min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ピエール・ルメートル著『その女アレックス』

2015-10-01 11:12:11 | 「ラ行」の作家
ピエール・ルメートル著『その女アレックス』文春文庫 2014.9.10第1刷 924円+税

おススメ度:★★★☆☆

巷ではこの作品は発行されて以来結構話題作となりそこそこ売れているようだ。横浜市立図書館の待ち受け人数を見ると350人以上おりとても待つ気にならないので書店で購入した。著者はフランス人とのことで、この題名から想像するに映画監督リュック・ベッソンあたりの女暗殺者ニキータのイメージを抱いてかなり期待して興奮してページを開いたものであった。
それと読みたいと思ったもうひとつの理由は英国推理作家協会のCWAインターナショナル賞を受賞した作品であったから。
のっけから衝撃的シーンで始まる。女が全裸で木のケージに閉じ込められ、いわゆる中世の拷問の一種らしいのだがその手法たるや恐るべきものであった。その名前は失念したが、要は急激な苦痛を与えるのではなく、不自然な姿のまま身体を拘束し神経・筋肉が緩慢に痛めつけられ、やがて筋肉は痙攣をおこし気がふれるほどの苦痛となる。更にその様を空腹な数匹の巨大なドブねずみがアレックスを食らおう隙を伺うという身の毛もよだつシーンが展開するのであった。
一体この作品は「沈黙の羊」のような猟奇殺人小説家?と思うのだが、その後第二部、第三部の展開によって予想もできない小説となってゆく。訳者あとがきで述べられているように、
「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れるというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」とあるのだが、まさにその通りである。確かに一つの斬新な手法なのかも知れないが、根が単純でこらえ性の無い自分にはかなり苦痛の時間を通過せねばならなかった事を告白せねばならない。
評価の★の数が普通なのはこの手法の好き嫌いだけの話である。






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