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高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

「生き様が墓」

2008年07月04日 09時35分10秒 | 職人仲間

昔、我が師から「生き様が墓!」と教えられた。お墓とは、墓石を積んで大きな物を作るのでなく、あなたの今の生き様が墓になる。と、正にその通りで、自分の生きてきた軌跡が人々の心に残り、その記憶が私の墓になる。

昨日、福岡県八女市の石工「倉員さん」がこの日本橋三越での「匠の技展」を最後に引退される、ということで、内輪での打ち上げ会があった。つい最近まで、この「倉員」という名前が読めなくて「クラカズ」と読むそうだ。珍しい名前である。「クライン」と呼びそうだが、そう呼ぶと「カルバン・クライン」を想像してしまう。背が高くて、金髪のカッコいい人を想像してしまうが、「クラカズ」さんと呼ぶと、目のギョロッとした、メタボリックなお腹をした頭の薄くなったおっさんである。カルバン・クラインとは全然似つかないイメージである。

20080703223507この方と初めてお会いしたのは、名古屋の松坂屋での「大九州展」であった。 「眼つきのキツイ怖そうなおっさんだな」と思ったのが第一印象である。コツコツ・コツコツと蛙の置物を彫っていた。見た目のキツイ人は、案外、情に深い男気のある人が多いのだが、この人も、人伝に聞こえてくる人柄は「人情に厚い誠実な、絶対に嘘が言えない信頼できる人。好き嫌いが激しいが、好きになった人には損得、金勘定は一切無しで全面的に応えてくれる人、小まめに料理洗濯を女房の様にしてくれる‥‥」などである。

普段はあまりお付き合いは無かったのだが、この最後の会だけには参加させて頂いた。20人近くが全員で今までのクラカズさんとの思い出を語り、40年間の石工の労をねぎらった。途中で、三越の名物担当者の金子さんの応援の気持ちを込めて「365歩のマーチ」も飛び出した。20080703223113 

「自分の石工としての最後のステージをこの日本橋三越で締めくくる事が出来て私は幸せだ」と挨拶された。

特に印象的だったのは、会が始まる直前に倉員さんの娘さんからメールが入り、そのメールをエンタティナー大川が情感を込めて朗読した。

「お父さん、40年間ご苦労様でした。私も同じ職人として、職人のお父さんを尊敬しています。ありがとう、ご苦労様でした。」と、

こんな言葉が娘から貰えたら本当に良い人生だったと思う、正に「生き様が墓」だな。

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年1回の同級会?

2008年07月03日 06時27分27秒 | 職人仲間

1年に1回集まる飲み会。ここ、日本橋三越でしか揃わないメンバーである。しな織りの石田さん、籃胎漆器の井上さん、銅器の島倉さん、手作り靴の杉浦さん、紅一点の帽子の高橋さん、それと私の6人である。普通、仲間内での飲み会だと、当たり障りの無い馬鹿話や、翌日になったら忘れてしまう様な事が多いのだが、このメンバーが集まるとちょっと趣が違う。場所は三越から5分くらい歩いた所にある中華料理屋。1年ぶりの集まりなので、この1年間に起きた事、感じた事、やろうとしている事などなど、飲み会というより勉強会という感じである。それぞれに抱えた問題点や経営的なジレンマ、家族の事、話は尽きる事は無い、あっと言う間に閉店時間になってしまった。

72_012 お店を出た後、全員で記念撮影。地面にカメラを置いて、セルフタイマーで撮った。上から覗き込んでいるので、滅多に見れない面白い顔になった。でも、こうやって見ると まだまだ、太い顔をしているな。来年は隣に居る島倉さんくらいの顔にシェープアップしてこよう。

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願字玉

2008年06月20日 07時29分00秒 | 職人仲間

618_003 鳥取県から来ている荻原さん、私の後ろのブースに出店された方だ。先月、相模原で紹介した、花宇宙の村井さんと同じような臭いがする人だ。商売っ気は殆ど無く、自分のペースで淡々と接客されている。私はこういったタイプの人は大好きなのだ。作っている作品は木で作った一文字漢字だ。

618_001 願字玉とは  森羅万象を丸味をつけた文字に表したもので、事に当たるときこれを握りしめ、自心のはげましや、戒めとして使う文字の事。  とある。

荻原さんの人柄が気に入り、私も願字玉を買い込んだ。私の名前の「雅」と妻の名前の「悦」それと、工房オンセのアイドルの真理ちゃんが手術をして療養中なので、「早く元気になって!」という思いを込めて「眞」の文字を!

