新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ブラジルコミカンソウ:ブラジル小蜜柑草(山奥にも進出)

2008-11-14 06:57:16 | 植物観察1日1題

高槻の奥のバス停脇でナガエノコミカンソウ:長柄小蜜柑草(トウダイグサ科コミカンソウ属)を見かけました。
1992年に福岡県で採集され、今では関東地方から九州地方まで帰化しているといわれるインド洋諸島原産の外来種です。こんな山奥にと思いましたが、バス停ということで、市街地の種が誰かくっついて運ばれてきたものと思われます。
全体無毛の低木または1年草で、茎からまばらに水平方向に枝を出します。葉は長さ1cmほどで線形の托葉があり、互生して複葉のように見えます。
夏から秋にかけて葉脇に5mmほどの柄のある花を下向きにつけます。花は雌雄異花で直径2mmほどの淡黄色です。
別名はナガエコミカンソウ:長柄小蜜柑草です。
参考:コミカンソウ(10月16日記事)


イトラッキョウ:糸辣韮(長崎平戸限定)

2008-11-13 06:55:38 | 植物観察1日1題

イトラッキョウ:糸辣韮(ユリ科ネギ属)は、長崎県の平戸島だけに分布する多年草で、地中にラッキョウを小さくしたような鱗茎があり、葉が糸の様に細いのでこの名があります。
11月頃、葉の間から高さ8~20cmの花茎が伸び、先端に紅紫色の小さな花が集まってつきます。
写真は咲きかけで、雨天でもあり、よく開いていませんが、花弁は6個あり、長い雄蕊が目立ちます。
ネギの仲間なので、茎や葉を傷つけるとネギのようなにおいがするそうです。

ムベ:郁子〔食べて納得、ムベなるかな)

2008-11-12 07:14:58 | 植物観察1日1題

初夏、高い木のうえに白い花をつけていたムベ:郁子(アケビ科ムベ属)(06年5月10日記事)の下に
実が落ちていました。
アケビ科のほかの仲間とは、花の形がずいぶん違い、果実も長さ約6cmの楕円形で、裂開しません。
アケビの仲間では、最も美味しく、ムベの名も、昔朝廷に献上した大贄が語源で、オオニエ→オオムベ→ウムベ→ウベ→ムベと転訛したといわれます。
そんな美味しいムベを今まで食べた経験がありませんでした。地面に落ちた果実でしたが、まだ新しいようなので、割って中味を食べてみました。
評判どうり他のアケビより美味しいという気がしましたが、先入観のせいかもしれません。

ソクズ:(花時の名残りも残して)

2008-11-11 07:11:19 | 植物観察1日1題

夏、道端で白い花をつけていたソクズ(スイカズラ科ニワトコ属)(7月24日記事)が赤い実をつけています。
花時に、蜜をためて昆虫を呼んでいた杯状の腺体の痕跡がところどころに残っています。
ニワトコに似ているという大形の奇数羽状複葉の緑と、果柄の紫、赤い実が、3色効果を演出しています。

コメナモミ:小豨薟(小形のメナモミ)

2008-11-10 07:07:41 | 植物観察1日1題

昨日の記事のメナモミに似て、全体に小ぶりなので名がついたコメナモミ:小豨薟(キク科メナモミ属)は、各地の山野の荒地や路傍に多く生える1年草で、高さ50~80cm、葉の上面はざらつきます。
メナモミと違って茎や葉にほとんど毛がなく、縁には不揃いな粗い鋸歯があります。
花期は9~10月、頭花はメナモミより小さく、枝先にまばらにつきます。頭花の周りの総苞片には腺毛があり、実と一緒に動物や衣服にくっついて運ばれます。

メナモミ(なずんでひっつく)

2008-11-09 07:33:33 | 植物観察1日1題

豨薟、この難しい漢名を持つメナモミ(キク科メナモミ属)は、各地の山野に生える多年草で、茎は高さ1m内外で、葉とともに開出する白毛を密生します。葉は対生し、卵状3角形、3本の脈が目立ち葉柄には翼があります。
花は秋、頭花の周りには先が3裂した舌状花、中心部に筒状花があります。
5個の総苞片は長くて開出し、腺毛が密生してヒトデのように見えます。その腺毛から粘液が分泌されることによって、種子が他物に付着し散布されます。
和名は雄ナモミに対する雌ナモミで、ナモミはナズムの意で、種子がよくくっつくことをいいます。ナズムは広辞苑によると、執着する、思いつめる、惚れ込むとあります。ひっつかれたほうが迷惑する深情けです。

テイカカズラミサキフクレフシ:定家鬘実先膨五倍子

2008-11-08 07:40:24 | 植物観察1日1題

時々歩く散歩道脇に木に絡んだ葛になにやら奇妙な形をした実がいくつも成っていました。
葛そのものは見慣れた形なのに、この実は初めてです。
写真を撮って帰り、知人に尋ねると、テイカカズラ:定家葛(キョウチクトウ科テイカカズラ属)の虫こぶで、テイカカズラミタマバエ(双翅目タマバエ科)が作ったテイカカズラミサキフクレフシ:定家鬘実先膨五倍子と教えてくれました。対をなして逆V字状になっている果実 (06年12月2日記事)の先端が接したまま肥大した虫えいで、内部に多数の虫室があり、それぞれ黄色の幼虫が住みます。
V字型に開いた二つの先端がどうしてひとつに合体して虫こぶを作るのか不思議です。果実の先が開かないごく初期のうちにタマバエが入って作業したのでしょうか。
テイカカズラについては、05年6月9日記事でも取り上げていますが、話題の多い葛ではあります。

