毎朝あんは六時半ぐらいにご飯を食べる。
そこで母親があんを家のまえの駐車場におしっこをさせてくる。
それから、あんはまた自分の部屋に戻り、座布団を二枚重ね、柔らかいモーフを敷いた寝場所で二度寝をする。
そして、自分が起きても、あんはそこで寝たフリをしている。
「あん、おはよ。散歩に行くよ」と言って、下におりて行っても、あんは寝たフリをしている。
ジーパンを履いて、用意を整え、あんを呼ぶ。
「散歩に行くよ!あん、降りておいで!」
そう何度か呼んでもあんは来ない。
そこで考える。
「あん、バナナ~!」と言うと、勢い良く二階から降りてくる。
自分が食べるバナナを少しあんにあげる。
あんはバナナも大好きになった。
それから、ちょうど雨が止んだところを散歩に出かけた。
昨夜の休肝日明けのお酒が少し残っている感じで目があまり開かないところを雨風が優しく撫でてくれた。
残ったお酒を連れ運んでくれるように。
雨の優しい香りのなかをあんと歩いた。