穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

アップデート要求54:従来型のの出産

2021-04-27 08:56:28 | 小説みたいなもの

 昨日の国会の分科会では従来型の膣からの出産にどのような刑罰を科すべきかということが議論されていた。国会議員と言うのは細かい屁理屈を言うのがうまいらしい。ある議員は言葉の定義の問題で政府案にいちゃもんを付けていた。月満ちて十月十日で妊婦の下腹部から顔を(あるいは足を)出した赤ん坊だけを禁止するのでいいのか、というのである。帝王切開で取り出した場合はどうなのか、はたまた未熟児あるいは超未熟児で取り出した場合はどう扱うかと言うのである。

 また、放射能の汚染から種の保存をはかっているのは日本だけではない。他国の政策も参考にすべきである、という議論もあった。胎児の段階で発覚したら即堕胎するという国もある。また、関係者すなわち父母と幇助した医師などであるが、死罪にしている国もある。関係ほう助した医師も同罪としている。

 関係者を終身刑に処している国も多い。一番多いのは不定期刑を課して懲役、禁固に処しているケースである。日本ではこれにすべきではないか、という意見が多いらしい。その場合、日本では刑務所の数が足りない。今でも収容可能人数を超えている。新設する為の経済的な余裕もない。

 ある議員は奇抜な案を提案している。廃船となった大型タンカーを改造して収容所とするというのである。相当のキャパシテイが作れる。それを日本から遠く離れたマリアナ海域沖に停留させるというのだ。警戒監視が容易であるというのである。サメがうようよしている海域では脱獄は容易ではない。また、障害物が全くない大洋上では不審船の接近は容易に発見できるから監視は容易である。

 台風が多い海域だが台風が来たらどうしますか、なんて心配して質問している議員がある。提案者によると台風が予想される場合は予想海域から一時的に船を退避させるそうである。

 奇想の連続に殿下は思わず引き入れられて審議の続きを二ページ目、三ページ目とプリントアウトして読みながら時間のたつのも忘れてしまった。天頂に移動した太陽で日差しが陰り客室は薄暗くなったのに気が付いた彼は今日は市中見物の予定を立てていたのを思い出した。その前にフンドシを館内の店で買っていかなけらばならない。彼は身支度をして部屋を出た。

 

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