老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

アメリカの大統領令

2017年01月28日 19時49分49秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 トランプ大統領の就任により、米国の大統領令への関心が高まっています。

 大統領令とは、大統領が議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令で、憲法に明確な記述はないようですが、法律と同等の効力をもつもののようです。
第2次世界大戦時のフランクリン・ルーズベルト大統領は、12年間の在職中に3522件も発令。オバマ政権では、気候変動対策の強化や化学物質管理の安全性向上など170件近く出されたようです。議会は反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を出すことがあるとの由です。

 トランプ大統領は、選挙中の雑な言動は選挙活動の為のもので、大統領就任後は少しは落ち着くかと予想されていたのが、就任後も彼の独善ぶりは相変わらずで、就任後次々と大統領令を出しています。

20日、オバマ前政権が進めた医療保険制度改革(オバマケア)の 撤廃に向けた大統領令に署名。
23日、TPP( 環太平洋経済連携協定)から離脱する大統領令に署名。
25日、メキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じる大統領令に署名。
27日、難民受け入れ120日停止を含む、より厳格な入国審査を実施する大統領令に署名
という具合です。

 
 更に、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しも表明していますし、もっと酷いのは、地球温暖化に対して懐疑的な自己の立場に基づいて、気象変動に関するデータ管理などで環境保護局に大きな圧力を掛けようとしていることで、一部ではパリ協定からの離脱云々も報じられています。
一部で報じられるように、非常に幼稚で攻撃的な独断的姿勢です。

 本人としては、選挙公約を守っての行動なのでしょうが、アメリカの大統領令の権限の強さを考えると、アメリカ国民の生活だけでなく、アメリカの外交や経済政策の在り方の危うさを改めて考え直します。

 国内向けの大統領令を見ても、大統領が変われば社会保障制度も変るというようなことなら、安心した生活設計など組めないのでないかと危惧しますが、このような強い権限を持つ大統領制の国家では、国民は慣れっこなのでしょうか?

 むしろ、現在色々と問題視されるのは、NAFTAやTPPのような、国際的な協調と相互発展を目的として、どちらかと言えば米国が主導する形で締結された国際的な条約の在り方です。
TPPは未発効だったとしても、NAFTAについては、長年の検討・交渉を経て国際的に纏められ条約で、関係各国はこの条約の精神に基づいた体制を築き上げてきたのです。

 大統領が変われば一朝一夕に見直しなどと言われれば、今後色々な面で米国と真面目に条約や約束を結ぼうとしても、その有効期間は現大統領の在任中という覚悟でしか考えられないでしょうし、米国が提唱する条約などには危なくて乗れないという風潮も高まるのではないでしょうか。(まさ)