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非正規160人すべてクビ 外国人労働者 在住200万人 不安定な立場

2009-07-30 10:49:33 | 多文化共生
(以下、東京新聞【神奈川】から転載)
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非正規160人すべてクビ 外国人労働者 在住200万人 不安定な立場 『政治家は考えていない』

2009年7月30日

解雇通知などの書類を手に話す平本さん=小田原市で
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 閑散とする国会前で、「NO」「入管法改悪反対」などと書かれたプラカードに視線を向ける人は少ない。梅雨空の六月下旬、衆議院では入管難民法改正案が可決されようとしていた。

 座り込みに参加した日系ブラジル人の平本国雄オズワルドさん(47)=小田原市=は無力感を隠しきれなかった。「私たちは隠れた存在。日本人はあまり関心ないですね」 

 法案は参院でも可決されて成立。在日外国人に在留カードの携帯が義務づけられる。「監視する必要なんてないのに」。言葉に寂しさと憤りが混ざる。

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 海外で働いてみたいと考えていた二十代後半、祖父母の口癖が思い浮かんだ。「日本人はいい人ばかり。うそをつかない」。故郷を飛び出してからの二十年を振り返り、平本さんは何度も繰り返した。「そんなに甘くない、甘くなかったよ」

 当初は何年か働いて帰国するつもりだったが、岐阜や静岡、愛知、神奈川を転々。製造業や建設業の派遣やアルバイトを口コミで探した。過酷な労働にけがも絶えなかった。労災と認めてもらえないこともあった。

 それでもなんとか家族を養ってきたが、今年三月に生活が一変。二〇〇二年から請負作業員として働いていた自動車部品会社を解雇された。正社員はすべて日本人だったが、約百六十人の非正規社員はすべて外国人。その全員がクビになった。「必要になったら使って、必要なくなったら切る。これでは奴隷と変わらない」

 予兆は昨年末からあった。千五百円だった時給は千二百五十円に下がり、さらに手当もカットされた。残業もなくなり、三十五万円あった手取りは、解雇直前の三月には二十一万七千円になった。

 平本さんは現在、生活保護を受けて市営住宅で暮らす。高校に通う双子の息子が額に汗を光らせて帰宅すると、三畳、四畳半、六畳の3DKは急に狭くなる。「幸せになってほしい」。かばんを置いて飛び出していく息子の背につぶやいた。

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 一九九〇年の入管難民法改正以後、国内での日系人の就労が可能になった。外国人は人口の約2%の約二百万人に達し、日本社会に定着していく日系人も多いが、彼らの立場は極めて不安定だ。「まじめに働いて納税しているのに、どんどん追い詰められていく」

 平本さんに一票はないが、「私たちも社会の一部。声を聴いてほしい」と力を込める。「外国人をどうやって受け入れるのか、政治家は何も考えていないのではないか」。そんな疑問が消えないという。 (中沢穣)

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