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「縮み」志向の日本人 読む

2011年09月28日 | 読後記
「縮み」志向の日本人 李御寧著 講談社学術文庫刊

日本人は、西欧文化の「拡がり」志向に対して、「縮み」志向だと言うのですが、
「なるほど!」と思えることばかりでした。

「縮み」志向には六つの型があるというのですが、この中で建築空間に
展開できるのは、1の入れ子型と4の折詰め弁当型だと思います。

1 入れ子型   込める
北園克衛の「単調な空間」という詩が引用されています。
   白い四角のなか
  の白い四角のなか
  の白い四角のなか
  の白い四角のなか
  の白い四角
 この詩で思い浮かぶ建物は、藤本壮介氏の「ハウスN」です。
改めて言われてみると、日本の建築空間そのものが、
塀、庭、縁側、座敷と入れ子状になっていることに気づきます。
2 扇子型    折り畳む
3 姉さま人形型 削る
4 折詰め弁当型 詰める
 詰められないものは「つまらないもの」なので、
詰め込み主義こそが日本人の本性であるというのも思わず納得です。
 仕切ってつめる弁当感覚で思い浮かぶ建物は、
芦原義信氏の「武蔵野美術大学アトリエ棟」です。
5 能面型    構える
6 紋章型    凝らせる

日本人は、全てに対して「一座建立」だと言うのも納得です。

これは名著です。

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