618_005 「一日も早く、元気になって復帰してください!待ってます!」

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いわさきシルクニット

2008年06月17日 05時49分00秒 | 職人仲間

今回のお隣さんは、鳥取県の「いわさきシルクニット」さん。先日、巣鴨の事をブログに書き込んだが、まさしく、このお店は後期高齢者に的を絞った商品作りをして、確実な売り上げを作っている。

616_003 お客様を見ていると、品の良いお婆ちゃまがほとんどだ。衣料の事はあまり良く解らないが、1着が15万、20万とする物がちゃんと売れて行く。「もう、あまり着物を着なくなり、でもお洒落がしたい」という富裕層だけに特化しているだ。若い人から見ると、「決してこれは着ないだろうな!」と思えるが、「品のあるニットの優しさ、上品さが判る客層は、薄い客層であるが確実に居るのだ。」ということが良く判る。

お母様の代から始めているようだが、今回の東横店には娘さんの「岩崎さん」と彼女の友人の「金岡さん」が笑顔で対応している。高いクウォリティーと上品なデザイン、明確なターゲットを持った商品構成は、私どもの物作りにも考えさせられる事がある。随分刺激になった。

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山形県物産展

2008年06月09日 07時21分35秒 | 職人仲間

6月4日から10日まで、横浜高島屋で「山形県物産展」が行われている。私はもう一階下の7階の特選売り場での展開である。今年の山形物産展は大変好調で、好調と言うよりは爆発的勢いだそうだ。今の所、食品部門は前年比50%アップ、とは驚異的な数字である。工芸部門は苦戦しているそうだが?

何故、こんなに集客が出来ているのだろう? 売り上げを上げるためにはお客様に入ってもらわなければ、話にならない。当然、高島屋の広告などの告知も大々的にテレビ局などの取材もどんどん活用して、宣伝してくれている。

話を聞いてみると、食品部門のリーダー的業者が全体を一つに纏め上げているそうだ。以前は県の物産協会によって運営されていたのだが、ご多分に漏れず、やはり、親方日の丸の会社がやっても、現実的にはほとんど結果を出す事が出来ない。どうしても、役人的な「可も無く、不可も無く」的な発想から出る事が出来ないのだ。酷い所になると、業者の足を引っ張るような輩が居るような時もある。まー、長年かけて、染み付いてしまった公務員体質は致し方が無い。

そこで、協会に反旗を翻した業者が集まって今回の「山形物産展」を運営しているそうだ。「此処で、売り上げを作って、結果を出せば、何処のデパートにでも入っていける。自分たちで自分たちの売り場を作って行こう!」と激を飛ばして、みんなが一つになって頑張っているそうだ。「民間の活力」とはこんな所から出るのだろう。結局は意識の問題である。

68_002 昨日は、山形の「しな織り」の石田さんと会食をした。彼はほとんどお酒を呑まないのだが、私の誘いにはお付き合いしてくれる。年も、ほぼ同じ、お客様の客層も大変似ており、経営規模もほぼ同じくらい、と大変共通項が多いこともあり、こうやって、久しぶりにお会いした時は、情報交換も兼ねて、お互いの本音の所の悩み事や 迷っている事、又、将来に向けての夢などを語り合い、お互いに元気を貰っている。

