高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

陶磁器業界のイチロー

2008年09月26日 08時08分47秒 | 職人仲間

今回は浦和伊勢丹で目の前に伊万里焼の福右衛門窯の福ちゃんが居る。いつものブーフーウー仲間としてではなく、同じ出展業者として見ていると実にいろんな事を勉強させられる。大変厳しい、陶磁器業界にあって、着実にヒットを打ち続けている男なのだ。
925_001 毎年、毎年、作品に新しいシリーズが増えている。
彼の所でも、以前はオールド伊万里に代表される、錦絵具(赤や緑、金などを使った煌びやかな)がメインだった様だ。しかし、どうしても高額な作品群になってしまう。その中で、彼は蕎麦チョコシリーズに始まり、丼ぶりシリーズ、茶碗、小皿、中皿、マグカップ……と、3000円から10000円くらいの、お手ごろ価格の手描きシリーズをどんどんと展開してきた。
925_002 一度にたくさんお買い上げ頂くのでなく、今年はお皿を一枚……、来年はお椀を一個……、再来年はマグカップを……と、確実に先に繋がる売り方をしていく、お客様に無駄な負担をさせないで、知らず知らずの内に福ちゃんワールドの中に引き込んでいく。確実にお客様の輪を広げている。
925_026 そして何より、あの明るいキャラクター。いつもドナルドダックの口のように両サイドの口角を上げて笑顔を絶やさない。お客様の言う事を100%受け入れていくの?かの様な 首振り、決して横には振らない。張子の虎の様に縦にいつまでも振り続ける。懇切丁寧な粘り強い接客、小さい子供に説明するように、噛んで含んで、雛を手の中であやす様に説明している。
お昼の食事休憩も取らず、一日中ずーと接客する辛抱強さ。どれを取っても、マリナースのイチローに匹敵する彼である。見えない所で人知れず努力をしているの
だと感じさせられる。
私達工芸に携わるものは、どの作品を取っても生活必需品は無い。ある意味、余分な嗜好品を気持ち良く買って頂くにはどうすれば良いのか?福ちゃんの商売を見て勉強させられました。  マイッタ!

竹工房オンセ

コメント
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