クサソテツ:草蘇鉄(秋のコゴミ)

2008-11-07 07:06:47 | 植物観察1日1題

クサソテツ:草蘇鉄(ウラボシ科クサソテツ属)が、胞子葉を伸ばしています。
北半球に広く分布し、各地の山地の林中にはえる夏緑性の多年草で、匍匐茎を延ばして株を増やし群生します。春に出る栄養葉は長さ1mにも達し、下部の羽片は短縮して中太りになります。
胞子葉は秋に栄養葉群の中心から伸び、高さ約60cm、胞子嚢は秋に熟します。
若葉はコゴミ、ガンソクとも呼ばれて食用にされ、最近人気の山菜となっています。

オオハナワラビ:大花蕨(少しだけ大きい)

2008-11-06 07:05:43 | 植物観察1日1題

木陰にオオハナワラビ:大花蕨(トクサ科ハナワラビ属)が出ています。
本州中部地方以南の低山、丘陵地の林中に生える多年草で、秋から春まで生活し夏は枯れます。葉は毎年1本だけ出ます。胞子葉は栄養葉より長く、胞子は秋に熟します。
フユノハナワラビ(06年12月17日記事)に似ていますが、少し大型で裂片に鋭い鋸歯があり、葉先が急に尖る、暗緑色で表面が平らに見えるなどで区別されます。


ホソバウンラン:細葉海蘭(晩秋に目立つ黄色い花)

2008-11-05 07:04:17 | 植物観察1日1題

夏の花が終わってさみしい公園の片隅に、そこだけ目立つ黄色い花が咲いていました。
ホソバウンラン:細葉海蘭(ゴマノハグサ科ウンラン属またはリナリア属)は、ヨーロッパからアジアにかけての原産で、花卉や薬用として栽培されたものが各国で野生化している多年草です。
日本には明治年間に花卉として導入され、やはり各地で野生化しています。下部から発生した茎を叢生し、高さ50cmほどになります。春から秋にかけて長さ3cmほどの唇形で長い距のある淡黄色の花を穂状につけ、ときに白花もあります。
上唇と下唇が密着し、雄蕊と雌蕊を隠す仮面状花となっており、これをこじ開けられる特定の送粉者だけが中へ入れるのですが、そうでないほかのハチなどは、もっぱら外から距に穴をあけて盗蜜しているとの報告があります。

キヅタ:木蔦(初冬に咲くツタ)

2008-11-04 06:55:09 | 植物観察1日1題

キヅタ:木蔦(ウコギ科キヅタ属)の花が咲いています。
山野に生える常緑のつる性木本で、気根を出して樹木や岩などに這い登ります。
葉は互生し、長さ3~7cmの3角形または5角形で、掌状に浅く3~5裂し、花序のつく枝の葉は倒卵形または楕円形で分裂しません。
10~12月に咲く花は、枝先に直径2.5~3cmの球形の散形花序を1個または数個出し、黄緑色の小さな花を多数つけます。花は直径1cmほど、花弁は5個、長卵形で反り返ります。
雄蕊は5個、葯は黄色で裂開すると褐色になります。花盤は暗紅色を呈します。
複雑な形と変わった色で、奇麗なのか、奇麗でないのか微妙です。
果実は液果で、はじめ赤紫、5~6月に紫黒色に熟します。
常緑で冬に花が咲くので、ツタ(ナツヅタ)にたいしてフユヅタの別名があります。

イチビ:(益草転じて難儀な雑草)

2008-11-03 07:07:34 | 植物観察1日1題

イチビ:(アオイ科イチビ属)が、アオイ属にしては珍しく直径2cmほどの小さい黄花をつけています。
別名、キリアサ(桐麻)ともボウマ(莔麻)ともいわれ、インド原産の帰化植物で、かつては繊維をとるために広く栽培されたものが、今ではもっぱら厄介な雑草として知られています。
高さは1.5mほどで、全体に異臭があり、葉は心臓形から円形で表面に白い毛が密生します。夏から秋にかけて径2cmほどの黄色の花が葉腋から上向きに咲きます。
特徴ある果実は半球形で、11~16の分果が環状に並んでおり、熟すると縦に裂けます。腎臓型の種子は茶色で、毛が密生します。種の皮は硬いため20年近くにわたって発芽能力を保ち、一度地面に落ちると何十年にもわたって発芽し続けるといい、他の植物の生育を阻害するアレロパシー効果もあって難儀な害草となっています。
変わった名前の由来は火口としたため「灯火」からきたとありますが、説明を聞いても意味がよく分かりません。
まったく無関係ですが、名前を覚えるために関西弁のイチビルまたはイチビリを連想しました。
イチビルは調子に乗ってはしゃぐ、ふざける、イチビリはふざけまわる人とありました。(牧村
史陽編:大阪ことば事典)

キダチコンギク:木立紺菊(荒地に楚々と)

2008-11-02 07:20:24 | 植物観察1日1題

キダチコンギク:木立紺菊(キク科シオン属)は、北アメリカ原産の多年草で、日本には朝鮮戦争のとき北九州に渡来し今では四国や東海地方にも広がり、河原や荒地によく見られます。
茎はよく分枝し高さ0.4~1.2m、下部は木質化します。葉は互生し、被針形~倒被針形で先は鋭く尖ります。
頭状花は多数で径1.5cm、舌状花は白色またはやや淡紫色を帯びます。
荒地に多く咲く外来種にしては、いい名前をつけてもらって、花だけを見れば、楚々とした感じ無きにしも非ずの風情です。