みちのくの山野草

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「一本足」論争(経過報告5)

2024-07-11 12:00:00 | 菲才でも賢治研究は出来る
《コマクサ》(2021年6月25日撮影、岩手)

*****************<(15)↓投稿者H氏/2013年10月 8日 00:13>**********************
鈴木さん、ありがとうございます。
おおっと、そう来ましたか!という感じですが、読み方によってはこの文章をそういう風に解釈することも可能なんですね。

「どう考えても財布をカバンに入れてきたはずなのに、ないんですよ・・・家に忘れてきたようです」という場合など、自分が「どう考えても」そうであっても、何か「客観的な証拠」を突きつけられると、自分の間違いを認めざるをえない、ということは現実にありえますよね。
「どう考えても」という言葉には、そういう状況における用法もあることは、何はともあれまずお見知りおき下さい。

さて、もしも鈴木さんが上のお答えのように、この時点で沢里は発言を訂正しておらず、自分が見送った上京は昭和2年のことだと考えているのなら、関登久也が『宮沢賢治物語』で引用している沢里の証言のもっと後の方で、賢治の父親あての手紙(現在の呼称で「書簡222」の一部)の引用に続けて出てくる、次の箇所はどう解釈されるのでしょうか。

この上京中の手紙は、大正十五年十二月十二日の日付になっておるものです。

文章は初めから一続きで、「この上京」とは、ここで問題にしている沢里が一人で見送ったという上京のこと以外にありえません。

ここにおいて沢里が、「この上京中の手紙は、大正十五年十二月十二日の日付」と言っているのですから、彼はこの時点ですでに「年譜」だけでなく、賢治の父親あて書簡など「客観的な証拠」を目にした結果、昭和2年という自分の記憶は間違いで、この上京が大正15年のことだったと考えていると解釈する以外に、いったいどういう考え方があるでしょうか?

いくら何でも、これを「揶揄」と解釈するのは無理ですよね?

*****************<(16)↓投稿者鈴木守/2013年10月 8日 08:23>**********************
H 様
 お早うございます。
 はい、日本語の文章としてはそのようにしか解釈できません。もし、
  「その12月のびしょびしょ…」
となっていれば別でしょうが、この位置に
  「その十一月のびしょびしょ霙の降る寒い日でした」
とある以上、
  澤里には訂正する考えはなかった
としか言えないでしょう。
 それとも、その「十一月」は澤里の書き間違いだとでも仰るのでしょうか。

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 ある著名な賢治研究者が私(鈴木守)の研究に関して、私の性格がおかしい(偏屈という意味?)から、その研究結果を受け容れがたいと言っているという。まあ、人間的に至らない点が多々あるはずの私だからおかしいかも知れないが、研究内容やその結果と私の性格とは関係がないはずである。
 おかしいと仰るのであれば、そもそも、私の研究は基本的には「仮説検証型」研究ですから、たったこれだけで十分です。私の検証結果に対してこのような反例があると、たった一つの反例を突きつけていただけば、私は素直に引き下がります。間違っていましたと。
 一方で、私は自分の研究結果には多少自信がないわけでもない。それは、石井洋二郎氏が鳴らす、
 あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること
という警鐘、つまり研究の基本を常に心掛けているつもりだからである。そしてまたそれは自恃ともなっている。
 そして実際、従前の定説や通説に鑑みれば、荒唐無稽だと言われそうな私の研究結果について、入沢康夫氏や大内秀明氏そして森義真氏からの支持もあるので、なおさらにである。

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            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813

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