「しな織り」とは日本3大古代布 (沖縄の芭蕉布、静岡の葛布とならんで)の一つと言われている。化学繊維の登場や、生活様式の変化に伴い次第に産業として衰退してしまった「しな織り」を現代に産業として復活できるよう、自分の経営を通して活動している。こういったことも、保護産業になってしまってはダメで、産業として、経営的にも利益が上げれるような商売に育て上げていかなくてはならないのだ。行政には、それらのサポートをお願いしたいものだ。

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横浜中華街

2008年06月08日 08時15分19秒 | 職人仲間

順調すぎるほど順調に横浜高島屋での四日間が過ぎている、後三日、後半もこのまま行ってくれれば幸いである。デパートの社員さんの話によると、どのデパートも4月、5月と売り上げが激減しているそうだ。「第一次、第二次石油ショックの頃も見ているが、これほど酷い事は無い!」と言う。少し、大げさな気がするが、そんな言葉になるほど、最近のガソリン値上がりによる閉塞感、食料品などの値上げ、後期高齢者負担などの社会情勢、はたまた、サブプライムローンより発した世界経済への影響など、又、マスコミが益々、不況感を煽るような報道ばかりしている。どうしても財布の紐が硬くなってくるのは仕方が無い。

そんな中、順調な売り上げが上がっているということは本当にありがたい。横浜のお客様は正直で、「また、来ますから、取っておいて!」と約束された方は100%来てくれる。もし、来れなくなった時はわざわざお電話までしてきてくれる。先日の大阪では、わざわざ高い宅急便代を使って九州から送らせ、お待ちしていても何の連絡も無い。些細な事であるが、がっかりする。

67 昨日は、同じフロアーで出店している、有田の陶芸家「中里」さん夫婦と横浜中華街に繰り出した。TV・雑誌で有名なカリッカリッ焼きそばの店「梅蘭」である。特に土曜日の7時半という時間帯なので、店の前にも行列が出来ている。10分ほどで、店内に入る事が出来、早速、ビールで乾杯。名物の焼きそば、炒青椒牛肉絲、唐揚げ、木くらげ炒、などなど‥    濃い目の味付けで美味しかった。しかし、繁盛店の常なのか?中国人の接客なのか?ぶっきら棒なウェイトレスの対応である。

67_004中睦まじい中里さん夫婦。私のブログに時たま出てくる「福ちゃん」こと伊万里焼きの福山さんとも友人だそうだ。  

「神社の境内である陶器市から、這い上がって来た。」という。その時から可愛がって頂いているお客様を今でも大事にされている人だ。

昨日は二人の人柄に包まれて、思わず知らず私が話し過ぎてしまった。  聞き上手なのである。竹と土と素材は違うのだが、作品作り、売り方、生き方共通項は一杯ある。

又、一人良き仲間が増えた気がする。

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碁盤

2008年05月20日 07時56分52秒 | 職人仲間

519_006 一年に1回くらい、宮崎県の碁盤屋さん、松川さんにお会いする。私の大好きな人だ。この人と話していると、飾らず、偽らず、動じず超然とした心の広さを感じる。何ともいえぬ優しい眼差しをしている人だ。長年の人生の年輪がにじみ出ている感じがするでしょう。人の顔付きはというものは実に大事で、この人の様な良い年の取り方をしたいと思う。

時たま、「オレの人生は、私の人生は、こんなに大変だった!」と言う様な事を苦虫を潰した様な顔をして仰る方がいるが、「そんな苦労ならしない方が良い、可愛そうな年の取り方をしているな」と感じる人もいる。

519_005 扱っている商品は、「おはじき 840円也」‥‥、いえ、いえ、おはじきは碁石を作る時に出来る廃品から出来るおまけの様なもの、本当は日向かやの碁盤や将棋盤、碁石、碁笥、など 今回展示してある碁盤の中には「碁聖戦」に使われた物がある。第30期碁聖戦 碁聖「依田紀基」、挑戦者「結城聡」、立会人「武宮正樹」とある。碁盤の後ろに対戦者たちのサインがある。見てみると、あまり旨い字では無い。ちょっと、子供の落書きみたいな感じがするが、まー、碁の事ばかり考えていて、書道の勉強は出来なかったのだろう。 嫌に詳しく説明しているかと言うと、私は囲碁が趣味なのです。この碁盤一台でお値段が10,500,000円。百五万円ではありませんぞ、一千五十万です。

