(以下、毎日新聞から転載)
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日本語能力テスト:中止決定 外国人に戸惑い 「公的な支援必要」指摘も
財団法人「日本漢字能力検定協会」が突如明らかにした「BJTビジネス日本語能力テスト」の中止決定。日本語を学ぶ外国人などから戸惑いの声が相次ぐ一方、有識者からは「採算が取れるようになるまで国がテストを育てていくべきだ」などの指摘も出ている。
この試験の受験を考えていたという東京都江東区のインドネシア人女性の青木フィビ・レスティカ・ウィジャヤントさん(29)は中止について「えー」と驚きの声を上げた。
「日本で仕事をしたいと考え、BJTを目標に勉強している外国人は多い。なくなるまでに早く受験しないと」と不安げ。
そのインドネシア・ジャカルタで日本語学校を主宰する男性は「聴解力や読解力などをビジネスシーンに即して問う設問なので、作成が難しいことも中止の一因では」と推測。都内の日本語教師も「他の日本語検定もあるので影響は限定的では」と分析しつつ、「オーストラリア人の受験生が多いと聞いている。日本に住むオーストラリア人で帰国後に日本語を生かして仕事を探そうという人が多数受験しているはず」と懸念を示した。
BJTは、さまざまな分野で利用されてきた。経済産業省と文部科学省が07年度から進めている人材育成プログラム「アジア人財資金構想」は、海外から留学生を受け入れ、国内外の日系企業で働いてもらおうと、産業界や大学の協力を受け、募集・教育・就職活動支援を行ってきたが、日本語の習熟度を測る指標にBJTを使用してきた。
海外の人材育成事業に取り組む財団法人「海外技術者研修協会」(東京都足立区)の春原憲一郎理事は「海外の日本語学習者は09年までの3年間で約65万人増加しており、世界で日本語学習熱が高まっているこの時期の中止は時期が悪過ぎる。公的な補助や他の日本語教育機関による共催など、テストを継続するための具体的方策を考える必要がある」と話している。【袴田貴行、小泉大士】
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日本語能力テスト:今年度で中止 外国人の就職に影響--漢検、赤字で
◇独法から移管
日本国内や海外の日系企業での就職を目指す外国人向けに実施されている「BJTビジネス日本語能力テスト」について、昨年度から実施主体となった財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区)が今年度限りでの中止を決めたことが分かった。独立行政法人「日本貿易振興機構」(ジェトロ)が96年に開始した試験で、外国人の在留資格認定審査での参考基準にもなっていた。この試験の受験を前提に学んでいた外国人らに大きな影響が出そうだ。
BJTは、円高を背景に、海外進出した日本企業が日本語能力を持つ外国人を現地採用する際の基準を作ろうと、ジェトロが創設。海外の大学の日本語学科などがカリキュラムに取り入れたり、日系企業の海外法人が現地採用の際の基準にするなどして受験者数は年々増加し、08年度には過去最大の約9300人に達した。
その一方で、運営は赤字続きで、国からの数千万円の補助金で補てんするという状態が続いていたため、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会が06年、ジェトロに民間移管を勧告。入札の結果、同協会が3億3600万円で買い取り、09年度から運営を引き継いでいた。
協会は、来年度からのテスト中止を8月2日付でBJTのホームページに日本語と英語で掲載したが、日本語学校関係者によると、多くの外国人には気付かれていない状態という。
協会理事長の池坊保子衆院議員(公明)は、毎日新聞の取材に対し「前執行部が原資の状況を確認しないまま買い取った」としたうえで、「国内の漢検受検者の受検料で、BJTの赤字を補てんすることの意義が見いだせないので、今年春の理事会で中止を決定した」と説明した。11月のテストは予定通り実施する。
社団法人「日本語教育学会」(東京都千代田区)会長の尾崎明人・名古屋外国語大教授は「今はまだ赤字かもしれないが、政府が留学生30万人計画を掲げ、年々実績を積み上げてきた試験を突然中止するというのは、日本語を学ぶ外国人にとっても困るし、日本の国益にも反する」と指摘している。【袴田貴行】
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■ことば
◇BJTビジネス日本語能力テスト
ビジネス現場での日本語のコミュニケーション能力を測る試験。独立行政法人「国際交流基金」などが運営する「日本語能力試験」が「英検」のように5段階の級に分かれ、日本語の基礎学力を重視しているのに対し、BJTは800点満点のスコア制で、電話の応対や交渉など、より実践的な日本語能力に特化した内容になっている。近年は年2回行い、07年度は国内11カ所と、欧米や中国、タイ、インドなど海外12カ国で実施した。現在の受験料は7000円。
