実際に作ってみました
「病院から帰って来る母のために流しをリフォームしたい」
要介護認定を受け、歩行器と手摺を使わないと移動がままならないそうですが、動けるうちはキャスター椅子を使って料理や食器の片付けをさせたい・・
そんな依頼が年末に入りました。
車いす専用のキッチンも既にメーカーから提案されていますが、I型で使い勝手が悪いのが特徴です。本格的な調理をしたりするには健常者でも使いづらい。殆どが洗い物やまな板で簡単なカッティングのみしかできない・・・
身障者にも使いやすいキッチンを・・
既製品では対応できず、色々な製品を組み合わせて工夫しなければ実現できない工事ではありますが、何故かそういった方が熱が入ってしまう私・・・(難儀な性格です・・)
平面計画
通常は「I型」よりも「L型」のキッチンの方が動線が短く、使いやすいと言われますが、それは健常者の場合の話です。身障者の場合は、動線を極力少なくする必要があり、横への移動を抑える・・理想ではくまなく囲った「コノ字型」若しくは「ロの字型」に近いプラン。
キャスター付の椅子に座りながら、周囲をクルクル回転させながら調理をする・・
妊娠中のお母さんにも優しい設計でもあります。
点線で示す様に、手の届く範囲が狭くなるのが特徴で、このライン内に必要なものの配置をする必要があります。
断面計画
キャスター椅子に座って流しを使うとなると、手の伸ばせる範囲が決まってきます。
水栓金具のレバーハンドルの位置をなるべく近くして、手元にフットスイッチを設置すれば使い勝手が向上します。
水栓のノズルを自在パイプにして固定しておいて、フットスイッチで水の出し止めをすれば、両手が使えて便利になる。
「象さんノズル」を実現するカクダイの「自在フレキパイプ」
先端はシャワーヘッドをつけます(これもカクダイ製)
収納計画
キッチンで動線と共に重要視されるのが収納です。既製品のシステムキッチンほど収納量は期待できませんが、必要最小限の収納をします。
カウンターの上のコーナー部分回転式のトング掛け兼用調味料棚を設ければ、デットスペースになりがちな部分を有効活用できる。
カウンター下のスペースもキャスター付でなるべく上面を使用できるものを提案。フライパンや鍋がここに収納しますが、量が多すぎると重くなるので、必要最小限です。
工事中
完成
システムキッチンを考える
バリアフリーについて考える
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