べんりや日記

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縄文の古木 年代測定&ムシの跡

2009-04-15 18:39:48 | 山の木の話(越後杉)
長岡市街地から出土した古木のその後のレポートです。
現在、炭素14による年代測定の最中です。大阪(?)の考古学者の興味を得たようで、詳しく調べているとの事・・どのような結果になるのかは分りませんが・・無料で炭素14を行ってくれるということで助かりました。(本来ならば6万円くらいの出費となる予定でした)



長岡地域森林組合に置いてある古木


丸太の形状を確認中


チェーンソーで切断


現在サンプルによる炭素14法による年代測定を行っています


科学的な解析は、専門家に委ねることにして、こちらは、丸太を隅々まで観察することで解析してみます。
くまなく観察していったら、思わぬ発見がありました。



テッポウムシの跡がありました


樹皮近くにサシムシの跡も発見しました


テッポウムシは立ち木に入る虫で、サシムシ(カミキリムシの幼虫)は乾燥しはじめた材木の表皮部分に卵を産みつけ、水分のある表皮部分を餌に成長し、1年で成虫になる虫です。
サシムシの跡が比較的初期の段階であることから、木が倒れてから、1年くらい(又は未満)の短期間は、空気にさらされていた時期があったとうかがえます。

それにしても、こんな大木が上流から流されてきたというのも不思議な話です。
重量もかなりのもので(森林組合のリフトが傾いたということで、何百キロというオーダーではなく、何トンというレベルの重量のようです)、そんな木が何十キロも流されることは想像も絶することで、実際にはかなり近くの山から流されたような気がします。

倒れた原因については、枝がかなりの力で折れた感じがするので、大規模な土石流があったとするのが妥当でしょう。

埋設された状況(廻りは「礫」(れき)が多量に含まれる土砂)から、大規模な土石流に一気に飲み込まれたのではなく、1回目で倒され表面が露出された状態となり、2回目の土石流によって完全に埋まったと考えられます。

それはムシの入った跡が証明しています。

サシムシ(カミキリムシの幼虫)は倒木や皮付きの丸太に入ります。しかも5月~6月に卵を産みつけ、表皮とシラタの水っぽい部分を食べて成長するため、この木の倒れた時期は秋~春と予想され、2回目の土砂災害で埋まる前に半年くらい地表に露出し、その間に春(5月~6月)を向かえ、あまり食べられないうちに2回目の土石流があり、埋まった・・・


それでは、その土石流の原因は何か?
秋から春にかけての土石流といえば、雪解け等による土砂崩れ。しかも大規模な土砂災害を伴っています。
詳しい年代測定はまだですが、この層の年代からいうと約2千年前とのこと・・

中越沖地震の時に、出雲崎沖で海底から浮かんできた古木がありましたが、あれも同時期とのことで、その流出元は遥か上流の「妙高山」とのことです。

約2千年前に大規模な土砂災害が起こっていた・・
何かとてつもない天変地異が起こっていたのかも知れません。
大規模な土砂災害というと、最近の7・13水害や新潟県中越大震災が思い出されます。

そして、大規模な地震による地形変動、土砂災害のモデルと、この木がどこから流されてきたのかという推測に至ったのですが・・それは次の機会で・・


山の木の話へ・・
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