min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

アヒルと鴨のコインロッカー

2007-10-28 23:45:56 | 「ア行」の作家
伊坂幸太郎著『アヒルと鴨のコインロッカー』創元推理文庫 

オススメ度★★★☆☆

冒頭からいきなり読者の気をひきつけるシーン、モデルガンを握って書店の裏を見張る青年が登場する。
青年の名は椎名といい、たった2日前に大学入学のために東北のとある都市に引っ越してきたばかりだというのに。一体全体何がどうなって彼は強盗の片割れになってしまったのか?強盗の目的がたった一冊の「広辞苑」を盗む、というのも全く奇妙な話だ。

物語は僕こと、椎名と引越し先のアパートの対面の部屋の住人河崎という学生、そして美人のペットショップオーナーの麗子さんが軸に物語が進行する「現在」とわたしこと、琴美とブータン人の留学生ドルジ、そして河崎が登場して物語が進行する「2年前」のストーリーが平行して語られる。
そしてこの時空が違う物語が交差するとき、思いもよらぬ謎が解かれる仕組みになっている。読者は交差して初めてそれぞれの時空で張られた伏線に改めて気がつき、意外な事の真相に驚くのである。
このあたりの作者の技量は確かに高いと言えるのであるが、どうも自分にはしっくりと楽しめないものを感じるのは何故なのだろう?
どうも登場人物の誰彼にも感情移入ができないことが原因のようだ。伊坂幸太郎氏が描く作中の若者達が僕にとっては全く現実味に乏しい、いや現実味がなくてもいっこうに構わないのだが、魅力を感じない点においては物語を読み進める上で致命傷となってしまう。
巷で評価が高い伊坂幸太郎氏であるが、ちょっとパスさせてもらうことにした。