sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:マリウポリの20日間

2024-08-29 | 映画


2022年2月からウクライナに侵攻したロシア軍が、東部の港湾都市マリウポリを包囲した。
そこでロシアの攻撃にさらされた街の映像ドキュメンタリーです。
ここに映っている出来事自体は、大体伝え聞いて知ってる、想像できる内容ではあるんだけど、
やはりこれがドキュメンタリーであるということにものすごく大きい意味があります。
マリウポリのウクライナの人々の不安や絶望、怒りや憔悴をひしひしと感じさせられました。

この映画は第96回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したのだけど、そこで監督は
「私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう。
このオスカー像を、ロシアがウクライナを攻撃しない、
私たちの街を占領しない姿と交換できれば、と願っています。」と語ったそうですが映画の中でも
こんな映画が作られないで済む世界の方がずっと良かったというようなことを呟いてる。
本当に…
民間人の住居だけでなく病院、特に産科病棟への攻撃には言葉もなく
一体どうしたらこんな酷いことができるのか理解できない。
この映像をフェイクだと言い張るロシアに対して憤るのと同時に、
この映像を報道しロシアを批判する西側の大国がその一方で
同様の戦争犯罪をし続けているイスラエルを支援していることにも腹が立つ。

そして、この映画を見るとウクライナの人々に寄り添って、戦争は悲惨だ、侵略されるのは怖い、
他国に攻められる前に自衛しなくてはと思うだろうけど、
あのね、
何より何より絶対忘れてはいけないのは、ロシアが攻撃を始める時に言ったプーチンのセリフです。
「これは自衛のための攻撃なのだ」
ロシアもイスラエルも「自衛」を口実に正義を主張して戦争を始めたし、かつての日本もそうでした。
侵略者どもはみな「自衛」だと言い張って人を殺し国を奪う。
この映画を見て、被害者であるウクライナに自国を重ねるだけでなく、
加害者であるロシアに自分を重ねる視点も忘れてはいけないと思う。


この映画の後のマリウポリだけど、その後5月にはロシアに全域制圧、占領されて
街の内部の様子はよくわからない状態のようです。
ロシア海軍学校の分校を建設しているという記事も見かけたし
すっかりロシアの支配下にあるのだろう。
戦争の終わりはまだ見えず、一体どういうことなのだと理解できない思いばかり…