どんどんと囲碁人口が減っていく中、販売は年々難しくなっている。バブルの頃は上記の様な何百万円もする様な碁盤も結構売れていたそうだが、今は、難しい。しかし、どんなに売れない日が続いていても、何時も穏やかに私たちと楽しく付き合ってくれる。商売商売していない、育ちの良さが現われているんでしょうな。私の大好きな先輩である。

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花宇宙

2008年05月17日 06時44分46秒 | 職人仲間

515_005 今回、相模原伊勢丹での私の左のブースに出店している、栃木県の押し花蝋燭の村井さん。此処だけが名前の通り、「花宇宙」 別世界を作っている。淡々と蝋燭に押し花を埋め込んでいく、ある種、この世の雑踏を超越した山岳人の様な雰囲気がある。丁寧にお客様一人一人に説明して、優しい眼差しが印象的である。売り上げに左右されるのでなく、我が道をゆっくりと確実に歩いている感じである。私の友人にも 村井さんの様な雰囲気の人が居るが、たいてい、有機農法に携わる、自然と共に歩んでいる様な人たちだ。

暇な時に少しお話を聞いてみると、何と、藍染めの大川さんのブログにちょくちょく登場する人だった。以前は大学で美術を教えていたり、デザインの仕事をされていたそうだ。今は、好きな植物をと共に居る事が生業になり楽しんでいるそうだ。「一年365日休んだ事はありません、120日は押し花の採取で野山を回り、100日間は押し花作りや分類、50日間で蝋燭を作り、あと‥計算すると‥‥90日くらいで販売するだけだから貧乏を楽しんでます」と明るく仰る。

催事場の中に清清しい風が吹いているようだ!

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田辺小竹襲名展

2008年05月12日 06時45分32秒 | 職人仲間

511_005 難波高島屋の6階の美術画廊で堺の竹工芸家、田辺君の襲名展が行われていた。朝の比較的お客様の少ない時間にお邪魔して、会場を見せていただいた。可愛い奥さんが迎えてくれる。田辺君は10年ほど前、別府の竹の学校に勉強に来ていたが、その時から、別府で学んだ技術に代々受け継がれた感性がプラスされ独特の魅力ある作品を作っていた。やはり、小さい時から養われた感覚というものは大したものである。その後、作家として日本のみならず、海外でも大きな評価を受け、自分の作風を作りつつある。今回の「もののふ」シリーズなどは彼の持ち味が出て素晴らしい物であった。

「職人」と「作家」。竹細工を生業にしていく上で、どちらの方向を目指すのか?意見が分かれるところであるが?彼は作家としての道を、当然、高度な技術と表現方法、その中に彼の主張したいテーマが見えてくる。量産するものではなく、一品物ばかりなので当然高額な作品になってしまうが、美術画廊でハイエンドなお客様に的を絞ったやり方になる。もちろん、この背景には代々受け継がれている「田辺竹雲斎」という大きな看板と、彼の作家としての活動で生まれた価値付けが物を言う。決して、簡単に此処まで来れるわけでは無い。

511_003 竹工芸家の名門の家に生まれたプレッシャーなどは、私たちには想像できない物であろう。名家に生まれ、若くして名を成す、しかし、天狗になることなく礼儀正しい彼の人柄はこれからも多くのファンを作っていくのだろう。

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アンモナイト

2008年05月12日 05時13分48秒 | 職人仲間

510_0101_2 今回の私の隣のブースはアンモナイトの化石を使ったジュエリーだ。見ていると魅惑的な表情をしている。作家の「ドリーヴス公美」さんに話を聞いてみると、このアンモナイトジュエリーを作り出して5年くらいだそうだ、以前は何と、発掘の仕事をしていたそうだ。その中でアンモナイトの魅力に取り付かれてしまったそうだ。実家の仕事の関係で、細工物のボタンを作ったり、金属加工の知識はあったそうだが、失敗をしながら独自な物を作っていったそうだ。

