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I型 210㎝のこだわりキッチン

2009-10-07 00:39:48 | システムキッチンを考える
今回、ご紹介するのは乙吉町S邸のキッチンです。
I型の2100㎜というコンパクトな設計なのですが、実に個性的です。
私の好きなプランの一つでもあります。



コンパクトでも本格的なキッチン


左からガスコンロ75㎝、3段引き出し45㎝、シンク90㎝
シンクの下はオープンスペースとなっていて、ゴミ箱が置けます。
今は無きダイヤ製。こういう特殊な形にも応えてくれたのでした。



流し左側の扉から外へ出れます。
ゴミを出すとか、買い物から帰ってきて直ぐに冷蔵庫まで行けます。
庭から自家製ハーブとか採って直ぐに調理できるとか・・


キッチンルームは巾350㎝×奥行210㎝で、流しの直ぐ右には冷蔵庫を置き、
流しの反対側の(こちら側の)壁は、電子レンジ等の家電製品を置くスペースとなります。270㎝が利用できるので、たっぷりと置けます。



スウィング収納にて、吊戸棚の不自由さを解消しています。


対面型のキッチンが流行っていますが、個室型のキッチンだと、狭くても有効にスペースが利用できます。
対面型の場合は、カウンターごしに部屋に接しなければならず、対面カウンターの上に吊戸棚を置くと、圧迫されてしまうので、どうしても吊戸棚を取ってダイニングとキッチンを一つの部屋にしたいところです。
そうすると、カウンターの上のスペースが使えなくなる欠点が出てきます。
個室型だと、窓側に流しを持ってこれるので、窓上の吊戸棚が設置できます。

対面型の場合は流し後ろの家電収納や食器収納部分を「隠す」必要もあるため、この辺りで四苦八苦している人も多いはず・・・



そして、この家にも大事な思い出があります。
乙吉町S邸は1階部分に古民家の材料を使って、2階は地元の間伐材を使っています。更にその材料を伝統木組みによって確認申請を出した記念すべき建物です。
27坪というコンパクトな家ですが、薪ストーブやお客さんの意見を取り入れた本格的な家でもあります。

そして、引き渡した直後、新潟県中越地震が襲ったのでした・・
(引渡しは10月23日でした)



翌日の廻りの様子。
家は斜めに傾いています。


道路は崩れて、波打っています
この辺りは、長岡市内でも地震の被害が大きかった地域です


そんな中、S邸は何もなかったかのように平然と建っていたのでした


内部は、確かに揺れが激しかったらしく、お客さんの運んだ家具が倒れて散乱していました。
でも、木組みの栓や込み栓はヒビ一つ入らず、建物も傾斜していなかったのには驚きました。
伝統構法は地震に強いことを証明した家でもあります。



地震直後の流し・・


その後、お客さんは仮設住宅で過ごし、道路や下水道等のライフラインが復帰するのを待ってようやく引っ越すことができました。
その間、2回の冬を越さなければならず、道なき道を雪をかき分けながらたどり着き、更に屋根に上って2m近くある雪を屋根から下ろす作業をしなければなりませんでした。

地震の直後、私の会社は2件の新築をしていましたが、どちらも激震地区で、もう一箇所は小千谷市です。建物が壊れていれば、直して引渡しをしなければならず、もうだめかと思っていたのですが、どちらの建物も無傷だったのに、山の木と伝統構法に救われた経験をしました。

地震に絶えた山の木の家は、まさに今の山林や伝統構法を象徴しています。

まさに、崖っぷち。でも何とか耐えている。


途絶えようとしている、ぎりぎりのところで存続をかけながら頑張っている姿です。
そういう特別な家が乙吉町S邸なのです。



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