木村シュン也著「安東水軍記」2002.11.1 第1刷 1,800円+tax
おオススメ度: 星2つ
安東水軍という言葉を聞いたことのある読者は少ないだろう。そもそも安東氏そのものの存在がよく知られていないはずだ。
私は今夏から生まれ故郷である北海道の札幌市へ一時的に戻って来たのだが、明治以前の北海道、いわゆる蝦夷地について調べているなかで本書に出会った。間宮林蔵が蝦夷地から更に北方にある樺太探検を行った遥か以前より蝦夷のアイヌたちは手製の丸太船を操り、サハリンはおろかロシアの黒龍江まで航行し交易を
行っていた。アイヌ民族は北海道内で熊を囲んで踊っていた民族ではない。このあたりの歴史認識をベースにして本編を読まねばならない。
さて本編であるが、この時代蒙古のフビライは南北から日本を挟撃しようとしている、という情報が交易船を介し安東兵庫の元にもたらせられた。本編の主人公である兵庫は事情あって蝦夷地の余市に母と共に居留し南北の交易を行っていた。兵庫の考えとしては北方からの蒙古の攻撃から日本を守るには北方の民が連合して戦わねば勝ち目がないというものであった。自ら部下数名を連れ、更に北方アイヌの協力を得ながらサハリン経由で黒龍江の奥地まで探索したのであった。元は既にそれなりの部隊と統治者を送り込み周辺の部族や北方アイヌなどの捕虜を使って船造りを始めていたのだ。
この結果を秋田十三浦にある安東家の宗家に持ち込んだのであるが、肝心の安東家が二分する内紛に見舞われていたのだ。
ま、実際に蒙古軍が蝦夷地をおそったという事実はないし、その前段として黒龍江あたりで戦いがあったわけでもなさそうなので、このあたりの描写がないのは誠に残念である。印象的にはやはり尻切れトンボ感は拭いきれないものの、小説の題材としての希少価値感は大いにあるのでは。
おオススメ度: 星2つ
安東水軍という言葉を聞いたことのある読者は少ないだろう。そもそも安東氏そのものの存在がよく知られていないはずだ。
私は今夏から生まれ故郷である北海道の札幌市へ一時的に戻って来たのだが、明治以前の北海道、いわゆる蝦夷地について調べているなかで本書に出会った。間宮林蔵が蝦夷地から更に北方にある樺太探検を行った遥か以前より蝦夷のアイヌたちは手製の丸太船を操り、サハリンはおろかロシアの黒龍江まで航行し交易を
行っていた。アイヌ民族は北海道内で熊を囲んで踊っていた民族ではない。このあたりの歴史認識をベースにして本編を読まねばならない。
さて本編であるが、この時代蒙古のフビライは南北から日本を挟撃しようとしている、という情報が交易船を介し安東兵庫の元にもたらせられた。本編の主人公である兵庫は事情あって蝦夷地の余市に母と共に居留し南北の交易を行っていた。兵庫の考えとしては北方からの蒙古の攻撃から日本を守るには北方の民が連合して戦わねば勝ち目がないというものであった。自ら部下数名を連れ、更に北方アイヌの協力を得ながらサハリン経由で黒龍江の奥地まで探索したのであった。元は既にそれなりの部隊と統治者を送り込み周辺の部族や北方アイヌなどの捕虜を使って船造りを始めていたのだ。
この結果を秋田十三浦にある安東家の宗家に持ち込んだのであるが、肝心の安東家が二分する内紛に見舞われていたのだ。
ま、実際に蒙古軍が蝦夷地をおそったという事実はないし、その前段として黒龍江あたりで戦いがあったわけでもなさそうなので、このあたりの描写がないのは誠に残念である。印象的にはやはり尻切れトンボ感は拭いきれないものの、小説の題材としての希少価値感は大いにあるのでは。
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