とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

天上の最終戦争 2

2014-08-07 09:37:40 | 日記
天上の最終戦争 2



藤田嗣治 作 「優美神」 (1946~48年)

 藤田嗣治、60~62歳の時の作品である。三美神を描いたものと思われる。70代にもっと若々しい溌剌とした色鮮やかな三美神を描いている。底知れぬ耽美心を感じる。


 私は、戦いの準備を始めました。死んでもいい、天上で戦えたら私は何の悔いも感じない。ヤサカトメの神の化身の茅乃と生死をともにすることが至上のことと思えてきたのです。イザナミ、八雷神、黄泉醜女(よもつしこめ)らに追われたイザナギは、髪飾りから生まれた葡萄、櫛から生まれた筍、黄泉の境に生えていた桃の木の実を投げて難を振り切った。それにご神木の椋の木の実。霊力を持った植物の実、・・・これを集めておこう。そんなことを思っていました。

 死ぬ !!・・・止めてください。

 死んで、天上に昇り、貴女と生死をともにしたい。

 止めてください。・・・天上の神は究極光の束です。夥しい光の束が絡み合って戦うのです。だから、そんな武器など要りません。

 光 ?

そうです。貴方が光の束になることは、極めて難しい。

 ど、どうして・・・。

 越えなければいけない大きな障壁がいくつもあります。

 修行が足りない・・・。

 霊性という表現が当たっています。霊性も光の束です。

 霊性・・・。

 そうです。

 ・・・。

ひたすら祈ってください。それしか方法はありません。

 ひたすら祈れば何時しか、近づいてくる・・・。

 そうです。ひたすら。・・・ただ、天上は時を争う事態に至っています。間に合いません。

 じゃ、もう私は貴女と一緒に戦えない・・・。

 そういうことになります。・・・ただ、一つだけ方法があります。

 天上に住処を頂いたなら、貴方の場合、もう二度と地上に転生することは叶いません。・・・それでもいいですか。

 二度と人間には返れない・・・ ?

 そうです。特別な儀式を執り行いますが、それは、人間を捨てる儀式でもあります。

 人間を捨てる・・・?

そうです。それでもよければ・・・。

 ・・・。

 それから天上に昇れば、私の光の束の中に取り込まれます。貴方の分だけ私のエネルギーは増大しますから、私の戦力は増大します。光と光の戦いは一瞬で勝敗が決まります。霊性の強い方が弱いもののすべての光を飲み込んでしまいます。邪神の数は日増しに増大しています。私は早く天上に昇らねばなりません。

 ですから、私を戦力に使ってください !!

分かりました。それでは、お宮の方へ行きましょう。・・・いいですか、覚悟は出来ていますか。

 勿論です。

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