今日は、八丈島で育ち、ラオスに魅せられてラオスを撮り続けてきた
写真家の川口正志さんのインタビューです。
◎少し前に、ラオスと八丈島の交流ツアーのお知らせをしましたが、
現在、川口さんのご紹介と当店浅沼孝彦社長の後援により、ラオス大使館の
駐日ラオス大使が八丈島へ視察に来島される予定が決定したところです。
なぜラオスと八丈島の交流なのか?
その辺りを先日帰島された川口正志さんにインタビューしました。
川口正志さん(八丈島の隠れカフェにて) 昭和38年10月29日生まれ
●川口くんは八丈島の生まれではないそうですが、
八丈島で育ったのは、どの位の期間ですか?
亡くなった祖母が青ヶ島の出身で、八丈にいた親戚を頼って小1の三学期に
大阪から家族で八丈に引っ越しました。大賀郷小学校と大賀郷中学校に通い、
中学を卒業してからは東京の高校に進学しました。
●現在はどちらにお住まいですか?
神奈川県海老名市です。
●八丈島へはどのくらいの頻度で帰省されていますか?
年に1~2回ですね。
●川口くんが最初にラオスに行ったのは、いつですか?
最初は、1995年11月です。
1994年に網膜剥離という病気になり、一時八丈島に帰島していました。
元々はラオスではなく、隣のタイに興味があり、当時は医者から失明する恐れが
あると言われていたため、見える内にタイの田舎の暮らしが見たくて、
タイ東北部の村へ行ったのですが、ビザの滞在期間が切れ、一度他の国へ出国
しなくてはならなくなり、いくつか行った国の中の一つがラオスだったのです。
●これまでに何度ぐらい、どのくらいの期間、ラオスを訪問してますか?
行った回数でいえば30回以上です。
続けて滞在したのはビザの関係で最長で2ヶ月間ですが、一度隣のタイやべトナムに
出国してからまたラオスに戻るという事もやっています。
必ずしも毎年行っているというわけではありませんが、多い時には年に4回行った
こともありましたね。
●すると、ラオス国内はだいたい把握されている?
そうですね。ラオスには現在17の県があるのですが、全ての県に足を踏み入れました。
最初の頃は行ったことがないところに行ってみたいという思いが強くて、
地図を見ながら面白そうなところを見つけて行くという感じだったのですが、
「地球の歩き方~ラオス編」の取材も大きかったですね。
初版本と2003~2004年度版を取材しました。
ラオスの絹織物 撮影:川口正志
●川口くんから見たラオスの一番の魅力はなんですか?
これは八丈島にもいえることですが、ラオスの一番の魅力は人です。
ラオス人は、他人との距離感のとり方が絶妙なんですよ。
外国人に対してもとても優しいのですが、その優しさがべったりしてない、
しつこくない、こちらが困ったときにふと声をかけてくれるかんじ。
ホスピタリー精神も旺盛で、自分がラオスを旅しているときにも
「ムアン・ボー?」(楽しいかい?)とよくラオス人に聞かれます。
また、ラオスには日本の原風景のような風景がたくさんあり、
特に親子の関係が素晴らしいんですよね。
子供が親をとても尊敬しているのがわかる。
昔の日本を見るようですごく懐かしいのです。
ラオス各地で機織りが盛んで、黄八丈を織るのを見て育った自分には
とても懐かしい光景があります。
黄八丈のような染色の風景(ラオスにて) 撮影:川口正志
●川口くんはだいぶ前からラオスと八丈島が文化交流できるといいと
考えていたそうですが、その理由はどんなことですか?
