この中公文庫谷崎の日記は勝手につまみ食いをした、しかも編集方針が分からない断片的なものである。日記としてはまず「最低」と言ってよい。
すなわち、昭和十九年一月から十二月、昭和二十年三月の東京大空襲から八月十五日の日記、昭和二十年の十二月から三月十七日までの断片である。編集者はこの切れ切れに収録した理由を述べていない。不誠実、迂闊な話である。
谷崎の小説は大昔読んだがあまり記憶にない。つまらないという印象が残っている。収録された日記の記述は中学生、高校生でも書ける平凡な調子である。編集採録方針は不親切で不誠実という印象だ。
なお、日記の部分は125ページまでで、その他に当時書かれた短編やそのほかの文章が収録されている。それはまだ読んでいない。
昨日短時間で飛ばし読みをした印象だから、もう一度腰を落ち着けて読んでから印象を追加したい。