sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

藤田美術館(後編:茶話会)

2024-08-26 | 芸術、とか
さて、藤田美術館で国宝曜変天目茶碗を堪能し、声の良い学芸員さんのお話も楽しんで
展示室を出たらそこはまた素敵な景色が。



綺麗なお庭に囲まれた小さな部屋から外に出てみたけど暑すぎてうろうろするのは無理か。





お庭を横目に入り口のロビーの方へ。

ガラス張りの広いロビーは、入って右手にはカフェのカウンターがあって、
そこでお抹茶やお団子を頼めるようなんだけど、
わたしはこの日は茶話会のようなイベントに申し込んでいたので反対側へ。
「あみじま茶話」というそれは(藤田美術館サイトより)
>茶文化ゆかりのこの網島で、美術館やお茶についての話を
>いつもより少しだけ背筋を伸ばして、抹茶を飲みながら聞いてみませんか。
>館長 藤田清と、あみじま茶屋亭主 藤田義人がお迎えします。

という趣旨のもので、この日の参加者はわたしを入れて4人でこじんまり始まりました。

藤田美術館館長はご挨拶の後、よもやま話をしながらゆっくりとお茶を立てて
一人ずついただいていきます。
お菓子は梅と紫蘇の味。暑い時期にはこのさっぱりした甘さが美味しかったです。


この美術館は江戸時代に生まれ明治に実業家として財を成した藤田傳三郎と
その息子たちによるコレクションからなるそうですが、現館長は藤田家5代目とのことで、
若い頃は車好きで古典芸術には興味がなかったとのこと。
歴史にも関心が薄くて、平安時代っていつ?というレベルだったとか。
それが結局美術館の館長を継ぐことになって、何も知らないところから最初は
コレクションのお茶道具を入れる箱の紐の結び方から学んだそうです。
そして、展示されている茶碗や茶道具は小さいものが多いのだけど
それを入れる箱は巨大になっているという話になりました。
手のひらに乗るほどの茶入も、マトリョーシカのようにいくつもの箱に入れられて
何倍何十倍の大きさの箱になるのです。
所有者が変わるごとにひとまわり大きな箱にいれられていくそうなんだけど
藤田家では黒漆で面取りされそこに蒔絵で藤と鳥と蝶などが飾られた箱を作ると。
重要な美術品にはこの箱が作られ、これは藤田箱と呼ばれるようになったそうです。
この箱を守るために一回り大きな春慶塗の箱があり、その外側によくある桐の箱、なのかな。
動画を見つけたので貼っておきます。国宝を素手で気楽に?触りまくってる!笑
<藤田箱>と国宝<曜変天目茶碗>
箱付きの展示をいつか見たいですとどなたかが言うと、企画しましょうかねとおっしゃってらした。
うん、見たい。

お抹茶のお茶碗は現代作家のもので、どんな場所でもTシャツと半ズボンで行く
超有名老作家や若手の作家の話、仕覆はおまけじゃなく使われる古裂の反物がいくつかで
何千万いや何億という途方もない値段だったりする話、
展示にあった窯が、最初はなにが重要なのかさっぱり理解できなかった話、
美術館を新しくした時に照明を普通の美術館標準よりずいぶん赤みのあるものにした話など
とても興味深い話ばかり盛り沢山ですごく面白かった。
こじんまりとした美術館は大好きだし、なによりここ、駅から徒歩十歩くらいなので来やすい。
これからはもっとしばしば見にこようと思いました。