■マイケル・トマセロ(辻幸夫・野村益寛・出原健一・菅井三実・鍋島弘治朗・森吉直子訳)『ことばをつくる-言語習得の認知言語学的アプローチ』(慶應義塾大学出版会)をいただいた。トマセロのこの本は知っている人は知っていると思うが、用法基盤モデルに基づいて子どもの言語習得プロセスを説明するもので、生得的言語モジュールを仮定する生成文法とは対立する。帯にあるように、「ことばは本能ではない!」というスタンスである。すでに邦訳されているにもかかわらず、ほとんど話題にもならないディーコン(『ヒトはいかにして人となったか-言語と脳の共進化』)と通じるものがある。少し大きい本だが、広く言葉に関心のある人にお奨めだ。あるいはピンカーって何か変じゃない?トンデモじゃないの?と思う人には特に推奨する。個人的には「用法基盤的なアプローチでは、言語構文(linguistic constructions)それ自体を意味のある言語記号として考える。なぜならば、(たとえば、受動構文はあるものに何かが起こるということについて伝達する場合に使われるというように)構文(constructions)とは意味のある言語記号がコミュニケーションの場において使用されるパターンにほかならないからである」(p.6)というくだりに勇気づけられたのであった。
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