素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「生活習慣病」という言葉はかなり怖い?

2024年06月14日 | 日記
 2人に1人はがんと診断される時代、インターネットやテレビ、週刊誌、書籍など、世の中にはがんの予防や治療に関する情報があふれている。先日もテレビでがん予防の話題が取り上げられていた。予防のために生活習慣を見直すことが大切だと強調されていた。

 がんに限らず、糖尿病、高血圧、認知症などでも生活習慣がよく問題にされる。昨年の特定健診で血圧が最高140と最低91だったため面接指導に回された。細かく生活習慣を聞かれアドバイスをされたが、「さほどひどい生活はしていないのになあ」と内心思いつつ「できるだけやってみます」とその場を逃れたい一心で努力を誓った。
 
 生活習慣病という言葉が頻繫に使われるようになってきた。、厚生労働省は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義し、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病などを位置付けている。生活習慣病の名付け親は、聖路加国際病院名誉院長だった日野原重明先生だと言われている。100歳を超えても現役で活躍されていた方の言葉は説得力があるのは事実。厚労省は予防医療を推進するために、この言葉を定義したかったのだろうが、違和感を感じることもある。

 専門医の話では、がんの原因は偶発的要因が60~65%で、環境的要因の中で喫煙は15.2%と多いがその他の飲酒(6.2%)、塩分摂(2.4%)、運動不足(1.3%)、過体重(0.7%)、野菜摂取不足(0.2%)は高くない。

 したがって、日ごろ喫煙もせず、食生活に気をつけ運動も定期的にしている人でもがんになってしまうことが多い。

 テレビで前立腺がんの治療を受けている方が「私は普段から健康的な食事をするように心がけていて、野菜を多く取ってきましたし、たばこも吸いません。運動も週2日は必ずやってきました。なぜ、私ががんになったのか?」と嘆いてい。それは、がんが生活習慣病である。という思い込みがあるのではないかと思う。ガンの7割近くは偶発的要因で発症することを考えれば生活習慣病ではない。というのが正しいのではないかと思う。

 でないと、がんになったのは「生活習慣が悪かった、自己管理ができなかった人」というレッテル貼りになり、その人の自己責任であるという決めつけで精神的に追い詰めることになりかねない。

 「がんは生活習慣病であり、自己管理ができなかった人がなる病気」という誤った認識は、社会的差別意識を生む原因となり、まるでがんになることが悪いことのように思われてしまい、社会的にオープンにすることをためらう人が多くいるのではないか。これは、がんになった人が何か差別や偏見をもって受け入れられてしまう現実があるからではないか。

 自分が快適に暮らせるように、自分なりに生活習慣に気を配ることは大切だが、偶発的要因で発症することが多い疾患を、ひとくくりにして「生活習慣病」と呼ぶことはやめるべきだと思う。
 
 まわりには色々な疾患と向き合いながら生きている人がたくさんいる。原因を、生活習慣、ストレス、遺伝などに短絡的に求めないことを肝に銘じていきたい。
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