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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:犯罪都市3

2024-03-05 | 映画


この「犯罪都市」の1は見て2は見てないと思うけど違うかも。まあどっちでもいいか。
マブリーである。
主人公役をやっている俳優のマ・ドンソクのことです。
彼のでている映画で感想を書いてるのは「新感染」だけですが、
そこでは命をかけて素手で戦う優しくマッチョな男を演じてて、
いかつく怖く泥臭い顔とゴリラのような体型は、わたしの好み的に不快で苦手なはずなんだけど
かっこいい!いい男やん!と思わせられました。
たとえば韓流スターを正反対にしたような容姿なんだけど、同じように思う人は多いのか
さらにその先のかわいさまで読み取ったファンに、マドンソク+ラブリーでマブリーと呼ばれるように。
女性にかわいい〜!とか言われちゃうのは、本人としは計算外かな?笑

さて、この映画での彼は「怪物刑事」。とにかく強い。ルールはわりと破るけど悪徳ではなく、
解決のために悪に手を染めるとか悪と手を組むとかいうことはない。
ただ、ただ、堂々として強いのです、腕っぷしが。
細マッチョ?なにそれおいしいの?甘いの?みたいな、筋肉の塊の
重力をたっぷり受けた体ひとつでの肉弾戦、また肉弾戦の戦いは
トム・クルーズの映画のような華麗なアクションはないけど、
一見地味ながらどっしりと見応えがあります。

お話は・・・えっとあんまりわかんないまま終わりました。
なんか麻薬がらみで死者が出て、それを追っていくうちに
汚職刑事と、韓国と中国と日本のヤクザ、とかが出てきて、横流しや殺し屋やとの
関係がいまいちつかめないし見分けもつかない。でもまあ、気にしないで大丈夫です。
後半に行くと色々整理されて(捕まったり殺されたりで登場人物が減る。笑)
とりあえず、こいつとこいつがこうなって、こうなるのね、くらいわかれば問題ない。

悪者が悪いのはともかく(日本の俳優がよく合った役をうまく演じてます)
主人公のペースに巻き込まれる脇役たちがとてもいい感じに笑わせてくれる。
特に予告編にも一瞬出てる中古車屋?のぽよんとしたチンピラ?がよかった。

何も考えないで気楽にマブリーの単純な強さを楽しんだらいい映画ですが、
見ているだけでこっちの体まで重く感じるような肉と肉のアクションって
最近中々ないですよね。
そういえばシャーリーズ・セロンの「アトミック・ブロンド」を少し思い出しました。
シャーリーズ・セロンはマブリーとは正反対の完璧美女ですが、
彼女のその映画の中での戦いもまた、
見ているこちらまでなんかダイレクトに疲れと重力を感じさせるほどのものだった。
「アトミックブロンド」はそこがすごく良かったのよね。今回のマブリーと同じ。
でも、マブリーはラブリーだけど、どちらか一人を選べと言われれば
やっぱりシャーリーズ・セロンと付き合いたいかな。(付き合えません)(えらそう)(なにさま?笑)

映画:ビヨンド・ユートピア 脱北

2024-03-03 | 映画


エンドロールの時にすぐ立って出て行くのは普段映画をあまり見ない人に多いと思ってる。
個人的には好きにしたらいいと思うけど、
映画好きな人の中にはちゃんと最後まで座ってる人の方が多い印象。
この映画はここ数年見た中で、エンドロールが始まった途端にゾロゾロと出て行く人が多かった、
つまりそういう映画。
政治的な興味のある方や在日朝鮮韓国の方など、
普段映画館に来ることは少ないけど、この映画だからわざわざ見に来たという人が多い映画でしょう。
でも、普段映画見ない人も、めっちゃ見てる人も誰でも、みんなこれは見たらいいと思います。
見る前から、北朝鮮からの命懸けの脱北ドキュメンタリーと聞いただけで、
そんなの本当にどうやって撮れたの!?と驚いて、
何度もドキュメンタリー?本当?って確かめたくらいなので、面白くないはずがない。
見ている間中、脱北者の方にはもちろん映画を作ってる人たちに対して、すごいなー!と思い続けてました。