510_0131 見ていて面白い、色の違いはアンモナイトの出てきた地層の違いだったり、何万年の時間の流れの中で、どんなものが繁殖していたのか?絶滅していったのか?時代時代の顔をしているようだ。ジュエリーを作る技術的な事は後から付いて来るが、元になるのは何を人に伝えたいか?自分の大切なもの、大好きなものは何なのか?そこからオリジナルな物が生まれてくる。

510_0141 彼女の話を聞いていると、淡々とした表情の中に驚くような感性、人生観が散らばっている。アメリカ人のご主人と結婚し、娘さんは中学からイギリスに、今はイギリスでOLをしているそうだ。人を押しのける様な虚勢は一切無く、自然体の素敵な人である。

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鳥取、倉吉

2008年04月04日 14時33分07秒 | 職人仲間

44_0021 今回のバタバタの出張の最終目的地、鳥取県倉吉市にある、取引先の「中野竹芸」にやって来た。朝、レンタカーを借りて高速岡山道を北上、どんどん進んでいくと目の前に「大山」が見えてきた。その手前の蒜山高原に今から18年前に一度来たことがある。まだ、山頂に雪が残り雄大な景色が気持ちを和ませてくれる。

2時に中野社長と待ち合わせをしていたが、少し早めに到着。この、中野竹芸さんとは、もう20年以上のお付き合いである。私の所のバッグの手にしている「鳳尾竹」の材料などを分けていただいている。また、反対にうちのバッグを卸している。持ちつ持たれつの関係でる。今回、わざわざ、倉吉まで足を運んだのは、この鳳尾竹の火曲げの技術を教えてもらいに来たのだ。対応してくださったのは、この道50年の池口工場長。物静かな職人さんだ。何時も、私のくどい様な注文にも丁寧に対応してくださっている方だ。

44_0761 此処では、火曲げのやり方は、中野竹芸のノウハウが詰まっているのでお書き出来ないが、私には、やり方や専用の道具、何処に気をつけなくてはいけないのか?などなど、ホントに貴重なアドバイスを頂いた。感謝いたします。

池口さんが一番困っていることは、今まで山陰地方で鳳尾竹を伐採していたのだが、この数年、山が荒れて道がなくなってしまい、安全面で林野庁の立ち入り許可が下りないそうだ。そのため、遠く北海道から鳳尾竹を取り寄せているのだが、身の詰まりが悪く、加工が非常にし難いそうだ。   我々、大分の竹薮も伐採する業者がいなくなり、年々竹薮が荒れている。製品加工だけでなく、それに関わる産業の衰退もこれからの大きな問題になってきている。

本来の予定では一泊して、翌日岡山まで戻り、新幹線で大分に帰る予定であったが、池口さんの御協力で早く用事が済んだため、急遽、その日のうちに大分に帰る事にした。時速140キロで岡山道を南下、岡山発18時11分に滑り込みセーフ!

一日早く家に着いた。しかし、慌しい四日間の出張であった。今夜のジャック・バウアーはゆっくり寝るとしよう。

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横浜高島屋 3

2008年03月10日 09時11分37秒 | 職人仲間

快調の横浜高島屋、次から次へとお客様が入ってくる。神奈川県民800万人、横浜市民350万人の中心地、立地も良く客層としては神奈川県全体をカバーしている。九州展は7日分の予算を早くも5日で達成。デパートの担当者も「このまま行くと来年の予算が大変だよ!」と早くも来年の心配をしているくらいだ。