まずラオスはとてもマイナーな国なので、多くの人に知ってほしいという
気持ちがありました。その中で、いくつかの共通点を持っている八丈とは
将来的に何か文化的な交流ができないだろうかと考えるようになりました。
共通点というのはもちろん、自分がラオスに行くようになってから
気がついたものですが、まず、現地の学校で子供達が絵を描くのを見てびっくり。
彼らは地面を赤い色で塗るのです。ラオスは溶岩ではないのですが、
ラテライトという赤土で、植物の植生なども似ていることから、
八丈の子が描いたんじゃないかというような絵を描くんですよね。
それから、ラオス語では語尾につける言葉が「ノ」なんです。
念押しする時は八丈みたいに「ノ」「ノ」と言います。
もちろん先に話した絹織物の存在や、酒造り
(ラオスのお酒はラオラーオといい、もち米から造る蒸留酒です)、
温帯と亜熱帯の中間の気候、高床式の住居、主な産業が農業と漁業と観光
というところも両者の共通点ですね。
あと、ラオスにはノーマイと呼ばれる筍があり、現地の人はスープに入れて
よく食べているのですが、この細くて苦い筍は八丈のタコウナにそっくりです。
以前、知り合いのラオス人が僕から八丈の話を聞いて、ぜひ行ってみたいと言って
八丈に観光に行ったのですが、帰って来てからすごく興奮した様子で、
「八丈島はラオスに似ている」と話してくれました。
今はまだ、ラオスの人は八丈島を知らないし、八丈の人もラオスのラオスのことを
よく知りません。しかし、同じような文化を持った両者がお互いの事を知り、
行き来したり、文化的な交流ができれば双方の世界観が広がるような気がしています。
黄八丈に似た絹糸を干す風景(ラオスにて) 撮影:川口正志
●今回、ラオス大使の来島が実現できることになり、その第一歩がいよいよですね!
そうですね、今後どうなるかはわかりませんが、大使もずっと以前から
「八丈島に行ってみたい」と言われていて、それがやっと実現するのは
自分にとっても嬉しいことです。八丈島の皆さんがラオスという国の存在を知って、
興味を持ってもらえると嬉しいですね。
●ラオス大使が来島される際のスケジュールは決まっていますか?
詳細はこれからですが、9月24~25日の予定です。
24日の夜にはラオスの写真と絹織物の展示と大使の講演を予定しています。
●川口くんの書いたラオスのガイドブックも発売されるそうで、おめでとうございます!
ありがとうごいざいます。
アジア専門出版社の「めこん社」から、
「くろうとの旅」シリーズとして、
「ラオス全土の旅」(仮題)が秋に出版される予定です。
ラオス全県を網羅し、観光地以外の小さな町や村も余すとこなく紹介しているほか、
現地での移動や宿泊時のノウハウ、町や村の名前の意味等も書いてあります。
●以前に「南海タイムス」でコラムを連載されていましたね。
1998年頃、「あうとぴんと」というタイトルの写真コラムを1年間連載しました。
八丈島の暮らしを写真と文章で綴っていたのですが、
こちらでも一度ラオスのことを書いたことがあります。
●川口くんは、以前に「島で暮らしたい!」(オフ・サイドブックス)も
出版されてますが、島で暮らすことに憧れる方々へのいいガイドブックになってますね。
あの本はどんないきさつで書かれたのですか?
あの本は元々、自分が知り合いの編集者に八丈島での暮らしを話したのがきっかけ。
八丈では当たり前の生活でも東京など大都会で暮らす人たちからすると、
島の暮らしは夢のような暮らしなんですね。話を聞いた編集者も
「面白い!是非、本にしよう」とすぐに話がまとまり、
八丈だけだとすごくコアな本になっちゃうから、他の島も取り上げ、
東京都の島々に移住するためのノウハウ本という内容にしました。
●あの本の中には、八丈島に暮らす魅力的な方々が紹介されてますね。
いつか当ブログでもインタビューしてみたいと思います。
川口くんから見た八丈島の魅力はどんなところですか?
八丈はまず、その規模と東京からの距離がいいですね。
それから、やっぱり独自の文化です。
あの本の取材時にも他の島の人から「八丈は文化があっていいね」と言われました。
●川口くんの好きな食べ物を教えてください。
アシタバ、クサヤ、パッションなどは神奈川にいても時々食べたくなりますね。
カンパチ、トコブシ、メットウ、シッタカ、キツネガツオ、
いや~、挙げればきりがありません。
●いろいろ聞かせてきただきありがとうございました。
最後に、当インタビューで紹介したら面白いと思う人がいたら教えてください。
林冬人さん、岩崎由美さん、村山賢一くん、
あと、アシタバやロベの生産者やカヌー漁などをしている漁師さんなども
個人的には興味ありますね。
◎ LAO BREEZE (川口正志HP)
◎ Neutral (川口正志ブログ)
◎島で暮らしたい!―東京都下の南の島で、スローライフを実現するためのノウハウ
(オフサイド・ブックス) 川口正志著
___
川口くん、ありがとうございました!
林冬人さん、岩崎由美さん、村山賢一くん、リクエスト出ました。
そのうちインタビューお願いします。
[お詫び]
本記事の文章が途中で切れてしまう障害が昨夜から発生していたようです。
原因不明ですが、今朝修正しましたので、誠に申し訳ありませんでした。(8/24)