素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

ハマユウ

2024年06月28日 | 日記
 同じ星田山手に住んでいるMさん。ジムには夕方風呂にだけ入りに来る。80歳も半ばにさしかかったMさんにとっては自宅からジムまでの15分余りの歩きで充分で、プールやトレーニングルームで頑張る必要はないと笑う。連れ合いを亡くし、子どもも家を離れ一人暮らしである。

 家で風呂を沸かすよりも月会費を日数で割れば1日400円弱だから経済的だと言う。「手間も省けるし、何よりも安全」だと笑う。老人の入浴中の事故の話はよく聞く。一人暮らしだと何かあっても助けを呼べないのでゆったりした気分で湯船につかれない。その点、ジムは人の目が多くあるので安心できる。という話には共感できる。

 Mさんがジムに向かう頃に、私が帰ることが多く久保池沿いの小道ですれ違い挨拶を交わすことが多くある。長年名前が分からなかったユスラウメを教えてくれたのがMさんだった。ここ1週間微妙に時間がずれてお会いしていなかったが、今日久しぶりに会うことができた。近づく私に右手を上げ「久しぶり!まだ生きてまっせ!」と声をかけてくれた。

 「この花 ハマユウですな?」と道端の白い花を指さしながら尋ねてきたので自転車を停め、しばし立ち話となった。Mさんは、全体の雰囲気はハマユウだが、自分が持っているイメージのハマユウの花はもう少し細い感じだと通るたびに思ってきたそうだ。私も同感だと告げた。
 

 私が育った志摩半島では、和具の浜木綿が良く知られていた。他にも小学校の時に学校水泳で行っていた国府の白浜にも咲いていた。小さい頃の思い出話を少ししてMさんと別れた。気になったので家に帰るとすぐに調べてみた。どうやら、私たちが?マークをつけながら見ていたのはアフリカハマユウのようである。ついでに三重県観光ナビにあった和具大島の浜木綿の写真も。


万葉集にも柿本人麻呂が詠んだ歌1首が掲載されている。

『み熊野の浦の浜木綿 百重(ももへ)なす 心は思へど ただに逢はぬかも』

緑濃く葉と茎が重なり合い、真っ白い花が重なり合う、そのように厚く幾重にも心で思っているのに、直接逢うことができないという、少し切ない歌である。古くから親しまれてきた花だと実感する。


 
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