木偶房 日日録

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後鳥羽院と定家の時代 読す

2015年03月28日 | 読後記
新古今集 後鳥羽上皇と定家の時代   田淵句美子   角川学芸出版刊

御子左家(みこひだりけ)は、藤原俊成・定家以降、中世において
勅撰集選者を代々拝命し、中世歌道家の中で頂点に立った家です。
御子左家が登場する以前は六条藤家が和歌の主流でしたが、
新風和歌を押し進めた御子左家の藤原定家が歌狂いの後鳥羽上皇と
邂逅することにより和歌の黄金時代を開きました。
定家が登場する基盤を作ったのは俊成であり、定家がそれを強固にし、
その子為家が長く継承する道筋を固めて生きます。為家の没後に御子左家は、
二条家と京極家、そして冷泉家の三家に分裂し今日へとつながります。
新古今時代は、上皇も摂関も、廷臣も女房も、宮廷全体が熱に浮かされたように、
数年にわたって、日々生み出される言葉を注視した時代で、
この本からその熱気が伝わってきます。
山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水   式子内親王
繊細で清冽な美しさに満ちています。改めて知りました。
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