うーむ・・・
読後感はこの一言だった。
この少し変わったタイトルと表紙絵に惹かれて読んでみた。
後輩荒木から聞いた店のことを思い出したのは、彼が行方不明になってからのことだった。
そこは料理と酒は飲めるのだが店という実体はなく、場所はそのつど借りているらしく、接客に現れるのは三十代の女将一人だけ。
客は一人でなくてはならない。
荒木の指摘で考案されたという新しいメニューは、その場一度限りの食事を付き合う女性と共に料理を一緒に食べるというものだ。
美しいしぐさで食事をする子、無口な子。
人がものを食べるというしぐさは、日ごろ取り繕っている人の本質が垣間見えて幻滅を感じたという話は良く耳にすることだ。
見とれるほどの美しい所作というのはどんなものだろうか。
ただ食事を共にするというだけの時間にいろんな世界観が散らばまれていて、心地よい静寂感の中で深く思索するのは哲学的でもある。
「上品な孤独をどうぞ」
これはもう、ぜにぜひ味わっていただきたい極上の小説です。
「少し変わった子あります」 森 博嗣
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