木偶房 日日録

江上之清風 山間之明月

広重の浮世絵 読す

2012年09月29日 | 読後記
広重の浮世絵 風景画と景観デザイン
           萩島 哲著   九州大学出版会刊

広重は、そのまま描いては絵にならない生活景を「絵になる景観」とするために
絵画的な7つの操作を行っている。

1実景描写    実際の対象を忠実に描写する。
2俯瞰化     実際の視点場より視点の位置を高くして実景を描く。
3移動配置    実際の対象を異なる位置に移動して配置する。
4デフォルメ   実際の対象よりも大きく描いたり、形を際立たせる。
5スケールダウン 実際の対象よりも小さく描く。
6削除      実際に存在する対象を描かない。
7付加      実際に存在しない対象を付け加える。

作品中の視高を測定すると1.6mから10mまでの値をとり平均値は3.8mとなっている。
このように、普通の目の高さより約2倍の高さから見ることが、
平凡な風景の中に非日常性を持たせる効果を発揮している。

この視高を上げて俯瞰する手法には、いたく感心しました。
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はじめてのフッサール「現象学の理念」 読す

2012年09月20日 | 読後記
超解読!はじめてのフッサール「現象学の理念」
           竹田青嗣著  講談社刊

フッサールの現象学の基本構想を平易に解説している。
それは、
・主客図式を廃棄して、方法的独我論の立場をとる。
・現象学的還元の方法は、一切の認識を「主観の確信」に還元する。
それによって、様々な認識がどのような条件において、内在のうちで
構成されるかを解明できる。
・このことで、現象学は、あらゆる意味形成の本質理論となる。
ということでした。
デカルトの「コギト」をより精密に考察し、主客二元論を解消したということですね。

新書判は、「哲学もの」が一番お得ですね。
なぜなら、
哲学ものは読み流すことができずに、倍の時間がかかってしまうため
1冊で2倍長く楽しめるからです。
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浅野屋 行く

2012年09月20日 | 日日録
遅い朝食用のパンを買いに浅野屋に行きました。
軽井沢千住博美術館店です。
行ってみると、私のようにパンだけを買いに来ている人も相当いるようです。





イチジクと木の実のライ麦パンとキッシュを買いました。
普通のパンはないのかなと思っていたら棚の隅の方にメロンパンを発見しこれも買いました。



私は自分用の評価アイテムがあって、
パン屋なら「メロンパン」、ラーメン屋なら「もやしそば」、そば屋なら「もりそば」で評価します。

浅野屋の「メロンパン」・・・・・合格です。
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ピュアポム 買う

2012年09月18日 | 日日録
ツルヤの飲料コーナーで新しいアップルジュースを発見しました。
「ピュアポム」です。原産国はフランスです。



3種類あるのですが、今回はスパークリングアップルジュースにしました。
濃いめの味の炭酸飲料でした。成分はリンゴ100%のみです。

同じ炭酸飲料の「ファンタ アップル」と比べてみましょう。
この飲料の成分は、果糖ぶどう糖液糖、酸味料、香料、カラメル色素、保存料(安息香酸ナトリウム)です。
よくよく眺めてみると、全て化学薬品です。
自分は子供の時から化学薬品の水溶液を美味しい美味しいと飲んできたのかと思うと
愕然とします。

自然に帰ろうと思います。




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韻松亭 昼食す

2012年09月10日 | 日日録
西洋美術館のフェルメールで心を満たしたので
今度は胃を満たそうと、上野公園の韻松亭に足を伸ばしました。
が、混み合っていて1時間待たねばなりません。
そこで予約だけして、不忍の池の対岸にある旧岩崎邸庭園を見学に行きました。



ジョサイア・コンドルの設計による本格的な木造の洋館です。豪華絢爛ではありませんが重厚な雰囲気です。
ここで背の低い日本人達が背伸びして暮らしていたかと思うと明治の心意気を感じます。
洋館に接続して書院造りの和館があるのですが、こちらは素晴らしくいいです。
見ているうちに1時間経ったので、韻松亭に食事に向かいました。



いわゆる和風の佇まいです。階段を登って案内された部屋は、壁一面がガラスになっており
不忍の池方面が一望できます。



景色を眺めながら「茶つぼ三段弁当」を賞味してきました。

今日は、心も胃も満たされたよい一日でした。
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フェルメール 見に行く

2012年09月09日 | 書画記
改装なった東京都美術館のマウリッツハイス美術展で
フェルメールを見ようと上野に行きました。



が、長蛇の列で入れません。この炎天下で1時間以上待つのではとても体が持ちません。



そこで、急遽、西洋美術館のフェルメールに鞍替えしました。



こちらは、ベルリン国立美術館展です。
都美術館は「真珠の耳飾りの少女」、一方、西洋美術館は「真珠の首飾りの少女」です。

静寂な白色の光(オランダの光?)に包まれて佇む少女は、展示室の雑踏の中で別世界を開示していました。
この光はどこかで見たことがあるなと思い、記憶を辿ってみると、
ピエロ・デラ・フランチェスカの光に似ているようです。


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ゴルトベルグ変奏曲 揃える

2012年09月02日 | 日日録
ゴルトベルグ変奏曲を2つ買いました。
ギターのカート・ラダーマーとハープのカトリン・フィンチです。
ゴルトベルグ変奏曲と言えば、ピアノのグレン・グールドが有名ですが、
これは既に持っているので、これから楽しみが3つに増えます。



ゴルトベルグ変奏曲は、アリア→第1変奏→・・・・→第30変奏→アリア という構成なので
これを聞くと、長い旅の果てに家に帰還するというイメージが湧いてきます。

日本的に解釈すると、西国三十三ヶ所や坂東三十三カ所に代表される「札所巡り」に似ています。
ゴルトベルグ変奏曲は、丁度一番札所から始めて三十番札所までを巡る旅です。
ちなみに、
坂東三十三カ所巡りを結願すると、その「お礼参り」に「北向観音」と「善光寺」に詣でるのが慣わしなのだそうです。
先日両寺院を参ったのも何かの因縁かもしれないので、近いうちに坂東三十三カ所巡りを発願するかもしれません。

しばらくは、3ルートに増えた「ゴルトベルグ巡礼」を楽しむことにします。

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武器としての社会類型論 読す

2012年09月01日 | 読後記
武器としての社会類型論  世界を五つのタイプで見る
           加藤 隆著   講談社刊

人類世界を五つの社会類型に還元して見てみようという試みです。

1. 上個人下共同体  ギリシャ・ローマにはじまる西洋文明
2. 上共同体下個人  中国文明
3. 全体共同体    日本文明
4. 資格共同体    インド文明
5. 掟共同体     ユダヤ文明(及びイスラム文明?)

日本の全体共同体社会に個人はなく、「場」にいる者は全て自動的に社会集団の成員になる。
この社会集団の成員は、成員であるというだけで根本的に同質であり平等である。
この社会集団の最大の目的は、「生き延びる」ことである。

なるほど、そういうことかと納得できる論述です。
そういえば、ロンドンオリンピックで個人競技よりも団体競技で抜群の成績を残せた
ということもこの社会類型の表れでしょうか?
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