ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

小笠原諸島 父島編(3)

2022-01-06 19:40:42 | 旅行(国内)
滞在二日目はレンタカー(ボロボロの軽)を借りて島をぐるっとひと回り。

ところどころに車を停めて、そこから小規模な山歩きを繰り返す。父島は山がちで平地が港のある大村以外はほとんどない。大村を離れると、ほとんどが山道となり、そこから海へ出ようとすれば山を歩いて下ることになる。これが小笠原の小規模トレッキングだ。行きは下りだから良いが帰りはひたすら上ることになり、往復すると1時間半から2時間かかる。道は急こう配で結構キツイ。けれど海へ降りると、そこはまさにプライベートビーチで秘境感満載だ。これを3か所に渡って歩いて、1日が終わった。

最後の日だけは、水と食料を持参して、往復20キロ弱の本格的トレッキングへ出発。途中の景観がなにせ素晴らしい。道中、熱帯雨林のジャングルあり断崖絶壁あり、草原に丘、そして山あり谷あり、おまけに川も超えるなど、それはそれはバラエティーに富んでおり、歩く人をまったく飽きさせない。まさに小笠原の大自然を満喫できるルートだった。大の知床好きの妻が、自然の中を歩くということでいえば、断然、小笠原に軍配が上がると言っていた。

元々、小笠原を提案したのは私の方だが、想像以上に異文化の香りがゼロだったこともあり、ましてや自然より街歩きを好む私にとって、小笠原はややがっかりなところであった。あらためて、やっぱり自然志向の人が来る場所だなと実感。

ついでに小笠原への移住についてちょうど30年前に移住してきた、今回世話になった、大変親切な宿のおじさんにいろいろ聞いてみた。現在、小笠原は若い人の移住先として大人気らしい。とくに自然志向の方で、このアクセスの不便さも含めて気に入った方が多いという。聞けば、50歳以下の人のほとんどが本土からの移住者なんだとか。家族連れも多く、そのため幼稚園や保育園がまったく足りなくなってしまっているらしい。半面、島の若い人は本土へ向かい、完全に逆転現象にあるという。

移住に当たっては、仕事の問題もあるが、一番は住宅確保の問題が一番大きな壁になっているとか。元々、宅地が少ない上に土地の売買がほどんどない土地柄ゆえ、何が事業や商売をしようと思っても、それに適した土地や住宅の確保が出来きず、結局、諦めてしまう方も多いらしい。賃貸アパートの一室くらいはなんとかなりそうだが、それ以上が難しいということなんだと思う。

私も本格的老後を迎えるにあたり、いつの日か外国へ行く体力と気力もなくなり、ありとあらゆる病気の延命治療を拒否する覚悟がもしも出来れば、ここに移住してもいいかなと思った。それほどまでに冬の気候が良かった。もっとも夏を知らないけれど…。

そして空港問題。
島の老人らは、なんとか空港を…というのが本音らしい。島には満足な病院がなく、利便性が良くなれば、本土の病院へのアクセスが容易になる。要するに健康不安からだ。しかし若い人、特に本土からの移住者は大反対。自然破壊という側面と航空路で結ばれれば大量にお客さんがやってくる。それはありがたいと思う反面、必ず大手企業やってきて大開発を行うだろうと想定している。ほぼ個人商店規模で運営されている現状がすべて壊滅させられてしまうという危惧があるからだという。たしかに民宿とゲストハウスレベルの宿しかなく、ホテルと呼べる宿泊施設は皆無だ。島内のツアーを扱う旅行会社もすべて個人経営レベル。大手企業がやってきたらひとたまりもないだろうと思う。

宿のおじさん曰く、空港は出来ても20年後くらいの話で、当分は現状維持だろうと言っていた。

そういえば、小笠原諸島には父島から50キロ南に母島がある。こちらにも人は住んでいて小ぶりな村がある。さらに田舎というか秘境感を味わいたい人にはこちらへ向かうという。船は1日おきだったか、ははじま丸という船が父島から就航している。

母島…。
多分、行くことはないだろうな。

終わり…。

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