新・ローマ帝国衰亡史
南川高志著 岩波書店刊
21世紀の視点から解釈された新たな「ローマ帝国衰亡史」の試みです。
エドワード・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」は、紀元2世紀のアントニウス帝から衰退が始まるとしていますが、
この書では、紀元4世紀のコンスタンティヌス大帝から衰退が始まります。
その衰退の最大の原因は、「ローマ人である」というアイデンティティの喪失にあるとしています。
ローマ帝国は、宏大な地域に住む多様な人々を「ローマ人である」という
単一のアイデンティティの下にまとめ上げた国家でした。
「ローマ人である」ことは、抽象的な概念ではなく軍隊や暮らしに密着した具体性を備えていたため、
帝国に参加すればより良い状況になれることを保証するものでした。
それ故に、ローマ帝国は魅力と威信をもつ「尊敬される国家」たり得たのでした。
ところがこの思想が「排他的ローマ主義」に変質してしまい、
他の民族を軽蔑し排除するようになったため、国家は魅力と威信を失い転落してしまったという訳です。
南川高志著 岩波書店刊
21世紀の視点から解釈された新たな「ローマ帝国衰亡史」の試みです。
エドワード・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」は、紀元2世紀のアントニウス帝から衰退が始まるとしていますが、
この書では、紀元4世紀のコンスタンティヌス大帝から衰退が始まります。
その衰退の最大の原因は、「ローマ人である」というアイデンティティの喪失にあるとしています。
ローマ帝国は、宏大な地域に住む多様な人々を「ローマ人である」という
単一のアイデンティティの下にまとめ上げた国家でした。
「ローマ人である」ことは、抽象的な概念ではなく軍隊や暮らしに密着した具体性を備えていたため、
帝国に参加すればより良い状況になれることを保証するものでした。
それ故に、ローマ帝国は魅力と威信をもつ「尊敬される国家」たり得たのでした。
ところがこの思想が「排他的ローマ主義」に変質してしまい、
他の民族を軽蔑し排除するようになったため、国家は魅力と威信を失い転落してしまったという訳です。