MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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ビジネス通訳検定

2005年11月06日 | 通訳研究

ビジネス通訳検定というのが始まるらしい。これは小松さんがやっているCAIS(通訳技能向上センター)が主体になっている。以前にも日商が同じようなことをやったが1回ぐらいで消えてしまった。今度はどうなりますか。

New Trends in Translation Studies: In Honour of Kinga Klaudy edited by Krisztina Károly and Ágota Fóris.という本がハンガリーのAkademiai Kiadoという出版社から出るようだ。Amazonなどでは多分買えないので、ISBNだけ書いておきます。ISBN 9630582570 22p pages. EUR40。


久しぶりに新刊案内など

2005年11月06日 | 翻訳研究

最近またリスニングの理論を考える機会があったので最近の進展具合をちょっと調べてみたのだが、どうもあまり進展と呼べるほどのものはないようだ。タイトルにListeningが入っている本はたいがいESLやEFL分野のもので、なぜか理論的には「いかがなものか」というのが多い。しかしその中でもMichael Rost (2002) Teaching and Researching Listening (Applied Linguistics in Action series). Harlow: Pearson Educationはちょっと変わっている。関連性理論やChafeの理論、CowanのWorking Memoryモデルなど、様々な理論を取り込もうとしている。いずれも当然リスニングの理論に組み込まれるべきもののはずだが、これまではそういう動きはなかった(と思う)。しかりRostはまだそういう理論を組み込んでモデルを作るところまでは行っていない。

一方、Townsend, D. J. and Bever, T. G. (2001) Sentence Comprehension: The Integration of Habits and Rules. Cambridge: MIT Press.は、リスニングという言葉は一切出てこないが、文の理解と言うからには当然listening comprehensionを含む。これはsymbolic-computationalアプローチとassociative-connectionistアプローチを統合しようという内容だ。何だか難しそうだが、前者はボトムアップ、後者はトップダウン処理と考えていい。センテンスはこの2つのレベルの情報が理解の過程で統合される自然なレベルであると言う。この説明に使われるのがAnalysis-by-Synthesisモデルという実に懐かしいモデルなのだ。「総合による分析」は最新の認知科学的研究でも活かされ、生き延びているということらしい。これは基本的に正しい方向だと思う。

Target Vol. 16 No. 2 (2005)にA nonlinear approach to translation (by Victor M. Longa)という論文が載っている。何でも、非線形動学とかカオス理論などを翻訳研究に適用するというらしいのだが、一体何ごとであろうか。興味のある人、読んで見て。

(明日に続く)