何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

ヒヤリハットしているか(2)

2007-09-12 18:43:21 | 思いつくまま
 ヒヤリとしたりハッと心が感じていないことが、インシデント再発防止の動機づけの不足や取り組みの甘さにつながるのではないか。それは、単に想像力の欠如なのだろうか。
 そのエラーが見つからずに続いてしまったら、患者さんはどうなってしまうのかと、どうしてそこに想いが至らないのか。それとも、それを承知のうえで、たいしたことがないと思っているのだろうか。

 いずれにせよ、好ましくない結果が発生していることは事実であるが、そういう結果さえ生まなければいいダロ、という考えのもとで言われるのが、処方せん通りの交付、事故ゼロということだ。インシデント・ゼロを求める経営者もいる。

 事故はゼロでなくてもいい、という意味ではなく、そもそも人が行う業務である以上、残念ながらそれは理想であり、現実的な目標にはならないという事実を認めることが必要ではないか。そのためにも、絶対エラーを起こさない、という結果を求めるのではなく、それを起こさないような仕組みを構築することだと考える。

 そういった仕組みや体質を作るうえで、スタッフのみながそうしようという意識を持つことは大切である。しかも、それを言われて強制されるのではなく、自身が心底からそう思うことが重要で、そのためにヒヤリハットがあるのではないだろうか。

 ヒヤリハットする事例は、幸い?日常、身の回りにゴロゴロしている。そこから感じ取れるか、そして学べるかどうかだ。ある事例に対して、どうしたらヒヤリとしたりハッと感じることができるか。それには、患者志向が組織の根底に流れているかどうかではないだろうか。

 患者への影響を強く意識できれば、このままではマズイと感じとれるのではないか。一方、処方せんに書いてある通りに交付しさえすればよい、という考えや、ましてや利益重視・売上第一では、カタチさえできていればいいと考え、そのレベルを目指した調剤になるので、処方せん通りの状態から上は望めない。外見を取り繕っていればいいのであれば、体制整備や改善などに熱も入らないに違いない。

 患者志向の調剤。患者さんの健康回復や維持を第一に、安全確保のための服薬管理を進めることが組織の方針や柱になっているかどうか。
 常に患者さんのことを思う姿勢があってこそ、ヒヤリとしたりハッとすることができ、想像力が培われ、危機感が生まれ、動機づけ・意識づけを確実にする。ひいては組織のプロセスを改善させ、薬局の質を向上させていくことだろう。(了)
 
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ヒヤリハットしているか(1)

2007-09-12 13:50:08 | 思いつくまま
 調剤エラーに関連し、調剤過誤、調剤事故、インシデント事例に区分されている。インシデント事例はヒヤリハット事例であり、「患者に健康被害が発生することはなかったが、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした出来事。患者への薬剤交付前か交付後か、患者が服用にいたる前か後かは問わない。」と説明されている。

 インシデントでなければ調剤事故だが、そこは健康被害の有無で判断される。わかりやすくて、一見明確なようだが、健康への影響があるかどうかは、自覚症状を感じるかどうか、それなりの影響が及んだと思うかどうかだから、実は主観的でもある。たいしたことはない、と判断されたら、「健康被害ではない」と軽く考える向きもある。

 さてヒヤリハット事例は調剤事故と比べれば健康被害には至らなかったのだから、結果としては安堵できるものだが、その報告を見ていると、どうも事務的というか、“報告を出す決まりになっているから出しました”的なものが目立つ。

 結果的にインシデントで済んだにせよ、その発生に係わったということで、責任追及を心配しているのかもしれない。言外に不可抗力とは言わないまでも、やむをえない、情状酌量的余地を訴えるようなものもある。

 だから責任追及と原因追求は別だと言われる。インシデントの原因を明確にして反省の材料として、再発防止を図るべく、今後に活かすことが大切だ。その動機が“ふぅー、大事に至らなくて良かった、ひとつ間違えればタイヘンなことになっていた”といったような、ヒヤリとしたりハッとする思いだ。冷や汗をかいているか、後から思い出してもゾッとしているかが、次からは気をつけようという意識の源泉だと思う。

 どうも報告書を見る限り、冷や汗や青ざめた様子がたいして伝わってこないものが多い。とにかく書いて提出さえすれば一件終了、喉元すぎればナンとやら、である。
 なんか、ヘンじゃないか、何のためにインシデント事例を報告しているのだろうか。どうしてこんなふうになってしまったのだろうか。(続く)
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