木偶房 日日録

江上之清風 山間之明月

フェルメール 静けさの謎を解く 読す

2011年12月26日 | 読後記
フェルメール 静けさの謎を解く 藤田令移著 集英社新書

フェルメールの絵に現れる静寂感について、
その際立つ5つの特徴を列挙しています。

・青基調(ウルトラマリンブルーによるフェルメールのブルー)
・少ない色数
・少ない素材
・穏やかな光
・現実感と非現実感の共存

これらの特徴は、あくまで静けさの周辺を見渡した現象であって、
静けさの本質に迫ったものではありませんでした。
当然ですが、謎は永遠に解けないということです。

フェルメールとレンブラントの映像の違いを、
映画とビデオの画質の差に例えているのはなるほどと思いました。
差はラチチュードにあったという訳です。
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終の住処(Dek-22) 習作す

2011年12月21日 | 作事記
終の住処(Dek-22) を習作しました。

今回も、前回同様に韓流間取りを意識してみました。

居間と寝室と水廻り(浴室、洗面、便所)等を「房」として扱い、
食堂を「大庁」として扱いました。
この様に、食堂は四つの「房」のあいだに配置されていますので、
四方に解放され風の通り道となります。
閉鎖的な四つの「房」は、家の領域を示すものとして四隅に配置しました。
「房」には、連続した高窓が設けられ、
食堂に入った風はこの高窓からも抜けて行きます。



「大庁」としての食堂は、屋根も壁も全てガラスとして
より開放的な、半分「外」の空間とする方法もあります。
そうすると、「閉」と「開」のコントラストがより強くなります。


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韓国の民家 読す

2011年12月18日 | 読後記
韓国の民家  申栄勲著 李終姫、市岡実幸訳 法政大学出版局

韓国歴史ドラマで舞台となっている韓国の住宅に興味がわきこの本を読みましたが、
韓国の民家があまりに良くできているので驚きました。

韓国の民家は、房と大庁という2つの空間で構成されています。
房は、冬を意識した閉鎖的なしつらえで、オンドルと呼ばれる床暖房を備えています。
大庁は、夏を意識した開放的なしつらえで、床は板張りで天井がなく小屋裏を現した大空間です。
冬でも夏でも快適な実に良くできた家です。

大昔からこの居住スタイルが確立されていたということは、
大変な驚きです。

ところが、現代の韓国の住居には、このスタイルが全くいかされておらず、
日本と同じように西洋かぶれのLDKスタイルになっているというのも
現代病として理解できます。
自然に対して誠に合理的なこの居住スタイルの神髄を
歴史の闇に葬らず現代に蘇らせるべきであると思います。
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生きることは描くこと 読す

2011年12月16日 | 読後記
生きることは描くこと 杉本健吉評伝  木本文平著 求龍堂

九十九歳で他界するまで、ひたすら絵を描き続けたのは、
画狂老人と自称した葛飾北斎を思わせる境地を感じました。
どの絵を見ても生き生きとしていて、
まさに全身画家といいうる人だと思いました。
「絵の骨格を劉生に学び、華やかさを梅原から学んだ。」
と述べているそうですが、絵が上手いというのはこういう人の
ことをいうのだと思いました。
小磯良平もめちゃめちゃ絵が上手いと思いますが、
この二人が日本の双璧でしょうか?

小磯記念美術館と杉本美術館は、機会をとらえて是非行きたいと思います。
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ノーマン・フォスター 読す

2011年12月13日 | 読後記
ノーマン・フォスター 建築とともに生きる
        ディヤン・スジック著 三輪直美訳 TOTO出版

子供の頃、野口英世の伝記を読んだことがありますが、それ以来、
伝記というものは一切読まずにこの年まできてしまいました。
たまたま本をもらったこともあり、初めて建築家の伝記を読みました。
サー・ノーマン・フォスターと呼ばれているので、
建築家に多い富裕層の出かと思っていましたが、貧しい労働者階級の出で、
苦学して建築を学んだとは意外でした。
それにしても、建築に対する集中力と執念は誠に凄まじいものがあり、
常に挑戦し続けるその姿勢には感銘を受けました。
「モダニズムのモーツアルト」と呼ばれているそうですが、
どちらかというと「ベートーベン」だと思います。



ロンドンに旅行に行った時に、
シティにある葉巻型のスイス・リインシュランス・タワーや、
テート・モダンの前のミレニアム・ブリッジや、
大英博物館のグレート・コートを見ましたが、
すべてフォスターの空間だったのですね。

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現代日本建築家列伝 読す

2011年12月01日 | 読後記
現代日本建築家列伝 五十嵐太郎著 河出ブックス

戦後の丹下健三に始まる建築家について年代順に語られています。
年代順にくくられていますが、1950年代生まれの世代までは
なんとか分かりますが、1960年以降の世代は未知の世界でした。
筆者は、1970年代生まれの建築家の石上純也を天才と言っていますが
本を読んだ限りでは、たしかに発想が天才かもしれません。
普通の人には、リンゴが落ちるのが見えますが、
ニュートンには、万有引力が見える。
と言ったタイプの万有引力の見える人のようです。
最近の建築の動きが分かりやすく概観できる本でした。
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