脱北という言葉は知っていたし、いろんな国から逃げてきた難民の映画や
ドキュメンタリーは何本か見ていたので、道中の大変さは想像できたけど
実際の脱北の様子を見るのはやはり受け取るこちらの気持ちも全然違いました。
夜中に山を越えるシーンの緊迫感、
人の足元を見て急に約束以外のお金を要求するブローカーたちとのやりとり、
どんな目にあってもまだ北朝鮮の体制を信じてしまうのをやめられないお年寄り…
脱北者の人たちの望郷の切なさと同じだけ、あまりにひどい北朝鮮の体制への怒りも描かれていてつらさが残ります。
その一方で、ここに出てくる脱北者支援をされてる牧師さんのような人もいる。
脱北者には小さな子供やお年寄りもいて、どこかの国の政治家のように生産性ということだけで
人間の価値を測るなら、大変な大金と命をかけて救う必要のない人も多いでしょう。
でもこの人は助けを求められるとどんな人であれ脱北の当事者以上に命懸けで、ずっと人のために生きている。
わたしは信仰はないけどいつか特別な天国が用意されていますようにと願わずにいられません。

映画:落下の解剖学

2024-03-01 | 映画


これは確かに良い映画だけど、こういう映画が満席になるのはカンヌの力よね。
たくさんの人が、素晴らしくうまく作られた映画を見にきてくれるのはありがたいんだけど、
カンヌと聞いて見に来た人がスヤースヤーと寝息を立てて寝るのはやめて。
なぜ寝息って普通の呼吸より大きな音なのか・・・(この月2度目でした)

さて、映画ですが万人向けじゃないとは言わないけど、
見る人によって理解の深さの幅がかなり出る映画と思いました。
どんなものでもシンプルな人はシンプルにしか見れないし複雑な人は複雑に見てしまうけど
この映画はその幅をより広げてしまう作品です。

雪深い家の窓から、作家志望の男が転落死し、第一発見者は視覚障害のある11歳の息子。
自殺か他殺か事故か。
人気作家である妻が疑われることになり、裁判が進むにつれ隠されていた事実が明るみに出て
この家族の、最初に見えていたのとは別の面が次々に現れてきます。
それぞれの嫉妬、恨み、軽視、不満、愛情…
でも最後の判決が正しいのか、あるいは誰かが嘘をついていて真相は違うのか、
映画は何も示唆しません。
事件の真相や裁判の行方より、裁判の中で暴かれていくさまざまな出来事から、
それぞれの人物とその複雑な関係、そして夫婦とは、愛とは、を想像させ考えさせるだけです。
観客に最後まで判断をさせないような演出が見事で、
安易な判断ができないままの状態でフラットに見ることで、
現実の人生がそうであるように、世界の複雑さをそのまま味わうことになりますね。

大きな犬がでてきますが、この子の演技が素晴らしく、パルムドッグ賞(!)を取ったそうです。
あと、雪山の中の家、最初に妻がインタビューを受けるシーンでは素敵な別荘のように見えたけど
その後あまり良くない感じの雑然とした感じがわかってきます。
趣味のいい夫婦の素敵な家になるポテンシャルのある家なのに、金銭的な理由からかなにか
ちゃんと手をかけてもらってない、雑に扱われている、大事にされてない感じがある。
安物で間に合わせているものが多そうな家に見えました。
その辺も細かく良く作られている映画だった。

ヒロインは最初キリッとした知的で魅力的な美人に見えたけど
だんだん疲れてただのおばさんになり美人に見えなくなった気がする。うまい。
そして弁護士役の人は、個人的に超超好みの顔なので、彼の顔を見るためにもう一度見たいくらい。笑

以下はネタバレ少々




11歳の息子に親の性生活の話を聞かせるのはつらいなぁ。この子が気の毒で仕方なかった。
わたし個人的には、判決通りは自殺で妻は無実だと思う。
夫婦が破綻してたとしてもまだ愛情はゼロではなかったし、
子供の世話や家事を主にしててくれた夫を殺して彼女が得することがあまりないし
あの状況で自分が疑われるのは必至だったし、殺すにしても別のやり方をしたでしょう。
最愛の息子を第一発見者にするほどの鬼母ではないしね。
ただ冒頭の様子はかなり不自然だったので、それも断言できない気持ちにさせる映画だったな。