新設村野中には私を含め新任6人が赴任した。と先日書いたが、正確には7人。家庭におられたがお子様の手が離れたのをきっかけに教職につかれた国語の中西先生である。しかし、新任といっても社会経験も積まれていて我々のように危なっかしいところがなかったので別格であった。私の意識の中には常に先輩として存在してきた。
退職後、長年の研究の成果を本にまとめられ講談社出版サービスセンターから『弥生に生まれた鳥神~阿治志貴高日子根考~』を出版された。弥生時代に急速に広まった水稲文化の内包する稲魂の鳥神である阿治志貴高日子根神のことを多くの人に知ってもらいたいというのが出版の大きな動機である。聞きなれない神の名に興味を持ち読み進めていくと鴨神とも深く関わりがあることを知り興味をひかれたが古事記、日本書紀、萬葉集などに関する知識も浅く、むずかしい文字を読み解く力のない私にとってはエベレスト登山に匹敵する難しさがあり頓挫していた。
しかし、今回中沢新一さんの『大阪アースダイバー』により上町台地と河内湖でつくられた古代大阪の基軸から俯瞰された歴史を読んだ時に、中西さんの本の中でモヤモヤとしていた部分の霧が晴れたような思いがした。2つの本を併読することで古代日本のダイナミックな姿がイメージできるようになってきた。
本との出会いはいつも言うがまことに不思議なものである。中西さんの労作は、村野中で9年間同勤した縁で私の手元にあり、中沢さんの本は、たまたま日曜日の早朝につけたNHKの俳句の番組がきっかけであった。
その日の講師は俳人の小澤実さんで、ゲストが中沢新一さんだった。二人の対談の中で中沢さんが小澤さんの句で
「鉄鉄鉄秋日鉄鉄塔となす」が大好きだと紹介され、そのことを受け小澤さんが「あの句は中沢さんの『アースダイバー』の中で、東京タワーの鉄は朝鮮戦争で使われた戦車の鉄だった。その建てられた場所は縄文時代以来死霊の王国とも言える所で、あの赤い色は死者を祀る鳥居のようなもの。という話からヒントをもらってできた」という主旨の話をされた。とても印象に残ったので私も『アースダイバー』を読みたくなった。ただ馴染みの薄い東京が舞台なので少し残念やなと感じていたら、大阪版もあることがわかり取り寄せたのである。
人との出会いと同じような縁というものを本にも感じた時、とても幸せな気分になる。‟縁は異なもの味なもの”は男女の結びつきだけに限定しないで使いたいものだ。
退職後、長年の研究の成果を本にまとめられ講談社出版サービスセンターから『弥生に生まれた鳥神~阿治志貴高日子根考~』を出版された。弥生時代に急速に広まった水稲文化の内包する稲魂の鳥神である阿治志貴高日子根神のことを多くの人に知ってもらいたいというのが出版の大きな動機である。聞きなれない神の名に興味を持ち読み進めていくと鴨神とも深く関わりがあることを知り興味をひかれたが古事記、日本書紀、萬葉集などに関する知識も浅く、むずかしい文字を読み解く力のない私にとってはエベレスト登山に匹敵する難しさがあり頓挫していた。
しかし、今回中沢新一さんの『大阪アースダイバー』により上町台地と河内湖でつくられた古代大阪の基軸から俯瞰された歴史を読んだ時に、中西さんの本の中でモヤモヤとしていた部分の霧が晴れたような思いがした。2つの本を併読することで古代日本のダイナミックな姿がイメージできるようになってきた。

その日の講師は俳人の小澤実さんで、ゲストが中沢新一さんだった。二人の対談の中で中沢さんが小澤さんの句で
「鉄鉄鉄秋日鉄鉄塔となす」が大好きだと紹介され、そのことを受け小澤さんが「あの句は中沢さんの『アースダイバー』の中で、東京タワーの鉄は朝鮮戦争で使われた戦車の鉄だった。その建てられた場所は縄文時代以来死霊の王国とも言える所で、あの赤い色は死者を祀る鳥居のようなもの。という話からヒントをもらってできた」という主旨の話をされた。とても印象に残ったので私も『アースダイバー』を読みたくなった。ただ馴染みの薄い東京が舞台なので少し残念やなと感じていたら、大阪版もあることがわかり取り寄せたのである。
人との出会いと同じような縁というものを本にも感じた時、とても幸せな気分になる。‟縁は異なもの味なもの”は男女の結びつきだけに限定しないで使いたいものだ。