20080309193828 屋久杉の仏壇を売っている小林さん、1台、100万から500万近くするものまである。昨日まで中々出会いが無く、心配顔であった。こういった高額商材は一か八か?の勝負である。酷い時は1週間0円ということもあるが、反対に1日で700万とか800万も売れる時もある。胃の痛くなるような商売であろう、私には出来ないと思う。小林さんも昔から仏壇を売っていたわけではない。最初の頃は訪問販売をしながら、屋久杉の彫刻や欄間を持って、一軒一軒回っていたそうだ。昔は、龍や虎の彫り物などが良く売れたそうだ。しかし、時代とともに、売れるものは変わっていく。家紋を入れた額とか、屋久杉の表札なども飛ぶように売れた時期もあるそうだ。

10年ほど前から、屋久杉の仏壇を扱うようになり、持ち歩き出した。最初は全く売れず、大きな仏壇を気を使いながら運んだそうだ、運送時の痛みや傷、在庫の金額などリスクも大きい。しかし、何処かで決断するのだ。「私はこれでやっていこう!」この腹を決めることが大事だ。この決断が経営者にとって非常に大切なことであり、どの方向に決め、それに向かってありとあらゆる努力をするのだ。仏壇という特殊な商材を売るための顧客管理、販売ノウハウを積み上げていく。小林さんの粘り強さのお陰で、今日も一台仏壇が売れた。これで今回はホッと一息である。

私どもも、これからどう世の中が変わっていくのか判らない、その中で、残っていける作品作りを敏感に感じ取っていかなくては、直ぐダメになってしまうだろう。仏壇に比べれば、竹製品はもっと多くの需要のある商材である。頑張らねば!

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d-torso アキ工作社

2007年12月24日 07時43分57秒 | 職人仲間

20071222123614 20日に友人の大津さんからメールがあった。「高江さんに是非紹介したい人が居る」と。大津さんとはもう随分昔からの知り合いである。私の前職である「レストラン店長」時代のお客様で、大分トキハの社員さんであった。その時から考えるともう25年のお付き合いをしていることになる。途中、ブランクはあるのだが、私が竹細工を始めて数年後、別府トキハの担当者として、偶然の再会をした。

大津さんに連れて行った貰った所は安岐町ある、ダンボールでマネキンやトルソーなどを作る会社であった。以前、ダイムか?サライか?何かの雑誌で、このダンボールの作品は目にしていた。まさか、大分県の業者が作っているとは知らなかった。実にシンプルだが、独創性に富み、デザイン性豊かな作品群である。今日はクリスマスパーティーを兼ねた集まりで、全然関係ない私を気持ちよく迎えて頂いた。社長の松岡さんとお話する機会を作って頂いた。元々は1級建築技師でマネキンを作るのも建築物を作る発想でやっているそうだ。奥さんがニットの作品を作っており、最初はその奥さんの作品を着せるマネキンを作ることで始めたそうだ。

20071222130059 等身大の大きな物から、小さなミニチュアまで実に幅広い造形物が出来る。軽く、レーザービームでカットされた部材は組み立てずにお客様が自分で組み立てれるよう簡単に構造計算されている、環境問題にも対応し、ダンボールだけで作られているので、(接着剤は使わない)燃やすことも出来る。

一人でポチポチ始めた事が今では若い社員も増え、3年前に新社屋を立て、現在は世界をマーケットに展開している。大した物である。この会社はまだまだ伸びていくと思う。元気な会社の社員もやはり元気が良く気持ちが良かった。私も工房の若手の遠藤君を連れて行ったのだが、若いもの同士、直ぐに打ち解けて話し合っていた。

20071222125844ダンボールだけでなく、パーツをメタルで作ることで、お洒落なインテリアになったり、底知れぬ可能性を秘めた企業であった。こんな人と知り合えた事は本当に良い機会を大津さんに頂いた。大変な刺激を受け、工房に戻って来た。

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売り子さんでこんなに違うの!

