「恋する日本語」小山薫堂著より。
このときの状況は、日曜日の午後の公園に出かけた時だった。するとベンチでうたた寝をしているオジサンを見て、カレがいきなり「うたた寝の“うたた”って何だろう?」という疑問を持つのだ。
すると2人はその“うたた”が気になって公園デートを中止して、本屋へ駈け込んで意味を調べるということに展開していく。
結局、場所が公園から本屋へ移動したということになる。デートには違いない。まあ好きな人といるなら場所はどこでもかまわないだろう。
彼女は、「日常の何でもない時間を楽しくしてくれる彼をますます好きになる」ということだった。漢字では「転た」と書いて「うたた」と読ませていた。日本語は難しい。意味は「ますます、非常に。転じてなんとなく」だった。
うたた寝は何となく寝てしまう状態ということだろうか。それならしばしばあるな、乗り物の中や喫茶店や公園のベンチで。オジサンだからしょうがないか。