みちのくの山野草

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「どこの馬の骨ともわからぬ」私に

2019-05-01 10:00:00 | 「賢治研究」の更なる発展のために
〈『ナーサルパナマの謎』(入沢康夫著、書肆山田)の表紙〉
 先に〝「入沢康夫氏に感謝し、ご逝去を悼む」〟というシリーズを通じて、さらには今回、〝「賢治昭和2年11月から約3ヶ月滞京」〟シリーズを通じて入沢康夫氏のご逝去を悼み、改めてご冥福をお祈りしているところである。
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「どこの馬の骨ともわからぬ」私に
荒木 それにしても、「どこの馬の骨ともわからぬ」ようなお前のブログ〝みちのくの山野草〟に、入沢康夫氏はどうして幾度となくコメントを寄越してくれたのだろうか。
鈴木 そうなんだよ。こんな田舎の老いぼれの、しかも数学教師のなれの果ての私のブログに対して、入沢先生から直接コメントを、まして何度も頂けるなんて夢にも思ってもいなかったことだから。
吉田 たしかにそりゃあそうだろう。賢治研究家の第一人者の入沢康夫氏が、そのような鈴木に対して親切にいろいろと助言、指導、忠告等をしてくれたのだから、普通はあり得んだろう。まして鈴木には、それまでに何一つ「賢治研究」の実績があったわけでもない。一介の素人にさ。
鈴木 だから私には正直それがとても不思議だった。そしてもちろんすごく有り難かった。今も、感謝の言葉しかない。そのようなコメントを頂けたことにより、一般には荒唐無稽と思われるであろう私の主張も実は案外いい線まで行っているのかも知れないと秘かに自信を持ったり、へこたれたりすることもなくここまで12年間ほど賢治の研究をやり続けることができたのだから。
荒木 ちなみに、どんなコメントをお前は貰っていたんだよ?
鈴木 それじゃ、かつて入沢康夫氏からコメントのあった私の投稿の幾つかをピックアップしてみようか。例えば、
1867 「日用取=ヒドリ」の新たな実証を   (2010-12-02 08:00:00 )
1871 「ヒドリ=ヒデリの誤記」説はやはり定説   (2010-12-04 08:00:00 )
2697 10回目の上京の別な可能性(補足)   (2012-06-07 08:00:00 )
2513 「賢治の10回目の上京の可能性」   (2012-02-07 08:00:00 )
3115 『旧校本全集』の頁入れ替え(私の間違いです)   (2013-02-21 08:00:00 )
3116 申し訳ございません、間違いました。   (2013-02-22 08:45:01 )
3156 『春と修羅第三集』の検証(#4)   (2013-03-22 08:00:00 )
3236 賢治さんどうして?   (2013-04-30 09:00:00 )
3289 高村光太郎宅訪問   (2013-05-21 09:00:00 )
3557 澤里の「どう考えても」について   (2013-10-10 08:00:00 )
3560 花巻農学校生の動揺   (2013-10-11 09:00:00 )
というようなものがあった。
荒木 これだけだと入沢氏からのコメントの中身がわからないから、お前が心に残っている一例を教えてくれよ。
鈴木 そうだな、今になって特に私が改めて感じ入るのは、例えばこの〝3557 澤里の「どう考えても」について〟という投稿における、次のようなコメントさ。

おたずね (入沢康夫)2013-10-10 09:53:00こんにちは。毎回このブログを興味深く拝読しています。
澤里氏の証言に関して、ひとつ教えて頂きたいことがあります。私の持っているのは、1995年12月、関徳也が亡くなって40年近く経ってから編み直されて出た『新装版宮沢賢治物語』ですが、その285頁には「滞京中の先生は、私達の想像することもできないくらい勉強をされたようです。父上にあてた書簡を見ても、それがよくわかります。/タイピスト学校に入ったり、エスペラントを習ったり(……中略……)指は直角に持っていく練習をされたそうです。」という12行ほどの文がありますが、この文は昭和32年に「岩手日報」に載った『宮澤賢治物語』や、同年本になった『宮澤賢治物語』にも(表記は旧字・旧仮名でしょうが)既に含まれていたのでしょうか? 御多忙中とは思いますが、どうか御教示をお願いいたします。

コピー等ですが (鈴木 守)2013-10-10 11:28:53入沢康夫 様
 大変お騒がせしております。
 ご期待に添えるかどうか心配ですが、取り敢えず当該のコピー等の写真を当ブログの今日の最終投稿
    番外 『宮澤賢治物語』に載せてみましたので、御覧下さい。
                                鈴木 守

御礼 (入沢康夫)2013-10-10 12:05:38番外『宮澤賢治物語』を拝見いたしました。気になった箇所が、昭和32年の段階で既に含まれていたことが、はっきりとわかりました。どうも、ありがとうございました。益々の御健筆を祈ります。

荒木 へえ、こんなに謙虚な方だったのか入沢氏って。認識を新たしたよ、流石だね。
吉田 そもそも、地方の名も知れぬ人物の一ブログに対して、「毎回このブログを興味深く拝読しています」と言い、「ひとつ教えて頂きたいことがあります」と丁重にお願いする賢治研究家の第一人者って普通はいないだろう。
鈴木 そうなんだよ。まさに「どこの馬の骨ともわからぬ」私に対して、その第一人者が「御多忙中とは思いますが、どうか御教示をお願いいたします」と勿体ないお言葉で仰有って、しかも私の覚束ない対応に対して、再び、「気になった箇所が、昭和32年の段階で既に含まれていたことが、はっきりとわかりました。どうも、ありがとうございました」とまで仰有って下さったから、私はただただ畏れいるだけだった。
吉田 それはまさに、入沢氏が賢治研究の第一人者であり続けたことの一つの証左だった、と言えそうだ。
荒木 殆ど素人のお前が何を言っているのかといって馬鹿にするのではなくて、まずは何が真実かを探り、そしてそれを見極めようとしていたという研究者としての真摯な姿勢、矜恃の為せる業だったのかもな……。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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