デイヴィット・ボイヤー著『冬山の追跡』創元ノヴェルス 1994.3.25 730
米ペンシルバニア州の冬山でひとりの少年が射殺死体で発見された。発見したのは地元に住む元老ハンターであった。元老ハンターの孫がこの地域の狩猟監督官をしている関係から孫の元に遺体を持ち込んだ。狩猟監督官は言下に事故説を振りかざし、ほとんど真相究明に乗り出す姿勢が見られなかった。
一方、この少年の実の父親(案の定離婚した結果)が最初から少年は何者かによって射殺されたと思い込んでいる。彼は大学の教授職にあり、狩猟とは程遠い環境にあった。また学生時代は学生運動に関わり兵役拒否したことから銃の扱いもほとんど無知であった。そんな彼ではあるが、大学の武器庫(ここら辺りが日本的感覚では考えられない)に忍び込み軍用の自動ライフルを持ち出した。
父親は少年が射殺された町に乗り込み、幾かのハンターに出会ったのち犯人への怒りがいつしかハンターそのものの存在が許せなくなってゆく。やがて父親は自分が想像した“犯人像”をまさに“犯人”と錯覚して撃ち殺してしまう。それからの彼の“歯止め”のタガが外れたように他のハンターへの無差別殺戮へと発展していく。
この父親を追跡し始めたのは少年を発見した老ハンターであった。素人とはいえ復習に燃えた体力ある父親と齢70才を越えた老人の知力、体力を懸けた闘いが厳冬の山中で繰り広げられるのだ。果たして二人の戦いの結末はいかに、少年を撃った真犯人は誰なのか?
全般的な印象は映画で例えるならば(今や僕の常套手段的表現なのだが)、「B級ハリウッド映画」的なのである。この手の追撃線を描いた幾多の秀作にはちとレベルが届かなかったものの、老ハンターのキャラクターと思わぬ活躍ぶりが光った一遍であった。
米ペンシルバニア州の冬山でひとりの少年が射殺死体で発見された。発見したのは地元に住む元老ハンターであった。元老ハンターの孫がこの地域の狩猟監督官をしている関係から孫の元に遺体を持ち込んだ。狩猟監督官は言下に事故説を振りかざし、ほとんど真相究明に乗り出す姿勢が見られなかった。
一方、この少年の実の父親(案の定離婚した結果)が最初から少年は何者かによって射殺されたと思い込んでいる。彼は大学の教授職にあり、狩猟とは程遠い環境にあった。また学生時代は学生運動に関わり兵役拒否したことから銃の扱いもほとんど無知であった。そんな彼ではあるが、大学の武器庫(ここら辺りが日本的感覚では考えられない)に忍び込み軍用の自動ライフルを持ち出した。
父親は少年が射殺された町に乗り込み、幾かのハンターに出会ったのち犯人への怒りがいつしかハンターそのものの存在が許せなくなってゆく。やがて父親は自分が想像した“犯人像”をまさに“犯人”と錯覚して撃ち殺してしまう。それからの彼の“歯止め”のタガが外れたように他のハンターへの無差別殺戮へと発展していく。
この父親を追跡し始めたのは少年を発見した老ハンターであった。素人とはいえ復習に燃えた体力ある父親と齢70才を越えた老人の知力、体力を懸けた闘いが厳冬の山中で繰り広げられるのだ。果たして二人の戦いの結末はいかに、少年を撃った真犯人は誰なのか?
全般的な印象は映画で例えるならば(今や僕の常套手段的表現なのだが)、「B級ハリウッド映画」的なのである。この手の追撃線を描いた幾多の秀作にはちとレベルが届かなかったものの、老ハンターのキャラクターと思わぬ活躍ぶりが光った一遍であった。
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