そこでラヂオを聴いて

いたらモーツアルトが聴こえてきた。あまりに素晴らしいので、CDの部が壊れたぼーずを抱えて

家にかけていき、続きを聴いた。休日の朝がバラ色に輝いている。こんな朝に、煎りたての珈琲

や今なら新茶をゆっくり飲む。「そのくらいの贅沢」は、だれにでもこころの持ちようでできるのでは

ないだろうか。

31日は「三輪福」さん、というぼくのお蕎麦のおでしさまが、クリスタルボールを奏でてくれる。

福、という字は、田んぼで採れた成果物を、神に手向けるという象形文字。

根源的な幸せとは、そんなことだとつくづく思う。