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日本語能力テスト:中止決定 外国人に戸惑い 「公的な支援必要」指摘も
財団法人「日本漢字能力検定協会」が突如明らかにした「BJTビジネス日本語能力テスト」の中止決定。日本語を学ぶ外国人などから戸惑いの声が相次ぐ一方、有識者からは「採算が取れるようになるまで国がテストを育てていくべきだ」などの指摘も出ている。
この試験の受験を考えていたという東京都江東区のインドネシア人女性の青木フィビ・レスティカ・ウィジャヤントさん(29)は中止について「えー」と驚きの声を上げた。
「日本で仕事をしたいと考え、BJTを目標に勉強している外国人は多い。なくなるまでに早く受験しないと」と不安げ。
そのインドネシア・ジャカルタで日本語学校を主宰する男性は「聴解力や読解力などをビジネスシーンに即して問う設問なので、作成が難しいことも中止の一因では」と推測。都内の日本語教師も「他の日本語検定もあるので影響は限定的では」と分析しつつ、「オーストラリア人の受験生が多いと聞いている。日本に住むオーストラリア人で帰国後に日本語を生かして仕事を探そうという人が多数受験しているはず」と懸念を示した。
BJTは、さまざまな分野で利用されてきた。経済産業省と文部科学省が07年度から進めている人材育成プログラム「アジア人財資金構想」は、海外から留学生を受け入れ、国内外の日系企業で働いてもらおうと、産業界や大学の協力を受け、募集・教育・就職活動支援を行ってきたが、日本語の習熟度を測る指標にBJTを使用してきた。
海外の人材育成事業に取り組む財団法人「海外技術者研修協会」(東京都足立区)の春原憲一郎理事は「海外の日本語学習者は09年までの3年間で約65万人増加しており、世界で日本語学習熱が高まっているこの時期の中止は時期が悪過ぎる。公的な補助や他の日本語教育機関による共催など、テストを継続するための具体的方策を考える必要がある」と話している。【袴田貴行、小泉大士】
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日本語能力テスト:今年度で中止 外国人の就職に影響--漢検、赤字で
◇独法から移管
日本国内や海外の日系企業での就職を目指す外国人向けに実施されている「BJTビジネス日本語能力テスト」について、昨年度から実施主体となった財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区)が今年度限りでの中止を決めたことが分かった。独立行政法人「日本貿易振興機構」(ジェトロ)が96年に開始した試験で、外国人の在留資格認定審査での参考基準にもなっていた。この試験の受験を前提に学んでいた外国人らに大きな影響が出そうだ。
BJTは、円高を背景に、海外進出した日本企業が日本語能力を持つ外国人を現地採用する際の基準を作ろうと、ジェトロが創設。海外の大学の日本語学科などがカリキュラムに取り入れたり、日系企業の海外法人が現地採用の際の基準にするなどして受験者数は年々増加し、08年度には過去最大の約9300人に達した。
その一方で、運営は赤字続きで、国からの数千万円の補助金で補てんするという状態が続いていたため、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会が06年、ジェトロに民間移管を勧告。入札の結果、同協会が3億3600万円で買い取り、09年度から運営を引き継いでいた。
協会は、来年度からのテスト中止を8月2日付でBJTのホームページに日本語と英語で掲載したが、日本語学校関係者によると、多くの外国人には気付かれていない状態という。
協会理事長の池坊保子衆院議員(公明)は、毎日新聞の取材に対し「前執行部が原資の状況を確認しないまま買い取った」としたうえで、「国内の漢検受検者の受検料で、BJTの赤字を補てんすることの意義が見いだせないので、今年春の理事会で中止を決定した」と説明した。11月のテストは予定通り実施する。
社団法人「日本語教育学会」(東京都千代田区)会長の尾崎明人・名古屋外国語大教授は「今はまだ赤字かもしれないが、政府が留学生30万人計画を掲げ、年々実績を積み上げてきた試験を突然中止するというのは、日本語を学ぶ外国人にとっても困るし、日本の国益にも反する」と指摘している。【袴田貴行】
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■ことば
◇BJTビジネス日本語能力テスト
ビジネス現場での日本語のコミュニケーション能力を測る試験。独立行政法人「国際交流基金」などが運営する「日本語能力試験」が「英検」のように5段階の級に分かれ、日本語の基礎学力を重視しているのに対し、BJTは800点満点のスコア制で、電話の応対や交渉など、より実践的な日本語能力に特化した内容になっている。近年は年2回行い、07年度は国内11カ所と、欧米や中国、タイ、インドなど海外12カ国で実施した。現在の受験料は7000円。