穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

濡れ場が濡れ場ではない

2024-02-07 20:49:31 | 書評

城以外の作品で男女交合の描写はカフカでなかったと思う。それがまた、なんというか即物的なんだね。これがカフカの最後の作品だが、話は飛ぶがチャンドラーも最後の作品、なんと言ったかな、プレイバックだと思うが、すたこら登場人物がくっ付いて唖然としたが、カフカの場合はもっと味気ない、言ってみれば鉱物と鉱物がぶつかったみたいな描写だ。一言で言えば全然なっていない。

ともに最晩年の作だが、チャンドラーの場合はもう70歳だからまあ、そんなものか、と思うが、カフカは確か36,7歳だろう。あの味気なさはある意味で唖然とする。