sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:細い目、と二人称

2020-01-29 | 映画


日本語の一人称複数は一人称単数を複数形にしただけよね。わたしたち、ぼくら。
英語だと一人称単数とは別の単語があるし、韓国語でもフランス語でもそう。
そのほかの言語のことは知らないけど。
それで日本語以外の一人称複数にわたしは日本語の時よりも余分な意味を読んでしまう。
英語のwe やour は、わたし「たち」という味気ない一人称複数と違って、
最初から複数形なところが好きです。
「I 」が「we 」になる瞬間、
単なる「たち」がつくだけの複数形ではなく、別の言葉になる瞬間の方が、より
その関係のささやかな変化を感じられる気がするから。

昔、好きな人と食事をしていて、その人が何か注文の時だったか、
お店の人に「ぼくらは」と言ったのを聞いた時に、なんでもない言葉なのに
あ、ふたりは「we 」なんだと思って意味なく少し嬉しかったのを覚えています。
言った人はそんなこと何も考えていないただの複数形だったのだけど。

でも、そういう瞬間を丁寧に取り出した物語はみずみずしくて良いものだなぁ、という
若いマレーシア人たちの恋愛映画を昨年見たのでした。
そういう瞬間は、何語であっても良いものです、と書きたかったんだけど、
マレーシアでは多言語が自然に気づかないまに入れ替わりながらの会話が普通で
そういうマレーシアの言語環境を思い出しながら見ました。

主演の女の子はアジアの女の子のかわいさが溢れてるし、
男の子もハンサムではないのに、やさしさと真面目さやかわいさがあっていいのです。
マレー系の女の子と、中国形の男の子が出会って恋に落ちるんだけど
その過程が本当にフレッシュでみずみずしくて微笑ましいドキドキの時間でいい。
この女の子の両親がまた、おおらかで朗らかで愛情に溢れた人たちで
この夫婦関係のあたたかさも見ていて楽しかったし、友達のようなメイドもいい。
見所の多い映画だけど、マレーシア社会の雰囲気を知らない人には
どんな風に見えるのかな?
2003年までマレーシアに8年ほど住んでいたわたしは懐かしさいっぱいでしたが。
映画自体は2004年の作品で、この監督の没後10年ということでの上映でした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