2007年10月15日 08時13分50秒 | 職人仲間

上野松坂屋の催事も今日で最終日、今回は散々な結果である。集客力が無いのか?業者の力が無いのか?私の工房としては、この4年出てみたが、「これから伸びていく可能性は無いだろう」と結論が出た。こんな中でも、宝飾関係や、糸物関係はそれなりに売り上げを出している。中には、95万円の傘が売れたりとびっくりするようなお客様もいる。

20071013193713 私の直ぐ隣に愛媛県から来ている桶屋さんがいる。2代目の鈴木君。水、木、金とサッパリの売り上げであったが、土、日と応援の彼女がやって来た途端、売れるのだ。不思議な物だ。同じ商品を同じ場所で売っているのに、売り上げが全然違う!売り子でこんなに結果が違うのか?見ていると、決して押し付けたり、無理強いしている様子は全く無い、人を引き付けるような美人でも無い。お客様と同じ目線で話しているのが良いのだろう。

彼は売り場の前線に出るよりは、製作に励んだ方が良いのだろう。人間はとても誠実で良い男だが、パソコンに強くて、今回会場で、データ作りや値札作りの簡単な方法などを教えてもらった。エクセルのVLOOK関数なんて知ってます?

暇でお客様がいないので、いらいらしながら、お客様を待っているより、パソコン仕事をしながら、リラックスした雰囲気でお客様に接した方が良いと思う。お陰でけっこう時間も早く過ぎ充実した時間になった。

夜は以前から、私を応援してくださる大分県出身の長野さん御夫婦に御馳走になった。新しい仕事の話も頂き、楽しい会食をさせて頂いた。ありがとうございます。来年、新しい事業がスタート出来れば良いですね!頑張ります。

今回はダイエット中なのに、1週間毎日、一日も欠かさず夜の飲みごとが続いた。いったい誰がダイエット中なの?と言いたくなるが、メモリーダイエットのお陰で、朝と昼をセーブした結果出張前とほとんど体重も変わらずセーブすることが出来た。本当はこの1週間で2キロくらい減らせれると良かったのだが。

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市松人形

2007年07月15日 06時16分46秒 | 職人仲間

さすがに、名古屋松坂屋と言えども、大型台風到来を目前に控え、お客様も買い物気分ではないのだろう。少ないお客様の分、私の隣の売り場のあるお人形の小島さんとゆっくり話すことが出来た。

7_010 市松人形とは可愛い女の子の人形の代名詞のようになっているが、実は江戸時代の歌舞伎役者の「なんとか市松」と言う女形の人の模写人形だったそうだ。江戸時代や昔の市松人形の裾をめくってみると、小さなチンチンがちゃんと付いており、顔も眼光鋭くもっときつい顔をしていたそうだ。それが時代と共に忘れられ知らないうちに「女形」の女性の部分だけが受け継がれ、優しくなり、可愛い女の子の人形に変わっていったそうだ。現代の市松人形は裾をめくってもチンチンは付いていない。

7_015小さくても高価な物、大きくても安価な物などいろいろあるが、竹のバッグと同じで手をかけて作った作品はどうしても高くなってしまうが人形が好きな人には堪らないものがあるのだろう。

顔も型で作った物と、木を削りだして作った物では表情が違う。着ている物も生地によっても違うし、良い物はちゃんと着せ替えできるように小さいながら着物の様式をちゃんと作られている。髪の毛も化学繊維のものと人毛では当然違うのが、当たり前である。

7_014今日、私がとても気を引かれたのはこの人形だ。手彫りで削りだされた顔、着物には久留米絣を使い、人形士小島さんが顔を書き入れた物だ。何とも言えない味わいがある。

7_012_1

人形士「小島さん」、この人ほど、売り場に朝から晩まで座り続けている人は珍しい。営業時間に一度食事に行くだけで、後はずーと座っている。トイレにも行かない。尿瓶でも持ち込んでいるのだろうか?

人形作りはふつう分業化されているのだが、この人は顔作りに10年、着付けに8年、髪作りは家業として小さいときから親父の仕事を見てきたそうだ。一人ですべてこなすことが出来る数少ない職人だ。どの分野でも、分業されたまま、高齢化した今では、誰かが一人いなくなっただけでも製作できなくなってしまう。

貴重な伝統技術の伝承者である。また、来年もお人形さんのように座り続ける小島さんを見たい物だ。

竹工房オンセ

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