平成22年3月度 広布唱題会の砌
(於 総本山客殿)
(大日蓮 平成22年4月号 第770号 転載)
本日は、三月度の広布唱題会に当たり、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
本年「広布前進の年」も既に三月に入り、皆様には本年度に掲げた折伏誓願の達成へ向けて日夜、御精進のことと存じます。
昨年七月二十六日の「七万五千名大結集総会」の大勝利以降、全国的に折伏気運が高まり、昨年は多くの支部が誓願を達成し、本年は既に折伏誓願目標を達成した支部も出てきております。これもひとえに、各支部の皆様方が本年「広布前進の年」の意義を深く理解し、戦っている結果だと思います。
そして、こうした折伏の盛んな支部の特徴は、住職をはじめ講員の方々が一体となり、折伏達成を祈念して真剣に唱題をしていることであります。唱題と折伏が一体となり、唱題が唱題だけに終わらず、その功徳と歓喜をもって折伏に打って出た結果、大きな成果を挙げているのであります。
御隠尊日顕上人猊下のお歌のなかに、
「かぎりなく 境涯ひらく 題目を常にとなえつ 広布目指さん」(大日蓮・平成11年3月号72㌻)
と詠まれたお歌があります。
唱題に励み、その開かれた境涯をもって折伏せよとの意であると拝します。このお歌からも、折伏成就にとって唱題がいかに大切であるかを知ることができるのであります。
唱題の功徳について、『六難九易抄』には、
「法華経一部の肝心は南無妙法蓮華経の題目にて候。朝夕御唱へ候はゞ正しく法華経一部を真読にあそばすにて候。二反唱ふるは二部、乃至百反は百部、千反は千部、加様に不退に御唱へ候はゞ不退に法華経を読む人にて候べく候」(御書1243㌻)
と仰せであります。
すなわち、この御文にお示しように、唱題の広大無辺なる功徳と歓喜をもって折伏に打って出るわけでありますから、仏祖三宝尊の御冥加のもと、必ず折伏成就へつながっていくことは間違いないのであります。反対に、もし唱題がしっかり行われていないと、そこに魔が入る隙間を与えてしまうのであります。
よって、各支部ともに唱題と折伏を連動して考え、「しっかりと唱題をしていけば折伏は必ず達成できる」と、確信を持っていよいよ唱題と折伏に励んでいただきたいと思います。
大聖人様は『曽谷殿御返事』に、
「涅槃経に云はく『若し善比丘あって法を壊る者を見て、置いて呵責し駈遣し挙処せずんば、当に知るべし、是の人は仏法の中の怨なり。若し能く駈遣し呵責し挙処せば、是我が弟子、真の声聞なり』云云。此の文の中に見壊法者の見と、置不呵責の置とを、能く能く心腑に染むべきなり。法華経の敵を見ながら置いてせめずんば、師檀ともに無間地獄は疑ひなかるべし。南岳大師の云はく『諸の悪人と倶に地獄に堕ちん』云云。謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし」(御書1039㌻)
と仰せであります。
この御文は皆様もよく御存じの御文でありますが、「見壊法者の見と、置不呵責の置とを、能く能く心腑に染むべきなり」と仰せのように、法を壊る者、すなわち三宝破壊の大謗法団体である池田創価学会をはじめ多くの謗法の者を見て置いて、何もせず、折伏もしなければ、仏法中怨の失を免れることはできないのであります。
故に、御文には「法華経の敵を見ながら置いてせめずんば、師檀ともに無間地獄は疑ひなかるべし」と仰せられ、さらに「謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし」と、折伏を行じない者に対してはまことに厳しく仰せられているのであります。
しかし、これらの厳しいお言葉は、逆説的に言えば、折伏をする者の功徳がいかに甚大であるかを示されていることでもあります。すなわち『曽谷入道殿許御書』に、
「既に之を謗る者に大罰有り。之を信ずる者何ぞ大福無からん」(御書791㌻)
と仰せられ、また『四信五品抄』には、
「罰を以て徳を惟ふに我が門人等は福過十号疑ひ無き者なり」(御書1115㌻)
と仰せられているように、大聖人の教えのままに正しく自行化他の信心に励んでいる者の功徳が、いかに大きいかを示されているのであります。世のため、人のため、大聖人の御遺命である広宣流布達成に我が身を挺し、折伏に励んでいる者に、大御本尊様の広大な御冥護がなかろうはずはありません。
特に本年は「広布前進の年」であります。世界的に天変地夭が続発している今日、世界の平和と安穏を実現する唯一の教えこそ、末法の御本仏大聖人様の仏法であり、その具体的実践方途こそ折伏であります。
世の中が平和になってこそ、個人の幸せも実現できるのであります。故に『立正安国論』には、
「汝須く一身の安堵を思はゞ先づ四表の静謐を祈るべきものか」(御書249㌻)
と仰せであります。
しかして世の中の平和を実現するためには、
「早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(御書247㌻)
と仰せの如く、「謗法を断つ」すなわち、折伏を行ずることが唯一最善の方途であります。
その折伏を達成するためには、しっかりと唱題に励むことであります。
どうぞ皆様には「唱題に励み、その功徳と歓喜をもって折伏に打って出る」、これが誓願達成の秘訣であることを銘記し、本年「広布前進の年」にふさわしい信心に住し、誓願達成へ向けていよいよ御精進くださいますよう心から願い、本日の挨拶といたします。
日蓮正宗公式HP